じべ。の観てきた!クチコミ一覧

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すきだった、うた

すきだった、うた

空晴

OFF OFFシアター(東京都)

2025/09/19 (金) ~ 2025/09/23 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/09/22 (月) 14:00

とある町の公民館の一角、「うた会」サークルのメンバーたちの会話劇。
で、最初は「え、どういう状況?」「この人たちの関係は?」「口を開けばすぐ否定されるあの人は誰?」など観客に疑問を持たせておいてその後の会話の中からそれらを解きほぐしてゆく構成がいつもながら巧み。
そうして語られるのは出演者たちの年齢相応なコミカルだがペーソス(?)も漂う「等身大の物語」。
そんな味わいは空晴ならではのものかもなぁ。

十二人の怒れる男

十二人の怒れる男

ハツビロコウ

小劇場B1(東京都)

2025/09/18 (木) ~ 2025/09/23 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/09/21 (日) 12:00

記録に誤り(抜け)がなければ観るのは通算22回目となる本作、元々の戯曲に複数の版がある上に演出(設定等も含む)の違いもあって何回観ても面白い。
今回は終盤で10号を11人が拒否する場面で何人かは座ったままだったのが(記憶の範囲内では)初めてで、むしろリアリティを感じて「その手があったか!」と。
また、口頭での採決時に「有罪……ではありません」という思わせぶり(?)な回答ではなく「無罪」だった他、省略された部分もあり進行がスピーディーな印象。
その分、最近あまり観なかった有罪側の「犯行再現」や「賢いのか愚かなのか」部分、「被告はあなたお息子さんではありません」などがあって「それな!」的な。(笑)
あと、過去にも複数あったが序盤での窓からの風に7号が寒さを訴え、席を替わる部分をカットして陪審員番号通りに座る設定は後から役者を確認するのに便利で支持。
さて、次に観るのはいつ、どの団体だろう?(期待)

八剱版 真田三勇士〜猿と霧と鎌と幸〜

八剱版 真田三勇士〜猿と霧と鎌と幸〜

武双剣舞威衆 八剱

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2025/09/18 (木) ~ 2025/09/23 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/09/20 (土) 13:00

十勇士集結前、猿飛佐助・霧隠才蔵・由利鎌之助を家臣とすべく動く真田幸村に徳川方も加えた物語を台詞なしに動作やダンス・殺陣などで描いた2時間余、当日パンフレットの相関図のおかげもあって8割方は理解できたか?幸村の史実に詳しければより理解が深まったか、はたまた山田風太郎的味わいも多いのでそこは無関係か?(笑)
それにしても台詞なしで2時間余をもたせるとは……

きらめく星座

きらめく星座

こまつ座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2025/09/07 (日) ~ 2025/09/22 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/09/14 (日) 13:00

40年前の初演以来通算10回目(5年ぶり)となり、観ていて先がワカって泣けるのみならず、かつてのキャストを想い浮かべたりしつつ堪能。
随所に戦争のあれこれに関連して利を得ようとする浅ましい行為への皮肉(というより告発/怒り)が含まれていて妙にイマとのシンクロを感じてしまう。そして本作を今、上演する意義を痛感するとともにそう感じてしまう昨今の世相に「ヤな渡世だなぁ」と感じざるを得ない。(嘆)

ポオの眷属たち

ポオの眷属たち

かはづ書屋

新宿眼科画廊(東京都)

2025/09/12 (金) ~ 2025/09/16 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/09/13 (土) 12:00

木々高太郎と小栗虫太郎を「探偵役」に据えた中編2編。片やギリシア悲劇の引用もあるシリアス系、片や古典落語の引用があるコミカルタッチと対照的だがどちらも「推理もの」として成立させているばかりでなく引用元を知っているとより楽しめるシカケが巧み。
また、配役が的確と言うか衣装も含めて文字通り「役柄を体現」していて会場サイズもありまるで時空を超えてその場に居合わせている感覚。これぞかはず書屋だぁね♪

