グッドグッドグッドワールド 公演情報 グッドグッドグッドワールド」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2018/12/16 (日)

    前作「ふた街」から…更に磨き上げられたRPGゲーム感覚演劇。更に圧倒的な物量投入…14人パーティv.s. 魔王 という驚きの出だし。劇中の14人行進は見応えあったな。

    あまりに大勢が登場して、個々のキャラの掘り下げに不安もあったが、パーティの内紛を展開の骨子に据えることで、人物描写を仲間に集中したのは上手かった。それでこそテーマの一つ「仲間」の肉付けにも結び付く。

    またパーティのキャラ達も良い意味で統一感なく、バラエティに富んで異質な個性…というか世界観が林立していて、スピーディな展開も相まって、パーティ内の人物描写の豊かさも密度もしっかり濃かったと思う。

    基本、人間関係でしか世界が語られないし、ほとんどダンジョン内の1シュチュエーションなのに、妙に世界の拡がりが感じられるのは巧妙だよなぁ。

    また、本作品のノリをガッチリ支える常滑さんの音楽も健在。前作同様、何かのゲームで聴いた気がする…ぐらいの「微かな聞き覚え」を感じさせるアレンジが観客を盛り上げてくれる。戦闘エフェクトの映像効果も含め、ゲームに馴染んだ身体に自然に沁み込むノリだ。

    …そんな…ノリで楽しむ部分はかなり強力でしたが、さて、お話の方。

    ネタバレBOX

    【続き】

    今回の物語を深く味わうポイントとして以下の3つを挙げたい。

    ①「弱者」と「勇者の資質」

    ② 気遣いが強固さを生むチームビルディング

    ③ 罰という名の救済と…それを引き出した大局的判断


    ①「弱者」と「勇者の資質」
    「弱者が勇者になる」 という構図自体さほど珍しくはない。弱いくせに他人の窮地を放っておけない。昨今だと「僕のヒーローアカデミア」の序盤等でも読者の心を打ったシチュエーションだが、… 本作にはそれとは大きく異なる点がある…本作の主人公・勇者タスクには… 物語展開における「ヒーロー的な主人公補正」が一切ない。

    物語の展開の中で、都合よく「物理的な力」を獲得したりはしないのだ。あくまで弱者のまま、自分の居場所を見出していく。(予言の書の扱いは微妙なので横に置く。)

    物理的な力を行使できる者が勇者・ヒーローという根強い価値観… バブルガムが揶揄した『弱い奴に何かを守る資格なんてないんだよ』という即物的な感覚に反して…
    タスクの勇者としての資質、それは「他人の気持ちが分かる… 共感する力」にあるように思える。

    …弱いからこそ… 役立たずだからこそ気づける… 拾い上げられる「弱き者、虐げられし者」の想いがある。

    「共感」で仲間を増やす天賦の才、そして、だからこそ…護ってあげたくなる勇者! そんな異色の存在でした。


    ②気遣いが強固さを生むチームビルディング

    (承前) ただし、その天賦の才は冒険1巡目の時点で既に備わっていたものだ。

    なぜ1巡目のパーティは崩壊したのか。

    表向きはタスクの自己顕示欲によるものになっていたが、その内実はそれに留まらない。パーティ内の歪みは、その前に既に拡がっていた。崩壊するべくして崩壊したと思える。

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