十二人の怒れる人達
OuBaiTo-Ri
目黒CLEOスタジオ(東京都)
2025/04/11 (金) ~ 2025/04/14 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/04/14 (月) 14:30
よりによって容疑者と被害者を逆転させるという大胆かつ画期的な設定変更、結果的にそれでも成立することは証明されたが、今まで本作を20ステージ近く観てきたことによる「刷り込み」を別としても多少苦しい部分も。
その最たるものは映画館の窓口係が容疑者を見なかったとした部分だが、まさかそこのくだりを丸々カットとは……(それはそれで妙案だが)。
一方、8号/番を女性にしたのは全員女性だった江古田のガールズ版(2021年)を除けばσ(^-^) が今まで観た中で初めてだが、建築士であり男性に対しても毅然と意見する女性というのはまさしく「21世紀版」でアッパレ!
あと、役者は代われどヤな奴は憎たらしく感じ、口論場面にハラハラするのはまさしく演出と出演者の熱演・力演の賜物。
ダブルブッキング2nd!
エヌオーフォー No.4
紀伊國屋ホール(東京都)
2025/04/05 (土) ~ 2025/04/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/04/11 (金)
11日昼に紀伊國屋ホール編、同日夜に新宿シアタートップス編を観劇。
2008年に上演された「ダブルブッキング」の17年後を描き劇中で「昔こんなことがあって」と語られ当事者も登場(17年の歳月を実感)する「正統続編」にして、当時の失敗理由(誤り?)を指摘して正す「返歌」でもある。
そこに演劇愛、劇場愛、小劇場史的なものなど演劇好きにはたまらないネタを織り込み、もちろん笑いもふんだんで楽しいったらありゃあしない。
さらに昼に紀伊國屋ホール編、夜にシアタートップス編を観たのでそれぞれの凹凸の噛み合いや…………一方だけ観てもワカるよう双方で交わされるほぼ同じやりとりなどの工夫にも感心。
いやホント、よくぞここまで!(賞賛)
黄昏の湖~On Golden Pond~
加藤健一事務所
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2025/04/04 (金) ~ 2025/04/13 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/04/08 (火) 14:00
マーク・ライデル監督「黄昏(1981年)」の原作舞台。
22年前に銀座セゾン劇場で観た時はそれよりさらに22年前に観た映画の印象が強すぎたためかどこか物足りなさを感じたが、時を経てその「呪縛(笑)」から解き放たれたのか、演出などの違いによるものか、はたまた齢を重ねたからか、十分に沁みた。
セイヤー家の3人の会話の毒舌の根底に愛情、あるいは言いたくて言えないもどかしさなどが感じられてイイんだなぁ。
ところで邦題、従来の「黄昏」はセイヤー夫妻の暗喩でもあると思うが「黄昏の湖」だとその意味合いが失われるのでは?
なお、観ながら映画の場面がしばしば脳裏をよぎった。
熱風
Nana Produce
サンモールスタジオ(東京都)
2025/04/04 (金) ~ 2025/04/08 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/04/07 (月) 14:00
娘の妊娠問題で話し合っている最中に転居挨拶に訪れた隣家の夫婦は偶然にも……な物語。
事前情報通り高木作品には珍しく笑える場面も少なからずあり(考えようによっては「辛口ビターコメディ」?)自団体である鵺的とはまた違った感覚。
で、妊娠させた男のダメさ加減などで笑わせた後の二組の夫婦(+1)の話し合い場面が白眉。「この人は「あのこと」に勘付いているの?それを匂わせているの?」などと観客に思わせる会話が実に巧みで面白い。
そしてそこで出される解決案は割れてしまった陶器をセロファンテープで直そうとしているようなその場しのぎの脆いものに感じられた。
なんかの味
ムシラセ
OFF OFFシアター(東京都)
2025/04/02 (水) ~ 2025/04/09 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/04/04 (金) 14:00