遊びの杜18

遊びの杜18

東京幻堂

「劇」小劇場(東京都)

2025/09/10 (水) ~ 2025/09/13 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/09/12 (金) 14:00

前身企画から通算すると20年を超える恒例公演最新版。オープニングアクト的な三番叟、今年は人形振りで。糸操りなだけに途中で糸が縺れたりする演出があれば、と思っていたら糸が切れて結び直す部分があり「やっぱり!」的な(笑)。続く3編はいずれも古典が元ネタだが、狂言「蚊相撲」のブッ跳んだ発想に度肝を抜かれる。
休憩を挟んだ第二部は芥川龍之介作品(大元のネタは今昔物語集)を元にした2編で朗読に舞台上の演技をかぶせる形式。2編目などもう「当て振り」と言っていいほどで、こういう演劇表現も面白い。
さて、来年はどう攻めてくるのか?

nitehi:kedo

nitehi:kedo

こわっぱちゃん家

Route Theater/ルートシアター(東京都)

2025/09/10 (水) ~ 2025/09/14 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/09/11 (木) 14:00

親しい相手と言葉を交わせなくなったことに起因する「GRIEF」という精神状態についての研究者と生成AI技術者が共同開発する似て非……もとい「nitehi」なる技術に関する近未来もの。
昨今のAIの進歩から考えればいかにもありそうな技術だし被験者となる二組の家族(+α)の状況も身近にありそう、と現実味たっぷりで描く「家族の想い」。
そして「言葉を交わせなくなった原因」を死別だけでなく他に2つ提示するのが巧み。これによって物語に奥行/幅を与えている感じ。
で、昨年3月の初演時の印象は「家族の想い」が強かったのに対して今回は(そちらもさることながらどちらかと言えば)技術面だったのは昨今のAI事情(についての認識)によるものか? 昨年はSFと受け取っていたのに今や「現実の少し先」だもんなぁ(驚)。

縁側で呼んでいる。

縁側で呼んでいる。

劇団PIS★TOL

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2025/09/03 (水) ~ 2025/09/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/09/06 (土) 13:00

母の葬儀で千葉県の実家に交際相手と共に帰った次男が姉・兄・従兄と振り返るその家で起きたこと=家族の歴史を回想する。
そんな内容だけに(?)暗転や転換なしに現在から過去の場面に転移する(しかも今の人物はそのまま子供時代も演じる)がちゃんと「あ、ここは回想場面ね」と察することができるのはσ(^-^) が観劇慣れしているからだけではあるまい。
また、各人物の関係を説明台詞なしに観客に伝える会話も巧みだし、二人の出演者が演ずる二役やプロローグとエピローグの「留守電」関連の場面など「演劇的小技(?)」も利かせて見事。
ただ、開演が6分遅れたことについて開演前・終演後とも何も触れなかったのは珠に瑕。

かこちゃんの後悔

かこちゃんの後悔

なかないで、毒きのこちゃん

ザ・スズナリ(東京都)

2025/09/03 (水) ~ 2025/09/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/09/04 (木) 14:00

レンタルビデオ店でアルバイトをしながら劇団公演に臨むかこちゃんの部屋に突然見知らぬ女性がいて……な物語。
そんなかこちゃんの日常はタイトルで暗示されているようにほろ苦いものとなってしまうが「謎の女(実は未来から来た○○)」の言葉に救われる。これ、困難があってもたり挫折したりしても楽しんだモン勝ちじゃね?というポジティブなエールだよね。
そしてそれが2年前にコロナ禍で公演中止になりながら今回の公演にこぎつけた事実と重なってホロリ。
あと、本編との関係が見当たらないまま進行する場面が25年の時を隔てた一大浪漫に繋がろうとは! ここにもヤラレタ。

ろりえの暴力

ろりえの暴力

ろりえ

新宿シアタートップス(東京都)

2025/08/27 (水) ~ 2025/09/07 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/09/03 (水) 14:00

