「祝みぃ子.mp4」
人間嫌い
駅前劇場(東京都)
2024/12/18 (水) ~ 2024/12/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/12/22 (日) 17:00
交際10年目で同棲もしている相手との結婚披露宴のサプライズに高校時代の再現映像(タイトルはこのファイル名)を撮る元・高校映画部の同期5人とその周囲の人たちを描いた物語。
序盤は微笑ましいが次第にあれこれダークに転じ「記憶の美化」をさらに突き詰めた「記憶の捏造」のカラクリ(?)まで言及するのは深く、記憶があやふやになりがちな我が身と照らし合わせて納得したりしなかったり(笑)。
また、その内容から過去場面も(過去再現映像撮影場面も含めて)差し挟まれるが、場面転移(?)の仕方、観客への気付かせ方などの巧みなことは奇しくもこの直前に観た劇団癖者「やさしい夜のはなし」と双璧をなす。
やさしい夜のはなし
劇団癖者
劇場MOMO(東京都)
2024/12/19 (木) ~ 2024/12/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/12/22 (日) 13:00
引き籠っている主人公の身を案じ、かつてのオタ活仲間、職場の同僚、大学時代の後輩に元カレや謎の男までが訪ねて偶然に居合わせた一夜の物語。
タイトルの通りやさしい結末を迎えるが、それは主人公の人柄/人徳によるものでは?と思い、そしてそれは「一人劇団ながら10年続けることができたのは支えてくれたたくさんの人のおかげ(終演後あいさつより)」とする下城主宰自身が反映されているのではないかと思った。
あと、随時過去場面もあるが、その差し挟み方と言うか転移の仕方、観客への気付かせ方も巧い。
今後のさらなる飛躍に期待
誰も知らぬ赤い靴は葉桜と魔笛を待つ
あさがお企画
イズモギャラリー(東京都)
2024/12/01 (日) ~ 2024/12/01 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/12/01 (日) 15:00
太宰治の短編リーディングと楽園王の長堀主宰による二人芝居というアナログレコードのA面・B面のような二部構成の75分。
太宰の短編は朗読かと思いきや場所を移動したりソロからデュオになったり変化するのが面白い。
「赤い靴」はコワい話という記憶のみ(確認したら5年前の楽園王公演で観ていた)だったが観ながら次第に記憶が蘇り、その感覚と共に愉しむ。
なお全編を通じて演出のオフィス再生・高木主宰による音楽/S.E.も良かった。
12人の怒れるひとびと!
OuBaiTo-Ri
東中野バニラスタジオ(Vanilla Studio)(東京都)
2024/12/18 (水) ~ 2024/12/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/12/21 (土) 13:00
吉成3号はあのガタイ・風貌ゆえ今までで一番威圧感があり、6号から「次にやったら俺が相手だ」と凄まれて尻尾を巻くのに違和感があったが、あれは「弱い犬ほどよく吠える」の典型で相手が本気で怒っているのを察して本来の「弱さ」が出たのではないか?と帰路に気付いた。
いやホント、ここの3号はいろんなタイプがあるなぁ。
また、前日に楽園王「授業」で自分の思い込みから教授の言うことを理解できない/理解しようとしない生徒を観ており、両者に通ずるモノがあるような気がしたりも。
ところで「陪審員制度のある日本」という設定は良いとして、見取図が何で英語表記なの?と oubaitori企画版4回目にして気付く。あれは「鉄道」「寝室」の方が良いのでは?(笑)
イヨネスコ『授業』
楽園王
サブテレニアン(東京都)
2024/12/17 (火) ~ 2024/12/21 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/12/20 (金) 19:30
長堀版「授業」は通算4度目。8年ぶりの「久堂教授」は迫力、というより不気味さ(笑)が増して緊張の60分……ではあるが内容を知っているだけに頬が弛んだりも。
で、「算術」の部分、単純な引き算で語っているが、あれは自説を信じて相手の言うことを分かろうとしない不毛さ(?)を皮肉っているのではないか?とも思った。
次はどの団体のどんな授業を観ることになるのだろう?
