
夢去りて茜色の帷、君のこと忘れるたび
飛行天幕
雑遊(東京都)
2026/08/20 (木) ~ 2026/08/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/08/21 (金) 14:00
会場に入った途端「あ、やっぱり!」な対面客席。そして高さ30㎝くらいのロの字型の「渡り廊下」に囲まれた演技エリアで語られるのは赤ずきんの本歌取り。
まずはこのロの字型の部分をある時は森の中の道、ある時は家の中と外を区切る境界的なものに使うのが妙案。
そして原典よりも時間軸を広げて赤ずきんと祖母の長年に亘る月日を見せ(その見せ方も巧み)赤ずきんの「成長と旅立ち(?)」を描くアイデアに脱帽。
さらには狼のポジションにも感嘆。
ってことで渡辺戯曲の真骨頂を堪能。
なお、原典についてシャルル・ペロー版は赤ずきんと祖母が狼に食われるという結末だと初めて知った。(驚)

おコント
大統領師匠
萬劇場(東京都)
2026/08/18 (火) ~ 2026/08/19 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/08/19 (水) 14:00
長編作品に手を出す(笑)前の大統領師匠ってこうだったよね、なコント集、3月に続く第二弾。
ストレートなものからシニカルやブラックな捻りのきいたものまで多彩で、その着想/発想に感服。
ちなみに一番のツボは「二重の意味でくさらないで」か?(謎)
なお、-ヨドミ-では決して見ることができない(が、かつてノーコンタクツでは見た覚えがある(笑))はじけたキャラの創木さんは貴重かも?

東京ブッシュレンジャー
Oi-SCALE
新宿シアタートップス(東京都)
2026/08/15 (土) ~ 2026/08/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/08/16 (日) 14:00
社会の表と裏の境界で蠢く人々が織りなすドラマ。
「深夜2時のような静けさの中で事態が進行してゆく」という持ち味は変わらないが、従来作品にあった「どこかファンタジック」「かすかでも救いがある」という要素がなくひたすらダークなのは新機軸?
また、オムニバス?と思われた複数のエピソードが次第に関連付いて「あの結末」に向かう構成が巧みだし「キャッチボール」の表現とそのオチが好み。

卓
風雷紡
小劇場B1(東京都)
2026/08/12 (水) ~ 2026/08/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/08/13 (木) 14:00
初めて観た風雷紡(当時は芝居屋風雷紡)作品「墨を塗りつつ(2010年)」の改訂版。
初演も「市井の人々に戦争が残した疵」が前面に押し出されていたが、本作はそれに加えて「日本が朝鮮に対して犯した罪」も描いてより反戦色が濃くなった感じ。
また、地方の旧家での連続殺人事件や一族の一人が復員するなどに加えて呼ばれていた探偵が結局惨劇を防ぐことができないという横溝正史オマージュにニヤニヤ。(そう言えば最近の若者に横溝正史ネタは通じるのだろうか?)
あと、冒頭場面(交わされる会話から「真相」を察知)の再現を経て迎えるラストシーンは3通りの解釈ができるが、やはり一番ハードなものなんだろうなぁ、しかしそれは絹代にとっては幸せなのかも?と思ったり。
なお、その冒頭場面の手法にやみ・あがりシアターの「背に描いたシアワセ(2016年)」を想起(謎)。

隔たる
JACROW
新宿シアタートップス(東京都)
2026/08/06 (木) ~ 2026/08/12 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/08/12 (水) 14:30
一言で言えば「深い」。
連続射殺事件の未決囚の著書に感銘を受け文通を経て獄中結婚した女性が再審での減刑に向けて奔走する話だけに被害者遺族の態度が和らぐとホッとしつつ「待て待て、彼は人を殺したんだぞ」と我に返り、以降、「罪」「償い」「赦し」「殺人という罪の重さ」などが脳内を駆け巡り「人が人を殺すこと」についても考えを巡らせる。
また、「壁的なもの」が回転する簡素ながら様々な場を表現するだけでなく最終場で「そう使うか!」な装置もイイ。
あと「花咲か爺さん」が「アレ」の伏線だったとは!(感服)

