最近では、2012年に公開された映画「桐嶋、部活やめるってよ」ほど、すぐれて「いまの日本」を描いた作品は無いと思っています。ところで、チェーホフの「かもめ」は、1895年のロシアで書かれたあまりに有名な戯曲ですが、昨年読み直して、なんて新しいんだろうと、魅了されてしまいました。ここにも「いまの日本」が描かれていたからです。それは誤解かもしれません。が、「古典のあらゆる読解は誤解か曲解である」との信念のもと、「かもめ」という戯曲の「いまの日本」ぽさを前面に出した上演を行いたいと思います。世にチェーホフ・フリークや「かもめ」大好きな人もいると思いますが、もしかすると彼らには怒られてしまうかもしれませんが、たとえ彼ら全員に怒られたとしても、チェーホフ自身に「ありなんじゃないの」とポツリと言ってもらえるような「かもめ」を目指します。