満足度★★★★
「東京戦争」とは、
関東大震災時。荒川土手の約6500人の朝鮮人護岸工らの虐殺事件(韓国・北朝鮮での通称“東京戦争”)を基点に、
戦時中の日本全土での拉致強制労働。北朝鮮の犯罪国家化。在日コリアンを巡る権力・暴力の100年を点描。
路上の初老の在日の労務者が、四大文明以前の“黄金時代”を夢想する場面に繋がってゆく。
満足度★★★★★
演者がそこに立つ意味。生きる意味。
元風の旅団 大谷蛮天門さんの反戦授業。
作品ではない。もちろん演劇でもない。
これは、テント芝居の鍛錬に裏打ちされた
生き様の証言であった。
一人の男の思想がとめどなく溢れる舞台上。
聴かせる声。もちろんスキルあってのことだけど
彼の言葉に一番説得力を持たせているのは本気の想いだ。
思っていることをストレートに書いて、ストレートに叫んでいる。
特に大震災後の在日虐殺に関するモノローグ、
戦時下のダム建設現場でのモノローグは
真に迫るものがあり、グッと引き込まれた。
蛮天門さんがワンカップをあおってよたよたと
千鳥足で歌うアリランは、儚げで情けなく
なんとも言えない味わいがあった。
その軽妙な立ち振る舞いの奥に、
「俺は差別や暴力を排してゆくんだ」というダンプカーのような
力強いバイブスも感じ、感動した。
また、朗読イベント『謳わず騙れ』で対バンしたことのある
蜂蜜劇場の伊牟田耕児さんと、
知人のアルチュール佐藤さんがサポートアクトを担当しており、
それがまた最高だった。
二人とも十二分にテント芝居のキャリアを積む怪優である。
特に伊牟田さんの真髄を知って痺れる。
痙攣しながら鼻水垂らし、半裸でキノコを齧って
浮き輪を抱いて叫ぶ台詞は尋常ならざる狂気を帯びており、
意味はわからぬが、とにかくカッコよかった。
『浮き輪の空気穴から世界を覗いておりました!!』
この熱量と勢いを舐めてはいけない。
まず、思想統制されているといえる唐組よりも彼らは自由だ。
また、どんどんメインメンバーが減って磁力を失っている
(と俺は思っている)新宿梁山泊や水族館劇場よりも、
この3人が放つグルーヴのほうが断然調子いい。
3人とも若者とは言えないベテランなくせして絶好調なのだ。
東京に住んでてよかった。衰えないアングラぶりを観ることができた。
熱すぎる。 ……の割りに一般人に無名すぎる。
こういったライブをコリッチで紹介せんでどうする?って思う。
もっと皆に知って欲しい。
台詞(言葉)の力を使わずに存在感だけで勝負して
勝てる気がしねー先輩方は、多くいるほどイイと思う。
俺は悔しいから稽古あるのみだ。
40歳を越えたらこんなカッコイイ大人の河原者になるんだい!