幻の国 公演情報 「幻の国」の観てきた!クチコミ一覧

★ 満足度の平均 ★ ★ ★ ★ ★ 4.8
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  • 満足度★★★★★

    劇団チョコレートケーキの評判を聞いてはいましたが、今回、まさか昴さんで観ることができるとは思ってもいませんでした。
    久しぶりにどストレートにハードな作品を拝見できました。
    当パンの用語解説を上演さ前に読んでいたので、元々は知らない言葉にも着いていくことができたと思います。

    ベルリンの壁崩壊前後の東ドイツが舞台。
    その時代を、あの瞬間をテレビや新聞で見ていたのを思い出します。
    壁に日付が投影されるたびに、自分のその時を振り返り、こんな自分では選びようがない国で生きていた人々の暮らしをリアルに感じていました。
    東ドイツのことをこれだけ真っ正面から書いたのが日本の方とは驚きです。

    ネタバレBOX

    シュタージという組織で働く人々、プラッテンバウで暮らす人々、密告者である人々。
    それぞれが同じ集団に所属していても、背負っているもの、生き様の違い。
    それが最後の時に至って、大きく道が別れる切なさ、不条理さ。
    最後。花火を見ている前向きな場面で終わると思いきや、まさかのルドルフは自決。
    彼は何を思って死を選んだのか。
    新しい時代についていけなかったからなのか。過去の行為に対する悔いなのか。その上での贖罪なのか。
    降り散る書類が意味したものはなんだったのだろうか。
  • 満足度★★★★

    古川健と言う作者が芝居を心得たうまい劇作家だということは、俳優座系、文学座系の二劇団の稽古場公演を、同じネタで(いい度胸だ)面白く見せてくれたことでよくわかった。ドイツを鏡にして、現代日本の状況を反面教師で見せるという趣向である。青年座の方は大衆扇動、こちら昴の方は市民社会の中の密告が主な素材で、要するにいろいろ大きな理想を掲げるが、全体主義の手法に騙されるな、と言う社会劇である。昭和前期の世代には、身に沁みた話ですぐに「大本営発表」と「隣組」が連想されるが、若い世代には目新しいだろう。こういう話を問題劇として面白くみせるのはいい企画だ。(だがここまでで充分だ)
    ほめる人は多いだろうから、気が付いたところ。外国の話だから人物のパタン化は避けられないにしても、事件の方もパタン化している。観客との接点に乏しい。青年座の時と同じ感想だが、次は日本を舞台に書いてほしい。幕切れ、何かに感じが似ていると思ったら、「女の一生」の幕切れと同じではないか。カリドールを踊る代わりに、花火が上がる。こういうところは日本情緒で締めているわけだが、その辺をもう一つこの才能豊かな作者には工夫して欲しいところだ。
    俳優はさすがに新劇系で、台詞は無難だが、ドイツの話と言うこともあってか、うごきに鮮やかさがない。舘田が目立つようではね。
    老人の観客が多いせいか、トイレの時間が予定の休憩時間では間に合わず、間が抜けたのは、大当たりのご愛嬌と言ったところか(笑)

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2017/09/18 (月) 14:00

    劇団チョコレートケーキの古川健さんは、歴史の舞台を切り取る演劇脚本では定評がある。今回、見に行った動機の一つは古川作品であるからだし、同劇団の日沢雄介さんの演出というのもある。
    舞台は東ドイツ崩壊の前夜。一般家庭であるが、夫は秘密警察シュタージの幹部であり、妻は一般住民を監視する役目を夫から請け負っている。普通の人が普通の人を監視するという世の中は、珍しくない。日本では秘密保護法や安全保障関連法案ができても戦前の密告社会には戻らないだろう、と言う人は多いが、この舞台で描かれている悲劇は、昭和から平成に変わる直前の東ドイツでの出来事だ。日本人だけが「歴史の過ちは繰り返さない」と言い切れるはずはなく、そのあたりをこの舞台は訴えかけている。
    二つのステージを切り取って2画面テレビのように連続していくテンポのいいステージだ。東独の歴史を知らなければ少し難解かもしれないが、分かりやすい舞台であることは、客層がかなり若いことからも証明できる。
    主役のマリアを演じた落合るみさんの迫真の演技は涙を誘う。全身を振るわせて恐怖する瞬間を実に見事にやり切っている。女優主体で物語は動くのだが、シュタージの非正規雇用職員ララを演じた舘田悠悠さんも出色であった。

    ネタバレBOX

    自由席なので、早めに行って中央の席を押さえたい。どっちカニ偏ると首や腰が痛くなります。
  • 満足度★★★★★

    劇団昴ザ・サード・ステージ公演の舞台であるにもかかわらず、脚本・演出が古川健
    日澤雄介のコンビということで、劇団チョコレートケーキの色濃い骨太な舞台。このコンビは、時代を切り取らせると本当にうまい。宿命に流されず、運命に偏らず、それでいて時代の中でもがく人間描写がいつも胸を打つ。
    ドイツを扱った舞台ということで、青年座の「旗を高く掲げよ」をすぐ思い出したけれど、あちらも脚本は古川健氏だったよなあ。そうして観るとこれは後日譚と言えなくもない。
    金華玉条のように奉ったナチズムから社会主義に、嬉々として思想的な転換を図ったあの夫婦。彼らが観たその40年後のドイツがここにある。「幻の国」の夫婦の健気さと贖罪意識を、「旗を高く掲げよ」の夫婦は遂に持つことはできたのだろうか。
    この2作の関連性を、一度古川氏から聞いてみたいものだ。

    ネタバレBOX

    最近、★5つが多すぎるかな。でも、それは幸せということだから良いことか。

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