ローザス「ツァイトゥング Zeitung」 公演情報 ローザス「ツァイトゥング Zeitung」」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    アフタートークは聞かなかった
    映像も含めて、これまでに見たローザスの作品の中ではかなり好きなほう。
    上演時間は2時間弱。開演前はずいぶん長いと思ったが、始まってからはあまり気にならなかった。



    ネタバレBOX

    出演者は9人。国籍が多彩で、その点では今年亡くなったピナ・バウシュのヴッパタール舞踊団を連想させる。ただし、ヴッパタール舞踊団のメンバーよりもこちらのほうがずっと踊れる人が揃っている感じ。
    出演者の中では古株といっていい池田扶美代が唯一の日本人ダンサー。一人だけハイヒールの赤い靴を履いていて(他のダンサーは素足)、動きの面では若いダンサーとの競合をはなから避けているようだった。ダンサーが群れ集う場面では、素足の中にハイヒールが混じっているのでヒヤヒヤした。踊る凶器というか、彼女はローザスの秘密兵器だった。顔立ちがニブロールの矢内原美邦に似ていると感じるのは私だけだろうか。ついでにいうと、ローザスの韓国人ダンサーであるスーヨン・ヨウンは、ヴッパタール舞踊団の日本人ダンサー、瀬山亜津咲になんとなく似ている気がする。

    舞台の下手奥にはピアノが一台。立て看板ふうの舞台装置がいくつか後ろ向きのまま三方の壁際に間隔をあけて並んでいる。座った席が最前列だったので、見上げると高い天井に組まれている照明器具設置用の骨組みが複雑に入り組んでいるのが見える。そして舞台の両端に置かれたいくつかの椅子。全体としてはダンスの稽古場のような雰囲気が感じられた。音楽はアラン・フランコという人がピアノを演奏したほか、録音も使っていた。バッハは何曲か聞いたことがあるが、シェーンベルクは名前だけ、ウェーベルンは名前も知らなかった。聞いていてわかったのは、クラシックと現代音楽がともに使われていて、ダンスといっしょに聞くぶんにはまったく抵抗がないということ。

    ダンス作品で使われる音楽は、踊りの伴奏だったり、作品の雰囲気を盛り上げるBGMだったりすることが多いと思うが、一部の振付家は音楽をもっと積極的に聞き込んでいて、ダンスの振付と音楽の関係もより密接なものになっている。いってみれば、聴覚的な刺激である音楽をダンスによって視覚化していると感じられる。ジョージ・バランシンやナチョ・ドゥアトの振付がそうだと思うし、ローザスの振付家であるアンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルの作品にも同じことがいえるのではないだろうか。
    ダンスを通して音楽を見ている感じ。それさえあれば、ドラマ的なものを別に想像しなくても最後まで退屈せずに見ていられる。

    劇場でもらったプログラムを見ると、即興も行われているらしいが、まったく気づかなかった。ただ、コンタクトがほとんどないなかで、ロシア出身の男女が終盤で猛烈に絡み合っていたところがコンタクト・インプロビゼーションぽいかなと感じたくらい。最前列の座席だとソロダンスの場合はともかく、複数のダンサーが踊るときには見づらくなったりするものだが、各ダンサーのソロも用意されていたので充分に満足だった。

    序盤で色付きの紐を使って距離を測るみたいな動きがあったり、大勢が舞台上をわらわらとあちこちへ移動するだけという場面もあったが、そのどちらもちゃんと音楽と連携しているのがわかった。





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