色彩組曲 ~七人の息子と灰色夜想曲~
X-QUEST
王子小劇場(東京都)
2024/12/18 (水) ~ 2024/12/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/12/20 (金) 14:00
ギャグ、言葉遊び、アクションの三位一体で見せる亡き母への息子たちの追悼の意。
いろんな要素/エピソードを重ねてから母の回想(?)で締めるのが巧い。
なお、観ながら14年前にTHEATER1010 ミニシアターで観た記憶が蘇った。(トオイメ)
荒野に咲け
劇団桟敷童子
すみだパークシアター倉(東京都)
2024/12/15 (日) ~ 2024/12/24 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/12/17 (火) 14:00
崩壊した家族と彼らをなんとか支えようとする親族たちの現代劇。
(以下ネタバレbox へ)
十二人の怒れる男
日本の劇団
駅前劇場(東京都)
2024/12/11 (水) ~ 2024/12/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/12/15 (日) 13:00
4日前に観た清水邦夫「楽屋」同様、古典落語の如く何度観ても観る度に楽しめる傑作戯曲。内容を熟知しているだけに序盤ではどの人がどの役か推測したり、話が進むと「来るぞ来るぞ……キターーーッ」とワクワクしたり存分に楽しむ。
あと、版が複数あるというこの戯曲、夏に観たものにはなかった「短時間でバカと賢いを繰り返す矛盾」に関する台詞や他作品で引用されることもある「あの少年は貴方の息子さんではありません」があった一方「今は皆さんが私を説得する流れでは?」がなかったのは意外。
グッドルーザー ウィンウィン!
江古田ぐるぐる
アルネ543(東京都)
2024/12/12 (木) ~ 2024/12/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/12/14 (土) 18:30
とある事情で離島に逃避した元プロボウラーが地元企業の大規模ボウリング大会の助っ人を頼まれ……という出だしから変形スポーツものかと思いきや、八百長ネタから大会に絡む不正をめぐるサスペンスに転じ、まさかの結末に至る「予測不能フィクション」、面白かった。
あと、「北風と太陽」や「ピラティス」に関する「そっちじゃないだろ!」なボケも巧みで好き♪
あなたの名前に願いをこめて
<火遊び>
GALLERY LIPP(東京都)
2024/12/14 (土) ~ 2024/12/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/12/14 (土) 13:00
「名優による文学作品朗読カセット(古いな)」のように聞こえたりもする4編(ソロ、デュオ各2編)の短編朗読劇。
『楽屋~流れ去るものはやがてなつかしき~』
あやめ十八番
澤田写真館(東京都文京区本郷4-39-9)(東京都)
2024/12/12 (木) ~ 2024/12/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/12/13 (金) 14:00
観るのは通算7回目となるこの作品、日本で一番上演された戯曲(伝聞)だけに演出、演者、会場の違いによって毎回異なる面白さがあるのは噺家によって味わいが異なる古典落語の如し。
今回は戯曲冒頭の「鏡のささやき」に吉田能さんが曲をつけた主題歌(?)のコーラスとともに演者が2階からの階段を下りてきて始まる演出から惹きつけられる。
また、女優A・Bのメイク/衣装(なのか?)や階段の上を舞台袖に見立てたことも楽しく、吉田さんのピアノ/ボンゴ/キーボードの生音もいかにもあやめ十八番らしく、まさしくSNSのハッシュタグ通り「#あやめ楽屋」!
クリス、いってきマス!!!
梅棒
サンシャイン劇場(東京都)
2024/12/01 (日) ~ 2024/12/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/12/12 (木) 14:00
既成曲に当て振りをして物語を紡ぐスタイル、初期には1曲だけや何曲か組み合わせた短編だったのが長編化してきた頃から8年ぶりに観たがファンタジックな物語にしても使用曲の歌詞の取り込み方にしても大幅に進化していてとても嬉しい。
また、かつて観ていた頃のキャラクターを保ちつつパワーアップしたメンバーに加えて説明不要の生駒ちゃん、オニシスター/鬼頭はるかこと志田こはくの出演にしても800席を超えるサンシャイン劇場での公演にしても「大きく羽ばたいた」感じて感無量。
病室
劇団普通
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2024/12/06 (金) ~ 2024/12/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/12/11 (水) 14:00
時として口論などもあるが基本的にはありふれた日常会話なのに2時間超を見せてしまうのは何故?と予てから思っていたがこの回のアフタートークゲストの本谷有希子さんの「リズムや間合い、重なり方などが音楽のような会話」という指摘で「あ、それだ!」と氷解。
アフタートークではほかに石黒さんが親戚の会話を文字起こしして解析(?)していることなども披露され、「石黒戯曲」の秘密を垣間見たようで興味深かった。
終演後に「あの特徴的な茨城訛りを日常的に使っている方はどう見えるのだろう?」と思ったが、3年前の再演時に「標準語版を見たいような見たくないような」との感想を綴っており、発想が一緒。(笑)
ちなみに上演時間は初演が130分弱、再演が125分、今回が135分。
12人の怒れるひとびと!