4派に分かれていがみ合う「ゴル中七天王」に新人教師がアカペラコーラスの魅力を伝えることで更生(!)させるという清々しいほどにベタな(笑)学園青春ものだが「そうそう、こういうの、あったよなぁ」な懐かしさに囚われる。
それに加えて PLAT-formance(あやめ十八番のバンマス吉田能と本作でDJやボイパを披露する安藤理樹のユニット)が音楽監修なこともありアカペラバトルでのパフォーマンス(演者は言わずもがな)が圧巻、こんなの反則だよぉ!(笑)
いや、舞台美術も含めてお見事でした♪

ぼくらのおはなし

ぼくらのおはなし

東京ノ温度

新宿眼科画廊(東京都)

2025/08/29 (金) ~ 2025/09/02 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/09/01 (月) 15:00

複数の二人芝居の断片を呈示してからそれらを関連付けてゆく形式の「一種のSF系」。
軸となるのは時間ものでしばしば使われる心だけのタイムスリップ(本作では「ココロップ」と呼称)だが、劇中でそれに疑問を呈するとは!(笑)
さらにそれだけでなく従来このテの作品では描かれることがなかった「ココロップされた側」も描いたのが画期的大発明(!)。
実は、主人公がある日突然違う境遇のパラレルワールドに行ってしまうという映画「知らないカノジョ」を観た時に「その主人公に入れ替わられたもう一人はどうなったの?」という疑問を抱いたので「そうそう、そっちも描かなくちゃ!」と膝を叩いた。
似た発想をする方がいらして嬉しい♪

七月の歯車

七月の歯車

guizillen

APOCシアター(東京都)

2025/08/27 (水) ~ 2025/08/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/08/31 (日) 13:00

最終日に両チームを観劇。
溺愛するあまり娘を束縛どころか軟禁/支配している父親とその娘を解放しようとする流れ着いた旅の青年(と娘)を中心にした物語。
「父」や「青年」の「ちょっと困った部分」が積み上げられてついに……という構成が「典型的な悲劇」で巧み。
観ていて何度「あそこで踏みとどまっていれば……」と思ったことか! ものの見事に術中にはまっているよね(笑)。
また、B・A両チームを続けて観たが「基本形のB、応用編のA」という印象。主にBでは冷静、Aでは情熱的(?)なペペの造形によるものか?
さらに、Bでは華奢な父が体格の良いペペに馬乗りになるからまだイイが、Aだと体格が逆なので殴り殺しはしないかとヒヤヒヤしてしまう(笑)。
あと、「18歳の女性」の使い方と劇中でそれを明かすタイミング/明かし方が絶妙。確かにそのどちらのイメージがあるもんね。

ところで舞台となる地名「くらなだ」、「蔵灘」などと考えがちだが「鞍名田」とかの可能性はないか?(台本ではどう表記されているのだろう?)

ハムレットマシーン

ハムレットマシーン

サブテレニアン

サブテレニアン(東京都)

2025/08/29 (金) ~ 2025/08/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/08/29 (金) 16:00

2018年にフェスティバル絡みで11団体による上演を観て演出によって変えることができる「余白」たっぷりと悟った戯曲、7年ぶりに観る本作は特に今の情勢を取り込んだというか揶揄したというかそういう感じ。
冒頭で作者ハイナー・ミュラーの生涯などに関するパフォーマンスがあり、時々「今も似た状況があるのでは?」と思ったことも影響しているかも。
娯楽性とは程遠い作品だが、今後折に触れ様々な演出で観てみたいと改めて思った。

TEXAS KILLERS FOURTEEN

TEXAS KILLERS FOURTEEN

大統領師匠

駅前劇場(東京都)

2025/08/27 (水) ~ 2025/08/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/08/28 (木) 14:00