ラブイデオロギーは突然に〈劇場版〉
劇団だるめしあん
座・高円寺1(東京都)
2026/08/07 (金) ~ 2026/08/11 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/08/09 (日)
9日にマチソワで両チームを観劇。
2006年に大ヒットしドラマ化もされたケータイ小説の作者と脚本家がとあることから作品世界に作中人物として入り込んでしまい、作中の「悲劇」を防ぐべく尽力するが……な「異世界転生」系。
この種(時間ものも含む)の「お約束的展開」を巧みに使いこなし、ケータイ小説の「特徴」や2006年当時と今の倫理観・価値観の違いなどで笑わせておいた末に2006年の価値観では思いつかないであろう解決策にたどり着くことに感服♪
あと、序盤でYouTubeにリカがツッ込む場面、恋組の掛け合い漫才のようなテンポが印象的

戦浄のパンクロッカー
レティクル座
萬劇場(東京都)
2026/08/05 (水) ~ 2026/08/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/08/07 (金) 14:00
存続の危機に瀕したパンクバンドが「未来から来た」と称する人物によって1000年後の洋式派vs和式派の権力闘争に巻き込まれ……なナンセンスコメディ。
9年前ゆえ初演時の記憶は無きに等しい(爆)ものの当時の感想に「盛り込みすぎで120分弱は長い(がサービス精神の顕れであり可)」とあるが、今回はそれよりも15分ほど短いし「盛り込みすぎ」感もなく「巧く刈り込んだ」といったところか。
そして衣装を筆頭とした舞台美術にも力が入っており15周年記念グレードアップバージョン、的な?
なお、オープニングの「某有名大人気ミュージカル」オマージュ場面の段ボール製のチープ感満載(←褒めている)のアレはアッパレ!(笑)

この夏、屋根裏から異世界へ(※行けません)
猿博打
OFF・OFFシアター(東京都)
2026/08/05 (水) ~ 2026/08/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/08/06 (木) 14:00
亡くなった祖母の家を片付けに訪れた女性が屋根裏部屋でRPGから抜け出たような「勇者」と遭遇し、な状況から始まるファンタジックコメディ。
その二人のやり取りだけでもとても面白いが、「もう一人」が現れてからの展開が圧巻。
「さらに上位」が出現するのはある程度予測できたがまさか「三すくみ状態」とは見事に一本取られた感じ。
そうして迎える結末は「楽しかった夏休みが今日で終わってしまう」という少年時代の感覚を呼び覚ますようで郷愁をそそられる。
そんな脚本とそれをリアルに演じた役者陣にひたすら脱帽、アッパレ!

15 Minutes Made 東京/福岡 東京公演
Mrs.fictions
テアトルBONBON(東京都)
2026/07/29 (水) ~ 2026/08/02 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/07/30 (木) 15:30
2017年と2023年は見逃していたので実に10年ぶりだったがショーケース公演の良さを前面に押し出して見事。
melomys「THE DAY 1041」、上手に音響オペレーター、下手に映像オペレーターを従えた(?)一人語り。映像・音響・語りの三位一体はさしずめ「プログレッシブ演劇」か?
システム個人「ちょっと良いタオルとか」、帯金さんの姐御肌ぶりが絶妙で、最後にタイトルの意味がワカるのが巧み。(続く)
ギンギラ太陽's「女ビルの一生」、かなり前から評判は多々耳にしていたがようやく初見。そして評判通り(or more)なのはさすが!
コンプソンズ「ベビーカー」、今回、fictions以外では唯一観たことのある団体。日常でありそうなことを少し戯画化した笑いが上手い。
ザ・クズレルズ「真夏に崩れる」、ショートコント集に近いノリだが題材の選定とスローモーション表現がイイ。
Mrs.fictions「ミセスフィクションズの恋しくて」、今村・岡野お二方の演じるキャラが「それな!」でニヤニヤ。やはり主催者だけにツボを心得ている?(笑)