披露宴で余興を演りたいと娘に無理を言う父親……な場面から始まるムシラセ流の人情噺あるいはホームコメディ?いや違うな、やはりムシラセはカテゴライズとは無縁でムシラセのままがイイか。
基本的にコミカルな中、次第に言えなかったことや隠していたこととその理由(心情?)が観客に伝わってゆくのが巧いんだな。そして終盤で次々に明かされるあれやこれやはジェットコースターの如し?(笑)
いやぁ、面白かった♪
人の気も知らないで
CTプロデュース with K
雑遊(東京都)
2025/03/27 (木) ~ 2025/03/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/03/28 (金)
同僚の披露宴の余興の打ち合わせで集まった3人の会話劇。
気の知れた仲ゆえの遠慮のない物言いで「喧嘩売ってるの?」「そっちこそ」的な部分にハラハラさせたりもするやり取りがリアルで、シリアスというか重ためというかな部分も経てゆるやかな着地に向かうのが巧み。
また、当日パンフレットにあるように「リアルなチーム栄と演劇的なチーム美」と異なる演出だったので続けて観てその違いも楽しめた。(チーム栄にあったドリンクバーの装置がなく板付きで始まるチーム美とか)
なお、オリジナルの iaku をはじめとして複数の団体で上演された作品とのことだが個人的には今回が初見。
煙に巻かれて百舌鳥の早贄
劇団肋骨蜜柑同好会
中野スタジオあくとれ(東京都)
2025/03/26 (水) ~ 2025/03/30 (日)公演終了
実演鑑賞
鑑賞日2025/03/27 (木) 15:00
1990年代初頭、地上げに抵抗して営業を続ける焼き鳥屋を舞台にしたあれこれと人間模様。
発想の元が何だったかは知る由もないが、焼き鳥の「串を打つ」から「百舌鳥の早贄」への連想はともかくそこから「串刺し公」ヴラド3世まで発想して人物名などに引用することに舌を巻く。
そして耐えに耐えた主人公が最後に「爆発」するさまに往年の東映仁侠映画を想起。
さらに最終場の真理愛の黒ずくめの衣装と帽子に「女囚さそり」を連想。あれ?そっちもリスペクト?(深読みあるいは誤読気味)
あと、焼き鳥屋を再現した舞台美術もリアルで見事。
ここは住むとこではありません
TEAM FLY FLAT
雑遊(東京都)
2025/03/19 (水) ~ 2025/03/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/03/20 (木) 14:00
部屋に霊が憑いていると思い込んだ住人から除霊と偽って金をせしめようとする男と協力を頼まれた霊能力者を狂言回しとした「オカルトアウトローコメディ~」。
その謳い文句ならびに冒頭の設定通り屋代作品にしては笑いが多く、そこに気を取られたためか終盤で明かされるまで霊系でおなじみの「あのパターン」に気付かず(ヤラれたぁ!(笑)。そしてそこに切なさが加わるのが巧み。
あと、下手手前の出ハケ口を「成仏への道」として使ったことにも感心。
ふりむかないで
ゆめいろちょうちょ
パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)
2025/03/15 (土) ~ 2025/03/23 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/03/18 (火) 15:00
妻帯者ながら6人の女性と交際しそれ以外にも「一夜の契り」を繰り返す男をその元凶の1つであるバーで妻が吊し上げる75分。
コミカルで時として煽情的な個々の「再現エピソード」もさることながら、初演(未見)のエビス駅前バーよりも広い演技エリアを活かして上手の壁沿いに当事者全員を座らせた演出によりエピソードに対するそれぞれの表情(嫉妬・羨望・驚きなど)も見て取れてこれが効果的。
また、存じている方々の「今まで観たことがない」系の役どころを目にすることができてこれまた良かった。
それにしてもラストの妻のしっぺ返しの強烈さたるや……
わたしのおはなし
東京ノ温度
新宿眼科画廊(東京都)
2025/03/14 (金) ~ 2025/03/18 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/03/16 (日) 13:00
元ネタのないオリジナルだし川島さんは出演しないし、と新境地?
