LoveLoveLove20 公演情報 LoveLoveLove20」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    扉座研究生の卒業公演として上演された作品であり、芝居もダンスも歌も必ずしもうまい人ばかりとは言えない。

    しかし、未熟であることや必死であることすら、観客が目撃する枠組みの中にある。たとえ間違ってもヘタクソでも声を枯らしても、それでもいい、いや、いっそその方がいい、と言ってしまったら語弊があるかもしれないが、彼らのがんばりこそが、この公演の最大の見せ場のように思えるのだ。

    その汗や息づかいを魅力的に見せようとする演出や振付、そして照明や音響もある。

    公演の最後は『スクラム』という演目だ。ラガーシャツに身を包んだ彼らが、それぞれ最大の愛の言葉を叫びながら体当たりをする。

    準備から公演までたくさんの汗を流し、その日の公演でも力を振り絞って、スクラムの頃にはもう、叫ぶ言葉もほとんど聞き取れない。

    それでも、これも演劇なのかもしれない、と毎年思う。……というか、実はこの辺りはもう毎年泣きながら観ているのだ。

    ほとんどが初めて拝見する役者さん(のタマゴ)ばかり20人、序盤のタップからラストのスクラムまで、彼らが踏みしめる劇場の振動に共鳴し、彼らの「愛」と喜怒哀楽に寄り添い、2時間10分の上演時間が終わる頃には、いつの間にか彼らに親しみを感じるようになっている。

    この先彼らがどんな道に進んでいくのかはわからない。扉座に残る方もいるだろうし、他で役者や舞台に関わる仕事をなさる方もいるだろう。あるいは、もう2度とステージに上がることのない方もいるかもしれない。

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