SHOOTING PAIN
コロブチカ
横浜美術館レクチャーホール(神奈川県)
2013/05/04 (土) ~ 2013/05/06 (月)公演終了
満足度★★★★★
コロ・池亀ご両人のイイトコ取り
前半のドタバタ系パートは池亀色が濃厚だが演者がオトナなので(?あくまで私見)また違った味わいがあり、終盤ではしっとりとした哀しみも漂って(「まあくんがいなくなった」以降、立花・マツリそれぞれの喪失感が現出して切ない)、コロ・池亀ご両人のイイトコ取り的な感覚。
OP・EDのシルエットで見せるダンスもステキ!(映画のOPタイトルバックのようでもある)
focus. 神話
ミームの心臓
王子小劇場(東京都)
2013/05/02 (木) ~ 2013/05/08 (水)公演終了
満足度★★★
構成はともかくなげーよ!
【総論】
「どちらかと言えば神話よりもアレでは?」に始まり、真っ当に神話に向き合い過ぎた(?)ものを経て、程よくバランスの取れた作品で締めた、な感じ(私見)。
【各論】
ハイブリッドハイジ座「皮にパンク」
神話と言うより都市伝説的な題材だったがトップバッターとして観客を引き付けるに足るイキオイはアリ。
ただ、70分はチョイ長?
ミームの心臓「東の地で」
いかにもミームらしい雰囲気を持った「力作」。
いや、幹事ということもあってかチカラが入り過ぎて堅苦しいという意味で。
とはいえ、終盤での結界(?)や血の「見せ方」などが好き。
四次元ボックス「cicada」
両極端な2作の後に程よくバランスのとれた1作。
移転前のユーロスペースの小さい方のスクリーンでレイト上映されていた映画のようなニオイと神話ネタが上手くブレンドされて好み。
しかし全部観ると3時間半(初日は4時間だったとか)にも及ぶというのに小さなパイプ椅子の席が多いのはいかがなものか?
いのちだいじに【全6ステージ終了しました!】
駄目なダーウィン舎
アートスタジオ(明治大学猿楽町第2校舎1F) (東京都)
2013/05/09 (木) ~ 2013/05/12 (日)公演終了
満足度★★★★
「ホンキのオトナの学芸会」あるいは「新世紀型アングラ」
レトロフューチャー風味の少年冒険活劇。
思いっきりベタな展開、あからさまなカツラ、わざとらしいメイク、芝居がかった台詞回しなど、良い意味で「ホンキのオトナの学芸会」あるいは「新世紀型アングラ」?(笑)
練馬というB級(三流?)感溢れる地が舞台なのもイイ。
もうひとつある世界の森に巣喰う深海魚たちの凱歌
あなピグモ捕獲団
シアター711(東京都)
2013/05/09 (木) ~ 2013/05/12 (日)公演終了
満足度★★
本編はともかく時間にルーズ過ぎる
まるで夢の中のように森からエレベーターの中などといつの間にやら場が移っているという舞台向きな展開の前半と人や世間との繋がりに芥川リスペクトを加えた後半が割と好みだが、定刻前になし崩し的に受付を開始したり開演が10分以上押しても知らん顔だったり、時間にルーズなところはいただけない。(よって星を1つ減ずる)
一方、客席に忘れ物があったことを終演後いち早くメールで知らせたことについては感心。
おるがん選集 3
風琴工房
くらしのアトリエ ひらや(東京都)
2013/04/27 (土) ~ 2013/05/06 (月)公演終了
満足度★★★★
「小説を見せる」感覚
観る文学または立体文学なオモムキ。
片や原作を読んでおり、片や初演を観ていながらも、ディテールが記憶から飛んでいたので新鮮?(爆)
そんな中、「痩せた背中」での回想場面の見せ方が独特と言うか、さりげなくヒントを見せて入るので「あ、そういうことね」とワカる、な感じ。
また、「小説を見せる」な感覚で、原作の記述はこうなんだろうな、と想像できる気がしたと言うか、実際に思い浮かべてしまったりもして。
春のおたより
てがみ座
ギャラリーLE DECO(東京都)
2013/05/08 (水) ~ 2013/05/12 (日)公演終了
満足度★★★★
あの武骨な会場が!?
劇団員による自主企画。時節柄タイムリーな題材を扱った作品を選択したこともさることながら、演技・明かり・音によってあの武骨なルデコの4階からイントレが(脳内で)消えてマンションの部屋や用水路脇、竹籔に変貌するのがさすが。
暗室の窃視者
オフィス再生
APOCシアター(東京都)
2013/05/09 (木) ~ 2013/05/12 (日)公演終了
満足度★★★★
プレトークに助けられた
高木主宰が13歳の頃に思ったこと2点(星は覗き穴、言葉の共通認識)をベースにした「やりたいことをやった」との一編。
確かに今まで観てきた中で最長にして最もワカりにくいか?
プレトークなしではさっぱりワカらんかったかもなぁ?
で、端的には「純演劇もしくは薄暗がりの中での散文詩とダイヤロオグ、高度で難解かつナンセンスな言葉遊びを含むストーリー添え」といったところか?
