満足度★★★★
『書く女』は2006年初演。ヒロインに黒木華さんを迎えた全国ツアー。
主な装置は階段のみで上部の横糸たちが天に続く階段にも波打つ浜辺にも見える抽象空間。黒木華演じる樋口一葉は暗闇に灯る小さな光のよう。セリフから小説の風景がありありと浮かび、一葉の作品と人生を合わせて味わえた。私も彼女の「冷笑」が欲しい。
満足度★★★★★
素晴らしかったです。
素晴らしかったです。幸せすぎる時間でした。
ホール公演なので、存在感のある役者さんばかりで、黒木華さん、平岳大さんもだけど、みんな良かったですし、なにより言葉が紡ぎ出す戯曲が美しかった。
北九州で観たリーディングで多田さんが演じてた情熱的で真っ直ぐな樋口一葉に、黒木華さんがしたたかな強さを付け加えた感じですかね。。
けっきょく「書く女」は、樋口一葉でも、黒木華さんでもなく、永井愛さんではないかと思うのです。そして、誰よりも情熱的。
で、今回なぜか黒木華さんから白石加代子的な匂いを感じたんですけど、なんででしょう。。
満足度★★★★★
良い作品は全国巡業してほしい
田辺龍子役の長尾純子さん。みんなが着物の中、洋装で闊歩しズバズバ物言う姿が痛快。一葉との対照性が際立った。ラストの一葉へコメントが、女流作家として先陣を切りつつも一葉の活躍に対する悔しさと尊敬が滲み、心に突き刺さった。突然、涙があふれた自分に驚かされた。感服。●木野花さんの存在感はゴジラ級。当時の国民が当たり前だと思わされていた軍国主義的思想をユーモアとともに立ち上がらせる。一葉の元に集う人たちの「帰らないぞ」に「泊まる人カムイン」と英語で招く姿が素敵。集ったみんなが互いを大切にしている感じが楽しそうで羨ましい。●妹くに役の朝倉あきさんがいるだけで爽やか風が吹く。登場するたびに嬉しくなって頬が緩むのがわかるほど。健気で愛おしくなる。一葉の魅力に吸い寄せられた男たちから一葉を背中にかばい、やりとりを楽しむシーンが一番好き。やっぱり頬が緩む。●日向を生きるには恋心を抑え、人目を忍ぶ恋を選べば日陰で生きることになる。マスコミを賑わしていることがよぎる。あっても無くても世間はあったと言う。大きな満月が人間の浅はかさや愚かさを見ている。批評家と一葉の対決は、辛口で毒舌ながら、愛の告白。嬉々として見えた。●最期の桃水の「あと30分…」に起きた客席の笑いに違和感を感じた。まだ逝くなという思いではないのか。緑雨の「あなたが書くものをもっと読みたい」に、ジョン・レノンやマイケル・ジャクソンの死に際し、『次にどんな作品を届けてくれただろうか』と思いを馳せたことが蘇った。●世田谷でもそうだったが、お香のような和室や和服特有の香りの演出が為されていたように思う。それだけで時代を飛び越えられる。見事。残念だったのは、客席の上手下手では、向こうを向かれてしまうと台詞がほとんど聞き取れなかったこと。横が広い劇場だと仕方ないのかな。
満足度★★★★★
意外にコミカルな仕立て
意外にコミカルな仕立て。一葉の作家悩を感じさせる妄想の演出が漫画的で馴染む。さすがに作家が書く作家の話なので、作家の業と本質を思わせるセリフにハッとするものが多く、また評論家との対峙も興味深い。あの結末なのに、ちっとも悲しそうに見えないところも独特。
黒木華さんの演技がまた多彩で、一葉の多面的な人格描写にリアリティを持たせている。セリフの無い部分の演技や仕草が絶妙で、近視の表情や執筆中の仕草・妄想なんか、すごく魅力的に人間味を際立たせているな、と・・・。割と近くの席で観れて良かったわ、ホント。
満足度★★★★★
素晴らしいね