新撰組 IN 1944
PSYCHOSIS
ザムザ阿佐谷(東京都)
2026/07/24 (金) ~ 2026/07/29 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/07/24 (金) 14:00
新撰組/ウイーン少年合唱団/ナチス・ドイツの三題噺、的な。月蝕歌劇団、PSYCHOSISを通じてそれなりの高取作品は観ていたが初見の本作はブッ跳び具合がズバ抜けており「なんじゃこりゃ!?」状態で、その発想に舌を巻く。
奇しくも2週間前にこの会場で観た流山児★事務所「青森県のせむし男」と対照的で、あちらが「ど真ん中の剛速球な王道アングラ」とすればこちらは「大リーグボール級(←お若い方に通じるか?)の変化球なネオ・アングラ」ではないか?とも考えた。

SHIROCK 〜ヴェニスの商人より〜(再演)
OuBaiTo-Ri
目黒CLEOスタジオ(東京都)
2026/06/26 (金) ~ 2026/06/29 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/06/29 (月) 15:00
4月に新中野ワニズホールで上演した作品の再演にして初演は女性のみだったキャストを男女混成にしたリニューアル版、的な?
そして初演時にも感じたが「一件落着」後の「現代の情勢に即した」部分が秀逸。まさに「イマの芝居」。

金と銀の鬼 ─ENDLESS CANON─
X-QUEST
すみだパークシアター倉(東京都)
2026/07/23 (木) ~ 2026/07/28 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/07/28 (火) 14:00
2004年1月、ザ・ポケットでの初演以来5演目となる本作、テンポの良いリズミカルな掛け合いや詩的な台詞、便利棒を使った疑闘など得意技満載なのはもちろん、今回は「様式美」的なものも感じたがトリプルコール時のトクナガ主宰の「初演時にあて書きだったものを出演者の入れ替わりに合わせて改稿してきた」との言葉で「やはり……」と得心。もはや劇団☆新感線の「いのうえ歌舞伎」のように「トクナガ歌舞伎」と言えるのではないか?(真顔)
また、終盤での「兄ではない、鬼だ」~「音をうとう」あたりの一連の台詞に野田秀樹味が溢れていてニヤニヤ。これ、野田ファンが観ても楽しめるのではなかろうか?
あと、毎度ながら見事な衣装系の中、カニの爪(ギロチン)が特にツボ。

「水平線の歩き方」【Mura.画】
Mura.画
北池袋 新生館シアター(東京都)
2026/07/24 (金) ~ 2026/07/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/07/26 (日) 16:00
演劇集団キャラメルボックスの初演(2008年)・再演(2011年)を観ていたが経年により内容を失念し(爆)、ほぼ初見状態。なのでかかってきた電話の言葉から状況を察したのも「思い出した」のではなく「この種のプロットが好きなのでワカった」的な。
で、この会場に適した演出/演技なので本家がシアターアプルやサンシャイン劇場で上演したことにビックリ(いや。観たのだけれども記憶が……)。
Mura.画演劇研究会としてはこの路線を継続するのかしら? 本公演との両輪(?)どちらも楽しみ♪

リチャード三世
半畳の宇宙
BaBaBa(東京都)
2026/07/23 (木) ~ 2026/07/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/07/25 (土) 13:00
少人数かつコンパクトなランタイムで沙翁作品を、という点は前作「ハムレット×AI」と共通だが、ポップな前作に対してこちらは歴史劇だけに(?)台詞回しなどが重厚で「いかにもシェイクスピア劇」な感覚。
その一方、コンテンポラリーダンス的なものを取り入れたり「玉座」を台車に乗せて運んだりトランジスタメガホンを使ったりという現代の要素もあり、新旧折衷的なのはここの特色(?)で面白い。
次回は9月に「銀河鉄道の夜」とのことでこれも楽しみ♪

『あわせて』
ゆうめい
ユーロライブ(東京都)
2026/07/24 (金) ~ 2026/07/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/07/24 (金) 19:30
人気マンガのアニメ化で主人公に起用された声優(←登場しない)と接点のある二人の男性のモノローグ劇。
「音楽劇」と謳っているのでどのようなものかと思っていたら音楽に乗せたモノローグ(「歌」ではない)が中心で「なるほど」と思ったがまさか最後に歌うとは!(笑)
また、小学生時代の「あだ名」や漫画家の「炎上」がゆうめいらしい(偏見含む)と思ったし、5つの机、5つの椅子を「斜めに組み上げた」舞台美術も「養生」の脚立に通ずるものがありやはり「なるほど」(笑)