SF、ナンセンス、怪獣ものなどの要素を混ぜ込んだ「珍妙な(←褒め言葉)」ハイブリッド。
物語の軸である「家電生物」はナンセンスの極致(爆)なのにどこかリアリティ(!?)を感じてしまうのはその発明の元のSF的設定がそれっぽいからか、某劇団(今回客演者もいるし)の家電等の擬人化で「慣れて」いたからか?(笑)
そこにさらに巨大生物もの、ってか怪獣ものの要素もブチ込むとは欲張りさん♪
そして家電生物のデザインセンスの良さたるや!
最初、電話が「床を走って」いる間は気付かなかったが持ち上げた時に足が生えていることに感動(笑)。続いて登場した着ぐるみ(爆)も「某劇団」とはまた異なったアプローチで「よりリアルを求めた」みたいで佳き♪
これもまた「大のオトナのごっこ遊び」系(もちろん褒め言葉)と言えるのではあるまいか。

ネタバレBOX

2つの巨大ショッピングモールが寄り添い交尾するあたりで漠然と庵野秀明脚本・総監督、樋口真嗣監督・特技監督「シン・ゴジラ」の第二形態(いわゆる「蒲田くん」)の場面が脳内に浮かんだんだが、σ(^-^) だけか?
銀河鉄道の夜

銀河鉄道の夜

公益財団法人武蔵野文化事業団 吉祥寺シアター

吉祥寺シアター(東京都)

2025/08/23 (土) ~ 2025/08/24 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/08/24 (日) 15:00

原作にかなり忠実な舞台化。
銀河鉄道内に場面が移る時の装置の変化など特にステキ。
また、カムパネルラとジョバンニ以外の登場人物は4人の出演者が演じ分けるが、そう言えば本作は停車駅毎に場が替わるのでこの手法に適していると思ったり前月に観た OuBaiTo-Ri「マクベス」を思い出したり。
さらにそのキャスティングならびに表現が巧みで大きく頷く。
企画意図通り親子連れも多かったが、年少時にこうして宮沢賢治や演劇に接するってイイよね♪

鶏の首から上

鶏の首から上

あんよはじょうず。

阿佐ヶ谷アートスペース・プロット(東京都)

2025/08/18 (月) ~ 2025/08/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/08/21 (木) 14:00

21日14時のひよこ組と22日14時のたまご組を観劇。
高畑主宰の19歳時の処女戯曲の改訂版。その情熱が迸るようなテンポの良い会話に冒頭からグイグイ引き込まれる。
そして背徳感も内包した疾走感あふれる作風は「これが若さというものか!」であり、初期の柿喰う客と通ずる印象もあった。
あと、舞台美術が何ともステキ♪

伊能忠敬、測り間違えた恋の距離

伊能忠敬、測り間違えた恋の距離

アナログスイッチ

ザ・スズナリ(東京都)

2025/08/14 (木) ~ 2025/08/19 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/08/18 (月) 14:00

それまで3人の妻を持ちながら(いずれも死別)「恋愛には不器用」な伊能忠敬が家出した内縁の妻との関係をどうにか修復しようというラブコメディ(!)。50歳を過ぎていながらも「中学生の初恋かっっ!!!」な忠敬が「カワイイ」(笑)。
そして終盤での互いに相手の様子を望遠鏡で見て勝手に会話を想像(妄想)するとか、全員一堂に会してのわちゃわちゃとかコメディの真骨頂?
あと、歴史上のあんな人物やそんな人物を主要人物として登場させるのも愉快。
その手口(笑)に往年のNHKドラマ「天下御免(脚本:早坂暁・1971年~1972年)」を思い出した。
そんなところも含めて楽しかった。

糸洲の壕 (ウッカーガマ)

糸洲の壕 (ウッカーガマ)

風雷紡

座・高円寺1(東京都)

2025/08/16 (土) ~ 2025/08/19 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2025/08/17 (日) 14:00

