生まれ晒し 公演情報 生まれ晒し 」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-1件 / 1件中
  • 満足度★★★★

    日本の不条理劇の新しいミューズ
    「たかはしみちこ」さんを見ませう。

    ネタバレBOX

    とうとう生れかけているのかも知れない。日本の現実をたっぷり引きずった「次世代不条理演劇」が。
    日本の不条理劇の新しいミューズ(と呼んでいいでしょう)「たかはしみちこ」絶好調。
    独特な調子で寸断、飛躍、逆ギレする言い回し。大阪の「未知座小劇場」の時は、何か全体の調子を壊しているような感じがしていたのだが、今回は確実に一つの世界(圏)を作っていた。
    ベケットに近い感触が奥の奥にずっと流れている。別役の『マッチ売り』をもじり的に悪乗りさせてゆくような箇所もあり。

    独創的といってもいいだろう荒々しいナンセンスなやり取り(「どくんご」的ともいえるが)。食べ物がでてくる結節点。
    あっと思うような部分や、パワフルな見せ場も、前回に増して用意されている。

    前作『生まれ晒し』(2006/12 新宿タイニィアリス版)と比較すると、人物の関係が全面的に書き換えられている。
    引きこもりの風俗嬢とそのなじみの客という設定だったと思うが、今回は、オンボロアパートから立ち退きを拒んでいる不法滞在者と不動産業者。何度も通って来ているので顔なじみになっている。

    ただ、残念な箇所も無いわけではなく、手垢のついたイメージが出て来るとガッカリ(キリスト教的なイメージ。権力とか威光の風刺。昔の小劇場風に子供時代の思い出がどうだとかこうだとか出てくる箇所)。
    ネタに細かい矛盾がある。日本人じゃないはずのに、日本人ならおにぎりとか。

    設定を曖昧に取りこぼしてゆくんじゃなく、踏まえるなら踏まえて、カフカ的に(?)途中で逆転させるなら、きっちり掴んで投げを打って欲しい。

    素晴らしいところが最期まで貫徹しないが、これから盛岡、新潟へ遠征公演。前半部の仕上がりだけでも見ておいて損は無い。後半の数箇所もすごいです。

    初日。しかし観客に演劇関係の人が多い。3分の1位はそんな感じか。ミュージシャンズ、ミュージシャンみたいな支持のされ方をしているのかも。

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