満足度★★★★★
さらば、ベンチプレス!
面倒な人間関係や進路問題に巻き込まれて思い悩む、とある高三男子の肖像。
あの頃を思い出してグッときた。
ネタバレBOX
母子家庭に暮らす主役の男子高校生・誠人が看護師の母親に買ってもらったベンチプレスは、プロレスラーを夢みながらレスリング部員として高校時代を過ごし、部活を引退後は体力作りと幼なじみを相手にしてのプロレスごっこに明け暮れてきたちょっと幼稚な主人公の悩みなき幸福な少年時代の象徴。
そのちょっと幼稚な主人公も高校三年生となったいま否応なく進路問題に直面し、進学を望む母親、その母親が勝手につけたお調子者の家庭教師に進学へのプレッシャーをかけられ、さらには、別段親しくもないのに誠人の部屋を溜まり場にして勝手に家へ上がり込むまでになった図々しい級友達とその女友達に振り回され、それまでには知らずに済んだ人生の苦みを初めて味わう。
ベンチプレスがやがて使われなくなり母親の物干し台と化するのはなにも誠人の怠惰のせいだけではない。“強い男になりたい!”と無心にベンチプレスへ向かう無邪気さを激変する環境が誠人から奪ってしまったのだ。
…という、ちょっと苦い青春譚を抑揚が独特で味わい深い宮崎弁による会話を生かしてユーモラスに描いた好編。
他劇団出演時とは違い墨井鯨子さんが過度なギャグキャラをつけられていないのが新鮮。
それから、女手一つで誠人を育てる肝っ玉母さんを演じた異儀田夏葉さんの演技の素晴らしさ! あひるなんちゃらでしか観たことがなかったけれど、他にもたくさん演技の引き出しを持っている凄い女優であることが本作を観て証明された! 彼女の新たな所属先となったKAKUTAの年末の新作もぜひ観に行かねば!!
満足度★★★★★
赦しの演劇
チョークで壁に絵や文字を描/書きつけて状況を表現する手法に感嘆! そして、生きとし生ける全ての者に赦しを与えてくれるような公演内容に心打たれました!!