海の家クライシス
劇団チャイ。
シアター711(東京都)
2026/07/22 (水) ~ 2026/07/26 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/07/24 (金) 14:00
父親から出禁をくらっている長男がさびれた海の家の人気を取り戻そうとチャンスに賭けるが……なコメディ。顔を合わせてはマズい人物が鉢合せしそうになったり嘘や勘違いが事態をややこしくしたりという展開はまさに「和風レイ・クーニー」。
そしてあれこれが噛み合いハッピーエンドに向かう終盤、父親の決断とその伝え方が粋で特に良かった。
また、いかにも海の家という凝った舞台美術も見事。

特別な情熱
ラッパ屋
紀伊國屋ホール(東京都)
2026/07/22 (水) ~ 2026/07/28 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
1975年に高校の「実験部」に所属していた3学年14人の部員たちがその後半世紀にわたりたどるそれぞれの人生。その部員たち(ならびに作・演出の鈴木主宰)と同世代だけに第一場の1975年以降、各場(の時期)に出てくる出来事/事件や流行などの世相がそれぞれ懐かしく、当時の自分を思い出したり。
またそれを背景とした各自の半生もあるあるだったり奇遇だったりで面白おかしくまさに「ベテランの味わい」、これぞラッパ屋、感服!

パール食堂のマリア
青☆組
吉祥寺シアター(東京都)
2026/07/17 (金) ~ 2026/07/20 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/07/19 (日) 13:30
1970年代前半、横浜の繁華街にあるパール食堂を中心にその近辺の人々が織りなす悲喜こもごものつづれ織りのような群像劇。
10年前の再演は見逃したので初演以来15年ぶりで舞台美術以外の記憶は薄れていたが9割の優しさに1割の切なさを加えた作品世界を堪能。
中でも(責はないのに)「猫のことでずっと謝りたいと思っていた」亮太とそれに対して「ただの偶然であなたのせいじゃない」となだめるクレモンティーヌそれぞれの優しさが特に心に沁みた。
また、ペーパークラフトのようなランプシェードや繁華街の看板を想起させるカラフルな複数の四角形などの舞台美術もステキ。
なお、序盤での猫の台詞の「何度も死んだ」で(猫だけに)佐野洋子の「百万回生きたねこ」を連想し、本作では確かに「死んだ」だが、あちらは確かに「生きた」だな、などと修辞学的なことも考えた。

定や、定
福田ユミプロデュース
劇場HOPE(東京都)
2026/07/15 (水) ~ 2026/07/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/07/17 (金) 14:00
12年前の鵺的公演「毒婦二景」は見逃していたので作品初見。
阿部定を題材としたものは「あの事件」をメインに描くことが多いであろう中、本作は十代である大正時代から姿をくらます(!)昭和43年までの一代記を二人(+黒衣二人)芝居で75分に収めているのがユニーク。
そしてその内容のみならず見せ方もメインのお二方はもちろん、二人の黒衣が大活躍というか場面転換以外にも様々な形で奮闘しており、そこも見事だった。
鵺的の初演は小劇場・楽園だったそうだが、あの会場をどう使い、どのうような演出だったのだろう?という興味も沸いた。

煙の汽水域
ムシラセ
小劇場B1(東京都)
2026/07/11 (土) ~ 2026/07/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2026/07/16 (木) 14:00
20歳・35歳・50歳の主人公とその友人(+主人公に縁のある女性)を描いた三場の三人芝居。
第一場はコミカルだが二場・三場と進むにつれ「背負うものが増えて」人生の重さというか「しんどさ」が蓄積されてゆくのがとても解り易い。
また、この会場でσ(^-^) が観た作品では類を見ない写実的な装置と場が進むにつれて簡素になる転換のアイデアも見事。