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息が足りない

息が足りない

計画のドロシー

サブテレニアン(東京都)

2012/12/22 (土) ~ 2012/12/24 (月)公演終了

満足度★★★★

良かった。
役者さん達に力がある事と、演出が良い事が見てとれました。
全体的に雰囲気がぴったりの配役でした。
小劇団にありがちなイヤらしさもなく自然な感じ。
「なぜこうするのか」理由が分かる(うなずける)演出で良かった。
淡々としている割には意外性もあり、引き込まれました。
話の内容も良かったのですが、何より色々な場面で
細かい描写が良かったと思います。
印象的な場面が非常に多かったです。
きっと脚本演出の方は「よく人を見ている」人なんじゃないかなと思います。
それぞれのキャラに色んな背景があるのが片鱗として伺え(時間内に全部は盛り込めなくても)、それぞれが魅力的なキャラとして成立していたと思います。
観ている最中も終わってからも、色々考えてしまう感じです。
とにかく、面白かった。良い作品でした。次回作も期待出来そうです。

ネタバレBOX

モノローグに当たる部分というか、個々の語りの部分を
スタンドマイクで主張する、というのは分かりやすい演出ですが、
序盤で「きみ」がマイクで語っている周りを他の人達が踊りながら
騒然としているシーンが印象的でした。
「きみ」の考え込んでいる姿とその周囲との剥離感、のようなものが
よく表されていたような気がします。
カセットテープに自分の声を吹き込んで会話する、という場面も
かなり印象的でした。孤独で煮詰まった時の感覚、正常なんだけど
異常スレスレの感じ、そういうものをビシビシ感じました。
「かほ」が泣き出して立場が逆転してしまい、「きみ」がドロップアウトしてしまう場面も、「ああ世の中そういう残念なスレ違いってあるよね…。」と思いましたが、人間同士の交流において
残念ながら発生してしまう、そういう微妙な「ズレ」の部分って、
あのように端的には中々描写し難いモノではないかと思います。
そういうポイントがいくつもあったように思います。
ラストも意外性がありました。
内容的に悲しい、救いのない感じの、スレ違いのままのお話で、ハッピーエンドではないので、カタルシスを求めて観る劇ではありませんでしたが、とても感情移入出来る、よく考えられた作品でした。
また観たいなと思うのと、次回作がもっと良いモノになりそうな、期待感を抱きました。
「3年も経ってしまった。」「6年も経ってしまった。」と「きみ」が繰り返す姿が、切なくて堪らなかった。
役者が感情移入の余り本当に泣いてしまい、鼻を啜っていましたが、
見ているこちらも堪らなかったです。
あれは良かった。何とかしてあげたいのに、と、「いつか」のような、作中の人物のような気分になりました。

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