OuBaiTo-Ri
東中野バニラスタジオ(Vanilla Studio)(東京都)
2024/12/18 (水) ~ 2024/12/22 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/12/18 (水) 14:30
OuBaiTo-Ri 版も3度目となるが毎回出演者/配役が異なり別の味がある。そして今回は特に6号と7号が印象的。(詳細はネタバレboxへ)
「十二人の怒れる男」を知らなければ当然楽しめるし、存じている方も男女混成に潤色したことで「あの役をこの役者が!?」と驚くもちゃんと辻褄を合わせる脚本の妙や先を知っているからこその役者の演技に注目したりで楽しめると思う。オススメ!
リフレクション
レイジーボーンズ
小劇場 楽園(東京都)
2024/12/03 (火) ~ 2024/12/11 (水)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/12/10 (火) 14:00
【内容に具体的に触れています】
劇作家と演出家の「道学兄弟」とあらすじにあるドラマ脚本家と原作小説家の話が併走して入れ子構造かと思うがどちらが本筋でどちらが劇中劇か尻尾を掴ませないのは胡蝶の夢かウロボロスの二匹版か?
そうしてしばらく経って思い当たったのはM.C.エッシャーの作品群。エッシャーがお好きな方はこれもお気に召すのでは?
さらにメタ部分もありまさに「迷宮演劇」?(笑) タマラン!
星降る教室
青☆組
アトリエ春風舎(東京都)
2024/12/07 (土) ~ 2024/12/15 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/12/08 (日) 14:00
8年前に宮沢賢治オマージュの連作という企画で書き下ろされたラジオドラマをリーディングに……という予備知識がなくても「あー賢治だ」と思えたのではあるまいか? 特にきのこたちの場面での擬音/オノマトペなど「風の又三郎」を彷彿とさせる。、
また、リーディングとしては多めの出演者がメインでない場面で口々に効果音を奏でること(例:水中場面のアレ)や黒が基調の演技エリアに配した白/銀のオブジェも効果的。空を飛ぶタクシーの場面でそういう映像が脳裏に浮かんだし。
で、来年はこれを演劇化ですと!?
はんなま砦は夜更けまで
大統領師匠
駅前劇場(東京都)
2024/12/04 (水) ~ 2024/12/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
RPG内世界?な状況から始まるがそれに続くガラリと変わった場で「あ、そういうことか」と明かされるSF(?)系ファンタジックアクションコメディ。
1960年代の「あの映画」や日藝出身の「あの団体」の作風を思い出して懐かしさに囚われるとともに「大統領師匠、ここまで来たか」な感慨も。
2019年までのコント集を上演していたのが「第一期」とすれば2022年以降の長編作品群が「第二期」であり、本作は第二期の(現時点での)代表作と成り得るのではないか?
また、劇中の「二つの世界」を簡単な換装で表現する装置も「いかにも舞台演劇」で、「舞台芸術」たる所以だな、とも思った。
まぶたの裏に流るもの
吉祥寺GORILLA
シアター711(東京都)
2024/12/04 (水) ~ 2024/12/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/12/05 (木) 19:00
まず装置を、次いで当日パンフレットを見て「まさか……」と思ったことが的中した開演時の衝撃!(笑)
最初は「一体どうしたんだ?」と思ったが進むにつれて意図を理解すると共にテーマをそういうカタチで表現したことに感嘆。
終盤での「現実生活に立ちはだかるもの」を「ああいう表現」で視覚化したのも巧い、常人の発想じゃないよ、あれは。(真顔)
みえないもの(アーカイブ配信予約受付中)
アンティークス
「劇」小劇場(東京都)
2024/12/04 (水) ~ 2024/12/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/12/05 (木) 14:00
事前に読んだあらすじから予測したものもかすってはいたが、その斜め上をゆくオトナの童話あるいはシリアスファンタジー。時として理解が追い付けず脳内で補完したが、まさかそこまで拡げるとは……
うみのかたわれ
らむらどぅプロデュース
王子小劇場(東京都)
2024/11/28 (木) ~ 2024/12/02 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/12/02 (月) 13:00
四組の双子それぞれのエピソードを併走して描き、次第に接点を見せてゆくのはパズルを解いてゆくが如し。そして、時間的前後関係を敢えて前後させたトリッキーな終わり方(と解釈したが合ってる?)が面白い。
しかし配役上ではなく物語的に四組のうち少なくとも一組は二卵性双生児だよね。
あと、何人か名前と顔が一致していない方がいらして終演後に当日パンフレットを見たが後の祭り……(爆)(申し訳ございません)
蛇足ながら四組の双子、いずれも一方はよく存じている方でありました。