明け星の頃には ~セロ弾きのゴーシュ~
ゲンパビ
シアター風姿花伝(東京都)
2013/05/03 (金) ~ 2013/05/05 (日)公演終了
満足度★★★★
青空文庫で原作読むぜ♪
セロ弾きをライターに変えるなどした翻案部分だけではピンと来なかったかもしれないところ、原作(を抜粋してのリーディング)パートも併行させることで相乗効果をあげるという頭脳プレー。
ノートPCの照り返しを使ったり、灯体のいくつかをかなり低いところに下げたり床に置いたり、な明かりとシンプルながら空間をうまく整理して使い分けた装置も同様に1+1が2より大きい効果をあげている、的な。
青空文庫で原作読むぜ♪
サクラにままごと
劇団「14歳」
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2013/05/02 (木) ~ 2013/05/06 (月)公演終了
満足度★
次回が正念場か?
主人公である女子中学生2人が迷い込む異世界が如何なる設定なのかすぐにワカらないのでノリ遅れてしまう上にテーマが絞りきれず半端になった印象。
第1回から続けて観ているが、次第に満足度が下がり、今回はとうとうチケット代に届かない感じ。次回は持ち直して欲しいモノだ。
クリエイタアズ ハイ
ホチキス
OFF OFFシアター(東京都)
2013/04/17 (水) ~ 2013/04/28 (日)公演終了
満足度★★★★
ようやるわ!(笑)
お得意(?)のナンセンス気味ファンタジー、いつもながらのクオリティに2Dが3Dになるギミックなどもありさすが、と思っていたら終盤でさらに大きなシカケが登場して一気にさらう、的な?(笑)
某劇団並みのスペクタクルや客席上空のアレなど、ようやるわ!
Turn-over
劇団Peek-a-Boo
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2013/04/25 (木) ~ 2013/04/29 (月)公演終了
満足度★★★★★
ある程度の年齢を重ねないと書けない領域?
生前の行いの善さにより人生の途中からやり直すチャンスを与えられた主人公の「もうひとつの人生」の結果は?というストーリーを通して語る人生論・幸福論。
といっても語り口は柔らかくユーモラスで堅苦しさなど皆無でむしろ優しく楽しい。
誰もが思ったことがあるであろう「もしもあの時…」がたとえ実現していたとしても今より良い人生になっていたとは限らないし、遡ってやり直すことは自分の人生やそれに関わった人々を否定することになるので、今を大切にしなさい、というメッセージが心にしみる。
若干の説教臭さがないとは言いきれない(爆)が、少なくとも観ている間はそんなことは感じさせず、老い先短くなった時の幸福、何を以て幸福と考えるか、何に幸福を感じるか、そして息を引き取る時に良い人生だったと思えることこそ幸せなのではないか、などのテーマがあたたかくてステキ。
ある程度の年齢を重ねないと書けない領域だろうなぁ。
なお、是枝裕和監督の「ワンダフルライフ」(1999年公開)を連想したりも。
猪突タッチアップ≪ご来場ありがとうございました!≫
劇団ズッキュン娘
北池袋 新生館シアター(東京都)
2013/04/25 (木) ~ 2013/04/29 (月)公演終了
満足度★★★★★
アッパレ!な青春ドラマ
安定の池亀脚本とテンポの良い演出に演技陣も応えての三位一体、アッパレ!
上手の通路と舞台下手のハケ口を使ってのスピード感ある場転は会場の活かし方を心得ているなぁ、とも。
また、オープニング他での試合・練習シーンも狭い中でそれらしく見せており、20歳の国の「花園」と双璧を成す、な感じ。
さらに、通路に増設した席を終演後すぐに撤去したりのスタッフワークも◎。
ブラック・サバンナ
世田谷シルク
アトリエ春風舎(東京都)
2013/04/03 (水) ~ 2013/04/14 (日)公演終了
満足度★★★★
新境地「堀川SF」を堪能
基調は夢の中のような現実離れしたあるいはブッ跳んだ世界ながら「あんなこと」や「そんな事例」(ネタバレBOXへ)を通して溶け込んでいた「あるもの」が浮上してくる、みたいな。
また、オチが小松左京とかそのあたりのSFにありそうでニヤリ。考えようによっては本作を原案にして「2001年…」とか「コンタクト」のような哲学気味のハリウッド映画も作れるのでは?とさえ思う。(あくまで私見)
戦場のピクニック
長堀博物館◎プロデュース
d-倉庫(東京都)
2013/04/23 (火) ~ 2013/04/24 (水)公演終了
満足度★★★★★
長堀アレンジ絶好調
人物を2人削って1人加えた上で創作部分を加え、冒頭の兵士のパートを敵兵と2人に言わせたり「敵になったのはいつからか?生まれた時からか、その後か?」という問答を繰り返したり(大事なことなので◯回言ってみました的)で長堀アレンジ絶好調。
慰問歌手(←創作人物)のラストの反語的でシニカルな台詞も心に刺さり、反戦の意志をより強く押し出したことに感銘を受ける。(←やや大袈裟)
