波しぶき 公演情報 波しぶき」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.5
1-4件 / 4件中
  • 満足度★★★

    若干未整理な感なきにしも非ず
    いろいろな要素を盛り込み過ぎて若干未整理な感なきにしも非ずながら、現実ってそんなモンかもなぁ、な感じ?また、未整理なまま2時間も演られると消化不良気味になりかねないところ、上演時間100分程度に収まっているので、そこはさほど問題なし。
     
    その「雨降って地固まる…のか?」な終わり方は、中途半端と感ずるムキもあろうところ、個人的にはむしろ好き。考えようによっては判断を観客に委ねるズルさもあるのだけれど、逆に言えばダラダラ演るよりはよっぽど潔くてヨロシイ、的な?
     
    さらに、前作同様のリアルでテンポの良い会話はココの魅力。
     
    ただ、無精子症や子宮摘出に関して若干…「不謹慎」?「不用意」?「配慮不足」?…な部分があったのはちょっと気になる。とか言いつつ「種なし柿」には笑ってしまったんだが。

  • 満足度★★★★★

    惚れた。
    たぶん、誰だってそういう経験ってあると思う。
    つまり役者に惚れちゃうって経験が。

    そんなわけで自分もその経験をすることになった。

    金子良枝役の菅川裕子さん・・・やばい。
    ものすごい才能の持ち主だ。
    そしてきれいな方だ。
    ほ、惚れた・・・。

    芝居終わった後のジャージ姿、ふと目があった瞬間、まじポッてなった・・・。

    なんてゆーか、

    呼吸を止めた瞬間・・・一秒あなた・・・真剣な目をしたから・・・・・的な。

    ネタバレBOX

    って言ってる場合じゃないな、俺はアホか・・・。

    まぁ、それにしてもこの菅川さん、ほんとすごい役者だ。

    喫茶店での迫田さんとの会話。これ以上ないってくらいに自然な感じでよどみなく、みだれなく、噛みもなく、すらすらと話す感じがほんとすごかった。もうなんてゆーか、普段からこういう性格なんじゃないの?って疑うくらいの、まさに演技とは思えない、それくらい自然な演技だった。

    金子幸次郎役の太平さんもすごくよかった。

    最後の所、勘違いしながら男らしい姿を見せるところはものすごくうるうるきた。完全にウルルン滞在記だった。

    なにしろストーリーがよかった。
    なんだか重い話でいやだなぁ・・・って思いながら見始めたのに、ある程度すっきり観終わった。よかった。救われた。

    で、誰が書いた話なのかなぁ・・・と見てみたら、ぺくん役の小林さんだったんだ。・・・驚きだ。

    つまりちょこちょこ現われて、脇役しながら自分の作品の出来を観察してたってわけだ。

    うーん、いやらしい。

    とはいえ、ほんといい話だった。
    観終わった後三時間くらい、『よかったなぁあの芝居・・・ほんと良かった』とくどいくらい言い続けて同行者をうんざりさせたくらいに最高だった。
  • 満足度★★★

    普通で、よかった
    同じ町内に良くある家庭内のゴタゴタ、そんな話だ。飛び道具のないストーリー展開は安心してみていられるし、お互いの心理状態もよくわかる。舞台を観ているというよりも、親戚のイザコザに自分が巻きこまれたような気がする内容。台本には説明不足的な箇所があった(というか話しが飛んでしまった)ような気がするのだが・・・・。

  • 満足度★★★

    過去の闇
    一言で言うとこんな感じ。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    とある町工場の夫婦は子供が欲しかったが、中々出来ない。原因は夫婦の両方にあったが、この夫婦はお互いの事を思いやって本当のことが言えない。

    妻は子供が出来ないのは自分の体が原因だと、同じサークル仲間の男に相談する。同じように夫も従業員の矢守に最近の妻の様子がオカシイ。子供が出来ないのは自分の体に原因があると、相談をする。

    ここでの夫(社長)の気弱な仕草が観ていて楽しい!(^0^)
    なんだかんだ言って夫婦はお互いを愛しているのだ。

    一方で、従業員の矢守は金子社長の父親から暴力を受けて育った過去があった。矢守は仕返しとばかり、この工場を潰そうと画策した結果、工場は潰れかかる。

    矢守の本来の目的を知ってしまった妻は、矢守の裏切りを心優しい夫に知られないように配慮するが、夫は全てを聞いてしまった様子で、夫の下した最後の決断がとても男らしい。

    弱々しく見えた社長がいざという時にとった行動が何とも憎いのだった。
    妻を最後まで守ろうとする姿勢は8年前の約束どおりこれからも、ずっと君を守っていくよ。と暗に正している。更に矢守が持っている過去への執着を、ここできれいに清算させる。

    この作品に作家がどんな思いを託し、何を描こうとしたのか、そこを外してしまったら芝居をやる意味がない。
    オリジナルは世の中にアピールしにくいという現実があるが、作家が自分なりに掴んだ「書きたかったもの」の根幹は人間の本質なのかもしれない、と私は思う。この作品は大きなうねりはない。派手さもなければ、パラダイスなはっちゃけたシーンもない。むしろ、地味で日常のどこにでもいるような夫婦と下町の潰れそうな工場なのだ。そんな普通さをとらえた物語で、暖かい作品だった。

    どこにでもあるような言葉で語られる人生の断片。飾り気のないセリフ。いい意味でがらんどうで風通しのいい物語。乱雑な生活の匂いのするセット。お人よしの社長と従業員矢守の温度差。最終的に矢守はこの工場を陥れてしまった事に苦悩する。そうした自分の不誠実さをリセットし、もう一度やり直そうと改める。静かだが矢守の苦悩を爆発させる瞬間でもある。

    この物語のもう一つの特徴は「平行線をたどる」ところにある。最後まで何も変わらないし、始まらないし、終わらない。

    誰にでも自分の身の丈、自分の尺度の生活というものがある。誰でも最終的には落ち着くところに落ち着くのだと私は思っている。この人達にとって、それはたまたま元の場所に戻る事だった。表面的には後退かもしれない。でも自分の居場所を再確認したこと自体が、限りない前進なのだ。

    この物語は傑作だからみんなにみてもらいたい、というのとはちょっと違う。舞台の出来不出来の評価なんてどうでもよくなってしまうような、個人的で身近でノスタルジックな感じがある。

    ここの登場人物全員に、どうか挫折する事を恐れないで、と言いたくなってしまうのだ。さまざまな紆余曲折経て、遠回りしながらの過程こそが人生の面白さだと私は思う。


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