参りました。楽し愛しの素晴らしい舞台だった。永井愛さんの描く人物のなんと愛らしいことか。頭にくる人物が一人もいない清々しさ。そこに政治や社会の愚かしさはあっても、目の前の人物に憎しみがない。帰りの足取りが軽い。いい作品だ。舞台で、あんなに美しい雪を観たことないな。●同じ人物を描きながら、井上ひさし氏とこんなにも違うとは。どちらが良い悪いではない。どちらも素晴らしい作品。●木野花さんはバケモノだ。素晴らしすぎる。可愛らしさで突き抜けている。「万歳三唱」で声をちょっぴり裏返す中に、その愚かしさを忍ばせる。貧しい市民の象徴。明るく賑やかです愛に溢れた妹を、くるくると表情を変え、可愛さ満点に朝倉あきさんが好演。●特筆すべきは長尾純子さん。作品に、豪快な立ち居振る舞いと物言いでアクセントを付けた。柔らかな空気を一変させる最高のスパイス。大きな劇場に合わせた彼女のオーバーアクションがジャストフィット。彼女の力量が正当に評価され、今作で日の目をみると確信している。●黒木華さんの纏う柔らかな空気が、作品を万人に愛されるものにしている。ポーズを取りながら筆を執る姿が愛くるしい。モノローグや高笑いにぎこちなさが見える部分もあるけれど、台詞と視線の交換が美しい。批評家斎藤との対決を楽しむ姿に、戦う相手がいればこその成長を実感する。●日なたで遊ぶか、日陰で生きるか…自分が生徒指導の基盤としていることを台詞で聞き、ゾクゾクした。ラストで、我が故郷の「伊勢崎銘仙」を欲する一葉家族に、さらに親しみが湧いた。自分の中にも郷土愛があることを発見できて、かなり嬉しい。ブラボー、永井愛!
満足度★★★★
樋口一葉が動いている。
永井愛作/二兎社公演舞台の再演。初演は未見。演劇人永井愛は「あの名演をもう一度」的再演はやらなそうな人だ。何がしかチャレンジのしどころあっての、今回は黒木華というキャスティングがそれなのか判らないが、いずれにせよ洗練された舞台だった。生ピアノの演奏/音楽のクオリティが高い。深みがあって繊細で、僅かな色彩の違い(即ち人の心理のひだ)も逃さず捉え、並走しているライブ感がある。俳優は全てうまい。こまやかな笑い、動線や転換のスムーズさなど演出の力量も十全という感じ。
自分は樋口文学は「にごりえ」を読んだか‥という程度だが、独特の筆の進め方が印象的で、誰にも真似できない樋口オリジナル、可憐で大胆、「天然」なイメージがあり、それが今回の役にもそこはかとなく窺えた。「天然」即ち己の持てるものをさらけ出して生きる人、とするなら彼女は生を燃焼させた人で、舞台上にはその赤裸裸な姿があった。
後年、文壇からの批評・批判の的となるが、ある宿敵(批評家)の挑発的な質問に堂々と答える傑物ぶり、さらにその彼を友のように対する地点に一葉は立つ。成長と変化が、黒木華の身体を通した一葉に起こって行く。母と妹とのコンビネーションが絶妙。
日清戦争へ向かう時代の世相を描写する台詞や、一葉の師匠がこぼす「朝鮮」の話など、さらりとながら、人が「時代」と無縁には生きられない証左として織り込まれているのはさすが。 とは言え‘メッセージ性’を求める向きには薄味であったかも知れない。だがどこかしら味わいある舞台だった。
満足度★★★★
初見、黒木華
樋口一葉の話自体は置いといて、
黒木華、やはり注目株ですね。
今の女優で完成に近いのは、深津絵里や松たか子になると思いますけど、彼女たちに近いポテンシャルと将来性を観た気がします。
今現在のレベル的には、感情の起伏とコントロールに難があるように思いますが、いずれ彼女たちのレベルに達するものと期待しています。
満足度★★★★
永井愛脚本×黒木華主演×世田谷パブリックシアター
いうことで、期待ばかりで出かけてきました。期待以上の完成度。万能ピアノに繰り返しを自然に演じる俳優陣。ノーストレスでひたってきました。
満足度★★★
インパクトが無い…
初演の記憶があまりないのももっともで、一葉自身のエピソードで芝居が構成され、一葉の作品のエッセンスが散りばめられてはいるものの劇的な要素もなく、あまり惹きつけられなかった。でも、黒木華の舞台は初めてだが、良かった。
満足度★★★★★
正攻法に素晴らしい
とてもよくできた脚本、それを活かす演出。
芸能人が主演の舞台は、、、というものも多いが、黒木華さんは素晴らしかった。
古河耕史さんもよかった。
樋口一葉という生き方にとても興味を持った。
この舞台をきっかけに調べようかと思う。