公演情報
「黄金バット~幻想教師出現~」の観てきた!クチコミ一覧
半分癖になりつつある唐組テント芝居。あの安っぽいというか乱雑な装置や、場末な雰囲気に、惹かれている自分がいるとでも? だが気まぐれに出かけて良かった。ここ何年かで観た数本の中で随一。かつてあった時代の熱気を呼び戻そうなどという企ては、多分ナンセンスの部類だと思う。だが時代にではなく、それを求める一人に、またある状況に応えるために演じ続けているという事なのか・・そんな事を思った。正直言えば今までは物珍しさに覗いていただけだった。
千秋楽。後方操作ブース脇に座った御大唐十郎の存在に誰も気づかぬ振りか、知らずか。鮨詰めにされた桟敷の人口密度も楽日で最大だったろう。舞台からは何やら知れない迸るものがあった。
今回も唐の文体炸裂であるのは当然として、後半見えてくる風景にはいつも以上に胸を掴むものがあった。主人公は元教師で、死なせた生徒を思うゆえにその後教師を辞め数奇な、というか珍奇な道を辿り、経めぐって今、民間学校「風鈴学級」を立ち上げようと再び「生徒ら」と相見える場面。唐十郎の芝居で初めて涙腺が緩んだ。唐本人はどう見ているだろう、と後ろを振り返ったが陰になって見えなかった。だが美しい場面は一挙に反転、「待ってくれ」と追う青年。女は、皆がふり返るのを「見た」。女(藤井)と青年(福本)、正体不明の男(久保井)のトリオが「黄金バット」の存在可能性を共有する無二の仲間で、危機が迫れば誰かが助けに現われるというのも勧善懲悪の少年漫画「黄金バット」的で判りやすいが、これが現代的なテーマと融合し、最終幕での屋台崩しは祈りの形を刻印して満場の拍手であった。
満足度★★★
怒濤の展開、面白いのか面白くないのかすら判断不能になる。ただ見終わった後は凄い充足感に包まれた。幻の学校に消えた教師を、かつての生徒達が思い思いの方法で捜していく。キーとなるのが、『ゴッホは何故自分の耳を切ったのか?』である。初期永井豪のキャラクターを使ってつげ義春が描いた劇画のよう。第二幕、隻腕の教師、月船さららさんの登場から狂気が炸裂。完全に気が違ったオーラに客席の空気が呑まれた。藤井由紀さんとの対決は見もの。福本雄樹さんが何でもこなせる良い役者だなあと感心。 ラストの光景の美しさは必見。