そこで語られるのは時間ものでは馴染みのパターンで、そこを丁寧に描くために理屈っぽい感が無きにしも非ずだが、そのテが好きな身として「因果律と運命論」などに「あーそれな♪」と頬が弛む。
(以降ネタバレBOXへ)
ハッピーケーキ・イン・ザ・スカイ
あまい洋々
王子小劇場(東京都)
2025/03/13 (木) ~ 2025/03/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/03/15 (土) 13:00
行方不明から8年後に白骨死体で見つかった女子高生に関して取材するフリーライター、その件を映画化しようと企てる映画監督を目指す女性を含むそれぞれイマを過ごす当時の同級生たちを描いた群像劇。
少人数での会話でそれぞれの今(と過去)を描く場を重ねてから関係者が一堂に会するクライマックスで真相を明らかにする(基本に忠実な)構造が分かり易いことに加えて円形ステージのようなアレが「あんな風に変化する」装置やキャットウォークに仕込んだ灯りを活かした場面・アイドルライブ場面、さらに漫画や音楽の好みに関する会話に惹かれた。
XXXX(王国を脅かした悪霊の名前)
お布団
シアター・バビロンの流れのほとりにて(東京都)
2025/03/08 (土) ~ 2025/03/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/03/14 (金) 14:00
名家の令嬢の立居振舞について母から説教されるヒロイン……な場面(後半で出るジェンダー論の前振り?)から始まるのは「あのマクベス」のパラレルワールドの…(ネタバレBOXへ)…といういわば「マクベスジークアクス」(!)にして事前情報通り沙翁作品本歌取りがいつの間にか真犯人が明らかになる法廷ものノリに転じており「騙し絵」ならぬ「騙し芝居」みたいな?(笑)
さらにジェンダー論も加えていかにも「イマの芝居」。
沙翁作品を追究しているしている方や王政などに詳しい方からは批判があるようだが「一応マクベス(の内容)は知っている」レベルのσ(^-^) には面白かった。
ジョバズナ鼠の二枚舌
おぼんろ
新宿シアターモリエール(東京都)
2025/03/04 (火) ~ 2025/03/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/03/06 (木) 13:30
9年ぶりに観たが末原主宰の巧みな語りで観客を作品世界にいざない……どころか同化/没入させて始まり、四方囲み客席の会場(キャットウォークも含む)を役者が縦横無尽に駆け巡る独特のスタイルは変わらず。
がしかし本作は生きてゆくことの辛さ・寂しさを描いており、齢を重ね人生の重み(?)を実感した末原主宰ならではの作品だと思った。
それにしてもこの会場をこんな風に使うとは恐れ入る。(笑)
女歌舞伎「新雪之丞変化」
Project Nyx
ザ・スズナリ(東京都)
2025/03/04 (火) ~ 2025/03/13 (木)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/03/05 (水) 14:00
女歌舞伎と銘打っているし主人公が歌舞伎役者だし、と軸足はそちらに置きつつ BUCK-TICK の楽曲を10曲も使うわレヴューあるいはジュリアナ風のダンスシーンはあるわと和洋新旧折衷で、それがまた巧く融合して面白い。
それは内容、演出だけにとどまらず、基本は和装だが中にはブーツやハイヒールを履いている人物がいるという衣装での表現もあって感心。
更に終盤にはギリシア悲劇や沙翁の要素まで取り込んで「そう来るか!」とニヤニヤ。
加えて降雨・海などの映像投影や終盤で漂うスモーク(?)、最後の「舟」の演出など舞台表現アラカルトのようでステキ♪
odd bird!!
