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元禄光琳模様

元禄光琳模様

(株)アステム

本多劇場(東京都)

2007/01/26 (金) ~ 2007/01/28 (日)公演終了

満足度★★

近所なのでみてきました
演劇ライターになりたいですが、どうしたらいいかわからないので。見てきた作品のレビューを書いてみます。本編はネタバレBOXに書いてます。ライターのオファー(世の中、そんな簡単に行かないですが)、文章の批評、「元禄光琳」の感想を教えて下さい。

ネタバレBOX

 本多劇場及び仙台で観劇される方の参考になればと思い、つたない文章ですが私の観劇レビューを記します。
 金に浮かれる元禄時代。そうした世の中をあざ笑いつつも、本当の美を追究する尾形光琳(太川陽介)。彼は時の権力者に誘われ江戸に下り、見下していた金や権力と結びつき頂点を向かえる。しかし、時代は豪華絢爛から質素倹約へと変わり、新興成金達は粛正されていく。そして光琳は・・・・という話であり、江戸時代の芸術家の生涯を通じて現代日本社会を風刺した作品といえる。
 芝居の形式は現代感覚の時代劇であり、一人の人間の変遷記となっている。「それなりに有名だった京都編」→「権力に溺れながらも頂点を向かえる江戸編」→「敗れはしたが美へ戻っていく京都編」と筋も分かりやすく、息をのむシーンや笑いどころ、光琳が苦悩する夢の中など見せ場も上手く配置されている。娯楽作品としては最良であるが、人間の感情を揺さぶる演劇作品としては最高とはいえない。当日券¥4.000のところ¥3,000の満足感といったとこだろうか。
 ¥3,000の満足感となった要因をいくつか述べてみる。
 光琳を演じる主役の太川陽介は科白の滑舌は良かったが役に成りきっていず少し違和感を感じた。この舞台の光琳像は美の探求者、女や金にだらしないが憎めない無邪気な子供の面、美で天下を盗るために見下していた権力者と手を組む野心家といった清濁併せ飲む複雑な人物設定がなされていたはずだ。太川といえばアイドル出身であり演じる役はいい人、「永遠の好青年」というのが一般の印象である。コメディーシーンでは太川のそうした「いい人」属性が発揮されるが、光琳が見せる欲望への悪い面では「ワル太川」の属性が一切見えず、凄みのない薄っぺらな光琳像しか見えてこないので主役としての存在感がぼやけてしまっている。太川には光琳の中に存在する狂気、欲悪といった人間のマイナス面も表現して欲しい。
 美術面に関しては光琳模様のプリントされた障子の背景、江戸の町娘が着用する光琳柄の着物等で作者の保戸田時子さんの意向が反映されたモダン和風で秀逸であるが、日本髪の役者、現代髪の役者が同じ舞台に存在する点、要所要所で光琳の作品を写したスクリーンが出てくる点が興覚めであり、もっと美術面における世界観の統一を再考してほしい。
 音楽面に関しては全面的に変更してもらいたい、オープニングに梅沢富美男の「夢芝居」のようなインスト曲が流れドン引き、芝居への興味が半減してしまった。地方のドサ周り劇団ならいざ知らず、どう考えてもミスマッチであろう。人生模様を綴ったモダン時代劇だから「夢芝居」風にしたのであろうか、音楽担当者のセンスを疑う。
 直して欲しい点ばかり述べたが、絶対にお金を払って見るべき良い点もある。 
 光琳の妻、多代を演じるかとうかずこが必見。舞台に登場するだけで観客の目を奪ってしまう存在感、TVのゴールデンタイムで仕事をしてきた実力は他の役者を凌駕している。2回ほど科白を噛む箇所があったが、それを補う程の多代に成りきる演技力がかとうにはあった。ややもすると主役の太川を喰ってしまう時もあり、多代が主役のスピンアウト作品を見たいと思わせた。光琳の浮気癖をなじりながらも愛情で支えていく下りなどは、周知である実生活のドキュメンタリーを見ている様であり生々しい程である。生かとうかずこの女優力を堪能するだけでもお金を払う価値はある。
 他にも主役を支える加藤虎之介、米澤牛の演技が素晴らしい。脇役に徹しているが、光琳を江戸へ引き込む現実の力・お金の象徴という難しい役柄を見事に演じきっていた。この2人の役者にはこれからの活躍に期待できると思う。
 最後におせっかいだが心配される点がある。
 初演が地方の尼崎市の劇場で行われたのは主催が尼崎市であるからしょうがないとは思う。しかし、仙台の劇場は分からないが小劇場の総本山である本多劇場で行うのは少し違うのではないだろうか。どちらかといえば、この作品は観客層は50代以上の女性向けであり、明治座、新橋演舞場で演じられるべき作品である。劇場の選択も演劇の重要な要素であり、本多劇場での上演では絶対の成功を得るのは難しいと思う。もしかしたら、この作品の主催団体は町おこし事業の一つである性格ゆえ、大企業のスポンサードでお金も集まったので、あまり熱心にそこまで考えていないのかもしれない。
 しかし、劇場や対象層を明確にして、作品を練り上げ手直しして上演されるなら、新派芝居・大衆演劇のスタンダードに化ける可能性がある。

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