リリオム 公演情報 リリオム」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
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  • 満足度★★★★★

    不思議な物語の世界があった。人生は、だれにとっても1年生のいくクラスは、存在しない。いつだって一番むずかしいことから学習させられる。それは、リルケのお話しにあった教訓だ。美しい演劇のなかに、しんみりとする展開だった。

    ネタバレBOX

    リルケ「マルテの手記」を読んだころは,ずっと子どもだった頃だ。そのとき,二つのことをずっと覚えている。ひとつは,見ることをぼくは学んでいるということ。これは,どうして,大人に向かうわれわれが,もう一度見ることを再認識すべきなのか。ものすごく,不思議であり,かつ新鮮だった。やっぱり,見るという行為を根源的に考えてみる必要があるということか。

    もう一つは,マルテの母がおもしろいボヤキを口にしていたことだ。人生には,一年生のいくクラスはないんだわ。いつだって,一番むつかしいことから,学習させられる。だから,無防備な若いうちに,平穏にコマを進められたひとは良いが,そうでない子どもは,人生を傷つけ,壊してしまうだろう。それは,だれのせいだろう。いや,運が悪かっただけなのだ。

    リリオムは,まだ,子どもだ。だけど,たったひとり自分を理解してくれる魂に出会う。ところが,悲劇はおこってしまった。まるで,ロミオとジュリエットの事件だ。かれは,自分の才能を唯一認めてくれた木馬のいる遊園地から追い出され,犯罪人に落ちていく。気が付けば,愛する妻を残して自殺へと追い込まれた。生まれて来る女の子の顔すら知らないで,天国にもいれてもらえそうもないのだ。なんちゅう悪いくじ!

    『リリオム』は,とても美しいハンガリー戯曲。それを,ミュージカルにしてもヒットしたというのは,ストーリーに魅力があるからだ。おそらく,実際にあった話かもしれないし,比較的どこにでも,どこの国でもあるような話だ。それを,そのまま素直に,伝えているから,あまりおもしろものではない。そのために,趣向のなされた演劇になれたひとには,ポカンとして終わる。

    でも,むしろそこに,この演劇の狙いもあり,効果がある。人生の,不条理なところまでも,そっくり自然に受け止めて,人生を考えたい。そんな意図が感じられた。珠玉の作品。アコーディオンの奏でる音楽と,悪に走るリリオムたち若者の放つ歌声がやけにあっていて,妙に耳に残る。楽し気であり,それがかえって,終末へのアクセントになっている。
  • 満足度★★★★

    鑑賞日2017/02/03 (金)

    愛らしい作品。古いハンガリーの戯曲だが、生き生きとした台詞に簡素な構成、独特の語り口がある。たまたま半年前に古本屋で見つけて名品発掘!と喜んでいたから嬉しい上演だった。ハンガリー民謡を取り入れた(と思われる)音楽と踊りなど、戯曲の世界に迫ろうとする意気込みを感じさせ、俳優の配置も悪くなかったが、何かがもう一つ欲しい思いが残った。泥臭くリアルに行って良い部分と、軽々と跳躍する部分と、その案配だろうか・・何か惜しかった。

    ネタバレBOX

    年寄の役も若手がやっており、若手公演の趣も。恐らくは、自分が舞台上でどうなってるのか、判っていないパターン(それでいい場合もあるが今回はどうだったろう)。この戯曲の難易度を高めている、ラストの微妙なシーンに求められる微妙な演技には、とても手が届かないように思える。瑞々しさは替えがたいが、その上を狙える作品だと思う。
  • 女にモテるダメ男リリオムと女中ユリの“愛”のお話。中盤以降はまさかの展開(笑)。約100年前から生き残っている作品が、私に何を届けてくれたのかと、色んな想像ができました。お涙頂戴にせずストイックに徹しているのが私好み。とはいえ、欲を言えばもっと歌を聴きたかったかな~。初日らしいギリギリ感があって、座組みの全力を発揮できていなさそうでしたが、戯曲の面白さは受け取れました。2/3(金)14時の回も割引DAYで3700円。

    ネタバレBOX

    人間の究極の目的は他者の役に立つことなのだなぁ、とか、愛は見返りを求めない行動そのものなのだなぁ、とか、最後の食事の場面こそが幸福の象徴なのだなぁとか。そう考えると、俳優が舞台上でパンとスープを実際に食べることは重要でしたね。

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