実演鑑賞
満足度★★★★
ストーリーと結末自体は何ほどでもないが、とにかく登場人物たちがシリアスになるほど客席に笑いが起こる面白さがある。モモンバの小屋の雰囲気も良い。
実演鑑賞
満足度★★★★
笑いのセンスがずば抜けている。主要キャラが皆ほぼ毒舌で言わなくてもいいことを一々説明して回る。唯一人口下手なお父さんだけがうじうじ暗鬱たるタールを抱えて黙り込む。最後まで観るとやっぱり松竹映画、品がある。山田洋次が元気だったら是非観て貰いたい。人をきっちり笑わせてこその人間論でないとその説得力は出ない。この作家はまだまだ先に行ける。
山奥で自給自足の生活を続ける枝元萌さん。くくり罠の名人で鹿や猪を捕らえては捌き、畑では野菜を栽培。麓の町で会社員をしている旦那(永滝元太郎氏)と別れて暮らす。高校を卒業した娘(祷キララさん)は家を出て父のもとへ。そんなある日、狩猟仲間の緒方晋氏が知り合いの息子を連れて来る。22歳の動物園の飼育員、八頭司悠友氏は屠体給餌に興味が湧き、現場を見学に来たのだった。
祷(いのり)キララさんは初めて知ったが良い女優。このルックスなら映像向きだろう。田中麗奈系の中性的な魅力。
枝元萌さんのはっと衝撃を受け愕然とする表情が炸裂。仲代達矢の呆けた表情など、大物役者には十八番が付き物。
緒方晋氏はいつもの通り、そこら辺にいる口うるさいおっさんのまんま。
橋爪未萠里さんは強い。出しときゃどうにかなる。この人の喋りで皆薙ぎ倒されていく。
ある意味主役の八頭司悠友(やとうじゆうすけ)氏もツッコミまくった。誰からも好かれない天然キャラを好演。
個人的MVPはやはり永滝元太郎(げんたろう)氏。中川剛とロッチ中岡と水道橋博士を足したような雰囲気。とにかく味があって面白い。何かをしなくても受け身で勝手に笑いが降ってくる。
テーマは『普通』。何だかよく分からない概念だが、皆と自分を隔てるもの。喉から手が出る程欲しくもあり、吐き気がする程要らなくもある。
かなり笑える会話劇。
是非観に行って頂きたい。