公演情報
「血のように真っ赤な夕陽」の観てきた!クチコミ一覧
満足度★★★★
鑑賞日2019/03/18 (月)
何故人は戦うのだろう…。哀しいね。長老役の岩崎加根子さんの存在感が素敵。こういう方がそれぞれの時代時代に居ないと、人類全滅してしまうのでは。この観劇後に映画「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」を見て同じ時代背景で、同様なことがどれくらい起こっていたのだろうか?と泣きたくなった。
満足度★★★★
鑑賞日2019/03/22 (金) 14:00
座席1階A列1番
最近は劇団チョコレートケーキへの新作よりも、他劇団への脚本提供が目立つ古川健氏。
どこの劇団も、あの古川健氏の新作!ということを前面に出すので、見落とすこともなく、いつも満員である。
それにしても、その提供サイクルは早く、自前のチョコレートケーキ公演は大丈夫か、と心配になってしまうが、何のことはない、過去公演のブラッシュアップで、再演でも高評価を得ているのだからたいしたものだ。
むしろ、劇団員の皆さん、特に西尾氏などは客演で腕を磨いているようだし、他の浅井、岡本両氏もまた腕を磨いて私たちの前に現れてくれることだろう。
さて、古川氏は自身の脚本については、演出家のアレンジに一身に身を任せるようで、同じ作者であるからしてテーマ性については近似的であっても、かなり劇団毎のカラーというか、雰囲気に取り込まれて、テイストに差が出るものだなあ、と感じることが多い。
この作品も、その激烈な題名からとは異なり、かなり俳優座独特の理想主義、人間至上主義、あるいは性善説的な風潮の作品に仕上げられている。日本への帰国時に祖母と父親がなくなり、幼子と離れ離れになったことが語られるが、それでも他の皆は無事帰国し、現在も元気に暮らしているとなれば、それ以上に何を求めようか。彼ら南部の開拓団も、他の開拓団のように自決を選ぼうとしていたのだし、それでなくとも死地においやられたのかもしれないのだから。
もし、チョコレートケーキが上演しようとすれば、もっと開拓団と中国人との深刻な対立や、暴力性が描かれていただろう。劇中繰り返される、良い人もいれば悪い人もいる、という何気ない道徳訓も、もっと構図的に示されていたと思う。
舞台冒頭と最後に登場する現在(日中国交正常化直後)の大陸でのチャンさんと息子との邂逅は、置いてきた幼子が大きく成長していることを示し、民族的な対立が恩讐のかなたになったことを示し、観客に安らぎを取り戻してくれる。
ただし、「血のように真っ赤な夕陽」と表現された、あの激烈な生の瞬間の軌跡は、薄められた感があるが。
満足度★★★★★
鑑賞日2019/03/21 (木) 14:00
座席1階6列
これまで戦時中の悲惨な話ばかりを聞かされてきたので
現実にもチャンさんと3家族のように民族・人種を超えて信頼関係を築いた例もあったのだと思いたい。
ラストはちょっと出来過ぎな感じもしたけど、
それもまたよし。
満足度★★★★
満蒙開拓団の悲劇だが、あえて辛口で言わせてもらえば甘い。主人公たちは善意の開拓団で、「満人」から慕われ、敗戦後の窮地を助けられる。こういう開拓団もあったのだろうが、幸福な例外だったろう。満人を差別的に扱い約束も守らない傲慢な開拓団や、集団自決で全滅した開拓団の話も出てくるが、隣の開拓団の話として、伝聞でしかない物足りなさは残る。(ただ、それを舞台で血みどろで演じるのがいいか、というのはまた別の話であることも分かる)
最初に不満を書いたが、いいところももちろんたくさんある。「誰か故郷を思わざる」の歌は聞いていて、しみじみした。ベテラン岩崎加根子もよかった。特に、体を張って満洲人を守るところ、集団自決に思いつめた仲間をひとまず和ませるところ。集団自決で同胞を殺してきた役の、谷部央年のすごみはまさに鬼気迫った。満洲人のリーダー役の渡辺聡も、被支配民族の苦しい立場と誇りをよく演じていた。
30万人の開拓団のうち9万人が犠牲になった(27万人中8万人犠牲という説もある)、そのうち1万が集団自決という。同じ満洲でも都市部の日本人とはレベルの違う、開拓団の悲劇の構造と政府・軍の責任があぶりだされていた。藤原てい「流れる星は生きている」なかにし礼「赤い月」など、引き揚げ体験を書き記す人は、都市にいたインテリ層(あるいはその子弟)が多い。そういう点でも、改めて満蒙開拓団の悲劇を現代の観客に追体験させた意味は大きい。
満足度★★★★
これはこれでよく出来ていると思う。
第二次大戦期の満州開拓団の素材、俳優座の公演、古川健の書き下ろし戯曲。
この組み合わせで何か新しい舞台成果を上げることは、出来そうで実は、不可能なことなのだ。そこが演劇なのだとも言えよう。
素材から、民族を越えた平和と融和をという絶対的なテーマ。日本の現代劇を背負ってきたと自負する層の厚い劇団の実力。現代劇の新しい書き手として最も実績実力のある作者。
満点のものだけを掛け合わせても、それ以上のものは出るべくもなく、それぞれの要素は空しく空中分解しているが、掛け合わせたらどうにかなると考える方が無理難題だろう。現実の舞台では、現在も大きな問題になっている近隣諸国の民族近親憎悪の融和が美しく描かれ、俳優たちは見事な発声とそつのない演技でその世界を表現し、作者はほとんどの席を埋める高年齢の観客の紅涙を、事実に基ずく物語の上に仕組んでいく。
80歳代も半ばになるだろう、しっかり舞台を務めた岩崎加根子を先頭にカーテンコールで俳優たちが並ぶと、一種の感動がある。俳優陣の年齢的な広がり、粒ぞろいのその力量、若い俳優もとにかく柄も演技もそつがない。こんな素晴らしい俳優たちを持ち、新進の第一人者の作者を起用してこういう芝居にしかできないのは本当に勿体ない。
演劇が集団で作るものである以上、劇団というものは有効なものであろう。これはこれでいいとする劇団の空洞化が、日本の現代劇を貧しいものにしている。
満足度★★★★
ストーリー展開や舞台の道具立てはシンプルだが、それゆえに実力のある俳優たちの優れた演技力が光った。個人的には、ちょっとだけ出てきてすっかり悪鬼と堕した校長先生の狂気の演技に惹かれた。
満足度★★★★
鑑賞日2019/03/15 (金) 19:00
チョコレートケーキの古川健書き下ろし作品を、俳優座のベテランたちがアトリエ公演で披露した。ソ連参戦と前後して国家に見捨てられ、塗炭の苦しみを受けた満蒙開拓団の物語。
古川さんのことだから、緻密な取材をベースに練り上げた作品なのだろう。貧しい田舎の信州から新天地を求めて開拓団に加わった3家族は、お互いに協力をし合って開拓を進める。与えられた入植地が先住中国人がまだ開拓する前の土地で、開拓地を安く買い叩いて中国人を追い出した土地でなかったこともあり、中国人との軋轢がなく、地元民との協力関係があったことが、その後の開拓団の運命を左右する。
悲劇一色の開拓団がほとんどだと思うが、このような恩返し的な歴史があったとは、史実なら救われたような思いがする。それは、学問があるとか地位があるとかいう前に、人間としてどう他民族と付き合うかという根源的な問いを突きつけている。
休憩含み3時間近くの舞台だが、最後まで食い入るように見た。