満足度★★★★
感情、情熱、熱量、哲学
会場の入り口から、演技がおこなわれるスペースを通って客席へ。
席につけば目に飛び込む鮮烈な赤。シンプルながら、目をひきつける赤い布の湾曲が美しく、静かに流れるピアノ曲(クラシック/不勉強で作曲家はわかりませんでしたが、おそらくロシアの作曲家なのでしょう)と共に会場の空気を醸成している。美術は非常にシンプルで、不可解な木組みの部品は天井から垂れ下がっている…。
その不可解な部品は当然ながらうまく使われていました。開演前にそれをどうやって使うか、予想するのも楽しみの一つですよね。
椅子は小さいのにつめつめで置かれていて、たしかにちょっと不便でした。おとなりの方と必然的にお話しすることになるので、それはそれで嫌いではありません。
出演者の方はほとんどが初見の方。最初からエネルギー量多くテンション高く始まるお芝居で、あまり得意なパターンではなかったんですが、じわじわしっかりと芝居へ引き込んでもらいました。
感情が根源にある哲学的な長いセリフが多くて、役者さんは大変だったろうなと思います。とはいえ、すでに宇都宮と東京での公演を終えて大阪に来られていたわけで、かなり練り上げられている印象を受けました。
主宰のコロさんはさすがの存在感。素晴らしい色香と、狂いとを味わうことができました。コロさん演じる大公妃がいるあいだは、会場がものすごく緊張感ある空気でした。あと、いい香りがしました笑。客席と役者さんが至近距離に存在するゆえに味わえることでした。
終演後、しずかに余韻を感じたくなるお芝居でした。
そして、小難しい岩波文庫を手に取りたいと、そう思ってしまうくらい、しばらく影響をひきずりました。ありがとうございました。
満足度★★★★
観てきました
内容難しいかなと思っていたのですが、元を知らなくても分かりやすい演出になっていました。
赤を基調にしたステージで革命という題材を強く感じることが出来、シンプルだからこそ役者さんそれぞれの感情がストレートに伝わってくるいいお芝居でした。
スペースとそこにいれる人数の問題だと思いますが、3列目の椅子の配置が少し狭すぎて隣の人と常に触れてしまっている状態で、時々集中が途切れてしまったのが残念です。
満足度★★★★
台風
そんな中、観劇。カミュの芝居は初めてでしたが、非常に楽しめました。ドーラの谷野さん、詩人の林さん、パワフルで繊細でよかった。若い人の迫力、刺激もらえます。
満足度★★
相対的な正義の尺度
ロシアの革命勢力の物語で、正義とは何かを考えさせられる内容でしたが、途中での軽い感じの演技が作品に合っていないように感じられて、物語の世界に入り込めませんでした。
大公を殺害しようとする革命組織のメンバーが、いざ実行となると、それぞれの「正義」や「潔白」に対する考え方の相違があらわになり、さらに「愛」という要素も加わって葛藤する物語でした。
部屋の出入りを特徴的な身体表現で表す以外はストレートな演技スタイルで演じられていましたが、中間辺りで新たに登場する役が、それまでとかなり異なる、おどけた要素を強調していて、せっかく高まっていた緊迫感が壊されて以降を集中力を持って観ることが出来なくなってしまいました。重い内容なので観客の集中力がに途切れないように笑いを入れる意図だったのならば、逆効果だったと思います。
開演前の注意のアナウンスがあるより前からマイム的な動きが行われていましたが、劇中では出て来ない様な現代的な動きがあったりして意図が良く分かりませんでした。
ドアをノックする音や馬車が走る音といった効果音や、転換時の音楽を役者が生演奏で出していたのが良かったです。
邸宅の広間の様な高級感があるギャラリー空間の奥に赤い布を上部から垂らし、そのまま床に水平方向に敷いただけの質素なセットが劇場とは異なる雰囲気を醸していて、新鮮でした。
正義の為ならテロリズムも肯定する役を演じた濱仲太さんが迫力がありつつもうるさくなく聞き取りやすい台詞回しで、急進的な革命家の雰囲気が良く出ていました。