太平洋戦争末期の沖縄戦、病院壕内の軍医・学徒動員の女学生らを史実に基づいて真摯に描いた力作。
装置(枠組みだけの大きな立方体を3つ組み合わせたものが左右に聳え立っている)こそ抽象的だが話の展開は生々しく、そこでの人物たちの戦争への疑問や怒りが直接的に伝わってくるというか、そのまま観客のものになるよう。
また、医薬品不足な中、モルヒネと青酸カリはあるとか退却時に歩ける者だけ連れてゆくとかの状況が現実にあった恐ろしさ。前々日に観たものとは全く違う意味で「やだなーやだなー、こわいなーこわいなー」だよね。
それでいて、最後は人道的な方向に向かう(=稀有な例とのこと)が当時このような判断をした人物がいたことが救い。
そして終盤の小池少佐の「生きてこの事実を伝えよ」という言葉が結実したのが本作の元となった資料群であり本作であるということに感動し、直接語ることができる人が減りゆく中、こういう方法で語り継げると改めて気付く。
あと、演劇やダンスなどをしている小学生から高校生をゲストに招いてのアフタートークも面白かった。

ネタバレBOX

劇中の疑問は
「お国のために死ぬとはこういうことなの?」
「なぜこうなってしまったのか、なぜこうなる前に手立てをしなかったのか」
など。
発表せよ!大本営!

発表せよ!大本営!

アガリスクエンターテイメント

シアターサンモール(東京都)

2025/08/13 (水) ~ 2025/08/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/08/16 (土) 13:00

ミッドウェー海戦の戦果を大本営発表として放送するまでを描いたコメディ。
序盤から笑って観ているが、初演同様心の片隅に「これ、笑っていいのか?」な後ろめたさ/居心地の悪さがあるのはやはり「戦争という忌むべきもの」が真裏にあるからか。
そしてこの後ろめたさはラストの勇太の一言(パンチラインだよね)で着地する。イマの観客は劇中でのハッピーエンドが現実でのビターエンドと知っているだけに、痛烈な戦争批判に感じられる。
そして全体の構成は喩えるなら底の穴に栓をした容器に水をはりその栓を抜いた時のよう。緩やかに動いていた水が次第に渦の速さを増して最後は一気になくなるが如し。終盤のテンポ/スピード感は圧巻。
あと、初演時にも感じたが「不都合なことは庶民に隠しておく」という為政者の手口はあれから80年経った今でも大手を振っており、何だか情けなくもなったり。
なお、プロローグ(1944年)の発表と実際の数字差も本編での発表までの時間差(途中の半端な発表も含む)も史実に基づいているとのこと。(アフタートークより)

JULIO -フリオ-

JULIO -フリオ-

はぶ談戯

駅前劇場(東京都)

2025/08/13 (水) ~ 2025/08/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2025/08/15 (金) 14:00

医療実験(?)に起因する猟奇殺人事件にまつわるホラー。
断片的な情報を結び付けてゆき真相に近づいたことで起こる惨劇、というのは奇しくも前日に観た背筋原作・白石晃士監督「近畿地方のある場所について」と通ずるモノがあるような。
が、こちらは生の演劇であり、その制限下でのスプラッタ表現を筆頭に、舞台前方・後方を分ける2枚の可動幕や照明効果を駆使した演出など演劇としての表現が見事。
終盤での恐怖を煽るための「溜め」が長めでテンポが落ちた感もあるが、一件落着と思わせてからの終幕がヤだ。それが読めてしまうだけに「ダメ!ダメ!それやっちゃダメぇ~!」なんだな(笑)。しかもそこでバッサリ切ってカーテンコールもない(肯定)なんて……gkbr
大王としてもはぶ談戯としても異色の本作、映像でも観てみたいとも思った。(エグそう(笑))
なお、2000年の遊気舎版(演出:楠見薫)は観ていたが、観たという記憶のみで内容はすっかり忘れていた。(四半世紀前だもの)
あと、「ある部分」に手塚治虫のブラック・ジャック「春一番」(大林宣彦監督「瞳の中の訪問者(1977年)」原作)を思い出すよねぇ。

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