フェルナンド・アラバール「戦場のピクニック」フェスティバル
die pratze
d-倉庫(東京都)
2013/04/23 (火) ~ 2013/05/06 (月)公演終了
満足度★★★★★
gojunko、佐渡島明浩、長堀博物館
【総論】
gojunko はオーソドックス、佐渡島明浩は何と素舞台に2人だけで、そして長堀博物館は人物を増減させて内容も加徐して見せて、最初に編曲しバックも付いた完成品を聞かせ、次いでアカペラ版、最後にRe-Mix ver.で締めた、という感じが面白い。
【各論】
gojunko は所謂一般的な芝居のスタイルで、どこまでが戯曲でどこまでが演出なのか、と思っていたところに佐渡島明浩がト書きまで読むカタチで見せてくれて「あぁなるほど」と。
長堀博物館は別途そちらの公演情報へ…。
ウェルカム・ホーム
天才劇団バカバッカ
テアトルBONBON(東京都)
2013/04/18 (木) ~ 2013/04/29 (月)公演終了
満足度★★
終盤のネガティブさがチグハグ
マスコミ批判の部分やラップの使い方、35人(?)ものキャストの使い方はイイが、終盤の怨み節パートがネガティブ過ぎてそこまでのトーンとチグハグ。
最後にジャンプすべく強く踏み切ったら床を踏み抜いてしまい、ジャンプし損ねるどころか怪我までしちゃった、的な。
ASSH-DX vol.3『危機之介御免』
ACTOR’S TRASH ASSH
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2013/04/10 (水) ~ 2013/04/21 (日)公演終了
満足度★★★★
娯楽作品かくあるべし
実在した人物も交えての娯楽アクション時代劇。
いのうえ歌舞伎以前、アプルやサンシャインで公演していた頃の劇団☆新感線と「同じ祖先ながら別々の進化を遂げた」ような味わい?(東西の違いも含む)
最近観たいくつかの芝居のように作中人物の命を徒に奪うのでなく、ストーリー上の必然的な死であることに好感…いや、それが本来のあり方なんだが。
また、三つ巴状態から次第に1つの悪に対抗するカタチになる流れや笠原紳司の存在感、高木万平の華などを筆頭とした的確なキャスティングも巧く、娯楽作品かくあるべし、な感じ。アッパレ!
あと、由井正雪に「熱狂」のヒトラーたちのイメージが重なったりも…。
My Favorite Phantom
ブルーノプロデュース
吉祥寺シアター(東京都)
2013/04/26 (金) ~ 2013/04/29 (月)公演終了
満足度★★★★★
「ハムレット」BP-Mix ver.
「ブルーノプロデュース節」満載のリミックス版「ハムレット」?
ドキュメンタリーシリーズの手口(笑)を知っている身として作り方を推察できる部分もあって頬が緩みっ放し。
また、緩急や静動を心得た構成に音楽(それも交響曲とか)的なモノをやはり感じたりもして。「旋律なき音楽」?
沙翁のハムレットを期待して足を運ばれたお客さんもいらっしゃるだろうし賛否両論とは思うが、個人的には絶賛気味。
ブルーノプロデュース版(so called「BP-Mix」?(笑))の「授業」や「戦場のピクニック」を観たくなったりもする。
次回の長堀博物館プロデュースに加えて欲しい団体だわ。(と、おねだりしてみる)
なお、客席通路や後方、さらにバルコニー部分も演技エリアとなるので、H列やI列(←最後列)がオススメ。そしてセンターに限らずむしろ端の方が全体を見渡せるかも?
で、間違っても「ハムレット」を見に行ってはイケナイ(爆)。
ぼーくらは、みんなーいーきている〜
Moratorium Pants(モラパン)
新宿眼科画廊(東京都)
2013/04/21 (日) ~ 2013/05/01 (水)公演終了
満足度★★★★
モラトリアム編
オーソドックスなスタイルで文学的とも言える萩原戯曲をモラパンならではのPOPな美術の中で見せて独特の味わい。
「忠臣蔵ブルース」の床の間と「ヒカリモノ」の照明が特に印象的。
それにしても、演ずる役のための「アレ」とはいえ、オープニングで学生服を着た加賀美さんの違和感と言ったら!(爆) 芝原さんの方がよっぽどサマになっているってくらいで…(笑)
一筆入魂~締切追う者、追われるもの~
劇団熱血天使
ワーサルシアター(東京都)
2013/04/17 (水) ~ 2013/04/21 (日)公演終了
満足度★★★★
新境地への挑戦
明治の文士や編集者などを通して文学とは?何故書くのか?などを軽妙洒脱に描いて新境地に挑戦しているが、連作短編形式のためもあってか1本の作品としては今一つまとまりに欠ける感が無きにしも非ずなのが惜しい。
一方、一旦暗転した後のブル転で椅子・テーブルなどを移動させた後に前の場の出演者が前列、次の場の出演者が後列に並び、再び暗転してから次の場に進むという場転が妙案。
なお、実在の人物を使うこと、場転後に時がある程度過ぎていることなどに井上ひさしの作風も連想。