こんばんは、父さん 公演情報 こんばんは、父さん」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ネタバレ

    ネタバレBOX

    二兎社『こんばんは、父さん』を観劇。

    息子に小さな工場を継がせたくない父と父親のような職人になりたいと憧れを持つ息子。
    互いの思いは通じず、息子は父の期待通りの職業に就き成功者になるが、投資で失敗し借金を重ねて逃げ待っている。
    工場経営は順調だったが、時代に取り残されてしまい、借金を重ねて夜逃げしてしまった父。
    互いに借金取りから逃れた先は以前の住んでいた工場。そこに借金取りが現れ、父と息子の確執が暴かれていく。
    最近では描く事が少なくなった父と息子の物語。終わりの見えない親子の罵り合いにうんざりしながら、亡くなった母の存在が浮き上がってくると、分かり合えなかった家族間の原因と物語の本筋が見え始めてくる。
    闇金を借りてしまった古い昭和世代の父とその息子。金が簡単に稼げるから取り立て屋になった現代の若者。互いの世代感と価値観は違えども、『幸せイコール金を稼ぐ』という定義に翻弄されてしまった登場人物たち、いや我々へのメッセージは痛烈だ。
    永井愛の戯曲は政治や社会の不正を描くことが多く、ついつい他人の出来事の様に見てしまいがちだが、先ずは己の足下を見る事が一番大事なのだという思いが切実に感じられる。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    闇金に終われる父(風間杜夫)と、取り立ての金髪青年(堅山隼太)、破産して身を隠す息子(萩原聖人)の3人のやり取り。落ちぶれているがプライドの高い父親と、意外なダメ息子の関係は、「セールスマンの死」のウイリー・ロ-マンを連想した。息子が、福島の第二工場に父を追いかけていくところなど、「セールスマンの死」のニューヨークのホテルで息子が父の浮気を知って、何もかも投げ出してしまう場面と重なった。

    ネタバレBOX

    永井愛の作品には珍しく、結末が結末らしくない。意外とまだ続く感じで終わる。

    手ぶらで帰れない取り立て青年は、「ゆびわ」探しにすがるのだが、実はもう指環はない。すると、息子が奥の箱から高級腕時計を出してきて、渡す。息子の進学費用にするはずだったものを提供した。いわばその場しのぎである。このラストは物足りなく思った。途中「そんな取り立ての仕事なんてやめて、逃げろ」と勧めるように、もっとスカッとする解決をしてほしかった。贅沢かもしれないが。

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