をんな善哉 公演情報 をんな善哉」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    笑って泣ける王道芝居には満足ですが
    世の中は、節電のため、どこもエスカレーターは停止していて、地下鉄の階段を幾度も上り、息せき切って、ハンズからの渡り廊下を走り、ようやく劇場に着いたのが、開演2分前。「あー、間に合った!」と思ったのはぬか喜びで、受付にヒトが溢れ、もぎりの方が後方にいらして、ようやく、「左のドアからお入り下さい」と言われて、客席に入ろうとした矢先、「開演しましたから、お待ち下さい」と足止めを喰らいました。

    会場も、携帯も、まだ時刻は、開演1分前の表示なのに。

    「いつのきっかけで、入れますか?」と男性。聞かれた女性は、他と話中で、指示出さず。

    私を先頭に、10名ほどのお客さんが待ちぼうけを喰っていました。

    そうこうする内、客席に拍手が沸き起こり、高畑さんの台詞が聞こえ出しました。時計を見ると、開演予定時刻。

    「何故?私達、開演してもいないのに、足止め喰ってたの?」と疑念が湧きました。

    それから、待つことしばし。ようやくお兄さんが、「それでは、2名づつご案内します。あ、お客様は、前方ですので、先に、17列目のお客様からご案内します。」と、先頭の私は後回しにされ、ようやく席に着いた時には、高畑さんと堀部さんの会話が相当進行中で、しばらくは、状況把握に手間取り、気持ちもザワザワとして、せっかくの楽しみにしていた芝居の興を殺がれたことは大変残念でした。

    一体、最後尾にいらした方が開幕何十分後に着席できたかは知る由もありませんが、演出の都合上の問題もなさそうな公演でしたし、私が入ろうとした時はまだ開演もしていなかったのですし、もう少し、観客に配慮した方策を講じて頂きたかったと憤りを感じました。

    せめて、客席の後ろで、待機させて下さってもいいのにと思います。
    そうすれば、座らなくても、劇の進行は理解できますから。

    と、前置きが長くなりましたが、芝居自体は、久々に、ホームに戻った高畑さんを筆頭に、青年座の演技派揃い踏みの舞台で、笑って泣いて、誰もが安心して楽しめる人情喜劇で、大満足致しました。

    ベテラン陣のさすがの演技はもちろんのこと、酒屋の娘役の小暮さんと、その恋人役の豊田さんの、自然な好演技が大変印象的でした。

    鈴木聡さんと青年座の相性は、「妻と社長と九ちゃん」で既に実証済みですが、今回は、ベストキャスト揃いで、本当に、朗らかに笑える楽しい舞台でした。

    ネタバレBOX

    鈴木聡さんの芝居は、よく不倫関係が描かれるのですが、この芝居では、不倫になりかかるけれど、プラトニックで終わる、中年の元恋人同士のストーリーが絡み、その描き方が、非常に共感を覚えるもので、ちょっと、個人的感情移入が過ぎて、涙が出ました。

    昔、ラジオ番組を担当していた時、良く掛けた、さだまさしさんの「線香花火」の歌詞を思い出すシーンもあり、高幡さんが、私と同い年ということもあり、自分自身のこれまでの生き方を省みるきっかけにもなった舞台でした。

    この主人公よりやや年上の年代の私も、昨年来、淋しい生活を送る、昔のボーイフレンド達から、あの頃の気持ちを告白されたりして、手塚さん演じる田村の淋しさが少し、理解できるような気持ちになりました。きっと、50代男性は皆多かれ少なかれそういう気持ちになる世代なのかもしれません。

    酒屋の娘の交際相手の「インターネット君」が、「幸せは脳内で感じるもの」という、持論を話す件が、とても自然で、説得力があり、舞台上の諒子(高畑)同様、この台詞だけで、私も、この青年に好感を抱いてしまいました。

    この芝居の登場人物全員に、役を演じている役者さんもろとも、、好感が抱けて、まさに、私の理想とする、人情喜劇でした。

    鈴木聡さんの脚本も、男女のドロドロした部分は描かず、誰にも、印象の良い作品に仕上がっていて、好印象でした。

    ただ、病気で仕事を休んで、お店も休業していた職人が、いきなり、短時間で、来客に善哉を振舞うという件は、幾らなんでもやや不自然ではと思います。

    そのことが、気持ちよいエンディングに繋がるエピソードだけに、粗が目立って残念でした。

    また、和菓子屋のセットは大変リアルなのに、作業場の窓越しに見えるビルの風景が、ややデフォルメされた雰囲気で、アンバランスな感じがありました。

    手塚さん演じる田村が、「笹本」に来訪した時の、入り口の違いによって、彼と諒子の関係の変化を表現した脚本か演出は、非常に秀逸だったと思います。

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