劇団やぶさか
スタジオ「HIKARI」(神奈川県)
2025/02/14 (金) ~ 2025/02/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/02/16 (日) 12:00
明治11年に来日し、東北地方や蝦夷を訪れたイギリスの女性冒険家の逸話(実話)を元にしたフィクション。
その冒険家の日本での通訳採用面接の場に借金のかたに吉原に売られそうになり逃げて来た女性、父の反対を押し切り学問を志す女性、さらには皇室に嫁ぐことを決められている高貴な女性らがそれぞれ異なる動機ながら偶然居合わせる設定で当時の様々な立場の女性を描く構造が見事。
しかも決して説教臭くなったりしないようあの手この手で娯楽要素を多々入れているのがまた鮮やか。
当時の世相などを「弁士」が観客に伝えたりバードが話す英語を同時通訳や吹き替えで日本語にしたりする工夫、対をなすオープニングとエンディングの「とざいとーざい」とキーとなる台詞の「前出し/再現」、ミュージカル的な場面など枚挙に暇がない。
また、思いがけない展開となる終盤、バードがトキに与える大岡裁き的で「粋」な「罰」の温かさに感動。、
「外国人の子供を身籠った元・柳橋の姐さん」の設定と活かし方も巧み。
これ、いつか再演して欲しいなぁ。
アナタがピンクの似合う子だから
怪奇月蝕キヲテラエ
新宿眼科画廊(東京都)
2025/02/14 (金) ~ 2025/02/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/02/15 (土) 13:00
17年前に人気を博したアニメ(←架空)の舞台(ミュージカル)化の「舞台裏」を描いた80分。
主演オファーに躊躇する主人公の様子から始まり、「舞台で役を生きる」とは?な演技論/演出論や「自己中心」という単語の掘り下げ(大いに納得)なども経てコロナ禍が始まった頃の演劇界の動揺をも描いて鮮やか。
このテの「内幕もの」は本当に巧い。
カリギュラ
カリギュラ・ワークス
サブテレニアン(東京都)
2025/02/14 (金) ~ 2025/02/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/02/14 (金) 19:00
カミュによる本来は3時間級の戯曲を圧縮して90分余に圧縮。
事前にWikipediaで予習して抱いた疑問が氷解することはなかったが(自分なりの解釈で)理解が少し深まったような気はした。
また、作者であるカミュを登場させるという高木作品お馴染み(?)の手口には頬が弛み、紗幕を使った舞台表現/演出に大きく頷く。
まよゐさんち
劇団五〇鬼
中板橋 新生館スタジオ(東京都)
2025/02/13 (木) ~ 2025/02/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/02/14 (金) 14:00
登録者数が2桁の心霊動画系底辺YouTuberが取材先で体験する予想外な事態、な95分。
怪奇現象を何かと「霊によるもの」とされる現代では存在感が薄くなり姿も人間に近くなった妖怪たちが身を寄せている場、という発想が独特で面白い。
また、奇しくも半月ほど前に現代を何とか生き抜いている吸血鬼を描いた芝居を観ており(洋の東西はあれ)共時性にビックリ。
キャッツ・ザ・ライフ
劇団ミックスドッグス
王子小劇場(東京都)
2025/02/12 (水) ~ 2025/02/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2025/02/13 (木) 16:00
人間としての生活に限界を感じた女子高校生が願い通り猫になり、といういわば「マイ・ライフ・アズ・ア・キャット」(笑)。
単に猫界での力関係を描くだけでなく、他にも人間界から来た人物がいてそれがまた……なんてあたりや某人気SF系映画リスペクト的な部分もイイし暮らしている地方に伝わる昔話との関連付けも巧い。
しかし人間でいることに嫌気がさして念願の猫になったのに結局そちらも嫌になって人間に戻りたいと言うヒロイン、自分勝手にもほどがある……いや、そういうところはいかにもイマの女子高生らしいのか?(笑)
なお、猫たちの人物(猫物?)設定/描き分けと「猫っぷり(演技・衣装)」が巧みでそれだけでも観た甲斐があった。
僕をみつけて
かわいいコンビニ店員 飯田さん
OFF OFFシアター(東京都)
2025/02/06 (木) ~ 2025/02/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/02/10 (月) 14:00
7年前に観た(初演?)時は時折古傷をえぐられるような気もしたが、今回は内容がワカっていることもあってかどちらかと言えば傍観者に徹して事の成り行きをニヤニヤしながら見守る。
人物それぞれの設定/描き分けが巧みでいかにもありそうに見えるんだなぁ。
また、チーム猜疑心(10日昼に観劇)とチーム復讐心で立ち位置(座り位置)のみならず内容にも微妙に違う部分があり、出演者それぞれの個性も含めて楽しめた。