修学旅行~TJ REMIX Ver. 公演情報 修学旅行~TJ REMIX Ver.」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
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  • 満足度★★★★

    まるでお手本のような
    あらゆる点で秀逸でした。
    本も演出も共に素晴らしく、観覧しつつも色々と考えるヒントを
    頂けました。

    観られてよかった、純粋にそう思えてくる素敵な作品でした。
    ぜひ次回も拝見したいです。

  • 満足度★★★★★

    極上の修学旅行
    畑澤聖悟作、構成・演出はキラリふじみ芸術監督で「東京デスロック」主宰の
    多田淳之介とくれば、その演出に期待せずにはいられない。
    沖縄への修学旅行中、女子高校生の内輪もめが次第に拡大していく様を
    ケラケラ笑いながら見ているうちに、
    その力関係が911以後の世界情勢を映していることに気づくという二重構造が巧み。
    二重構造に気づいても気づかなくても楽しめるように作ったという作者の意図を、
    これまた多田淳之介さんが解りやすい演出で極上のエンタメに仕上げている。
    こんなに笑った舞台は久しぶり。

    ネタバレBOX

    舞台正面に、セーラー服やブレザー、詰襟など10数着の制服が掛っている。
    並んだ椅子に出演者が座ると、やがて厳かな雰囲気で教師が二人登場。
    「工藤由佳子 3×歳」となぜか実年齢まで読みあげると
    「はい」と立ち上がる。
    冒頭のこの卒業式の場面で、これから高校生を演じる役者の年齢が明らかになり
    その無理目な設定と神妙な出演者の顔が可笑しくてたまらん。

    沖縄への「平和教育」を兼ねた修学旅行の夜。
    教師の覚えめでたい生徒会長の本音だの、
    修学旅行の夜を盛り上げようと必死な班長だの、
    県大会前で部屋でも素振りを欠かさない部員だのが
    ひとりの男子をめぐって次第にたまっていた不満をさらけ出していく。
    「そのバットが飛んでくるかもしれないっていう不安で気が休まらない」という
    生徒会長の発言が正義のアメリカを映していると気づかなくても
    全く問題なく楽しめる台詞と展開が秀逸。

    枕を投げ合い、布団をブン投げ、挙句の果てに畳までひっくり返しての全面戦争に突入。
    やがて廃墟と化した部屋でしばし呆然とするメンバーたち。
    再び卒業式の場面に戻って、式歌「翼をください」を斉唱するが
    バックの飛行機音が次第に大きくなり爆撃音に変わっていく演出が冴える。
    せっかくの二重構造に気付かないのはもったいないとばかりに
    911や沖縄戦、さらには311を思い起こさせる多田演出が上手い。

    作品は、演出によってこんなにも変わるし変えていいのだということを
    このオトナの高校演劇祭で改めて知ったような気がする。
    良い作品というのは様々な演出が可能であり、
    それは台詞が良いからいじっても崩れないということでもある。
    鮮やかな多田演出を観て、その印象を強くした。
    工藤由佳子さん、柿崎彩香さん、三上春佳さん、北魚昭次郎さんなど
    今回もそのなりきりぶりが見事で素晴らしかった。
    畑澤聖悟さんという人がこれから何をするのか、ずっと見て行きたいと思う。

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