満足度★★★★★
ロミジュリの物語を、逆回転で、つまりロミオとジュリエットが死ぬ場面から2人が出会う場面へと時間を遡って描くというもの。2階席で観たので、役者さんの表情まで細かく見えなかったが、舞台空間全体はよく見えた。
男性の役者が、数枚の可動式の壁を180度に伸ばしたり90度に曲げたり回転させたりして、その仕切りでできる空間で、流れるように自在に場面転換が行われる。時間の流れを追うように、生演奏の音楽に乗って舞台は流れるように進む。大きな時計も出てきて、時間は意識されている。舞台美術と役者の構成的立ち位置、そして照明が、ロマンティックな絵画のような世界を作る。
音楽がドツボで、一定に刻まれるドラム、ピアノ曲が印象的だった。元Olive好きには、大森伃佑子さんの衣装もたまらない。そして可動式の壁の中のその瞬間の様子が、外の壁にアンティーク風の映像で映し出されるという演出。なんというか、覗き見で、はかない在りし日の一瞬の映像を観ているような、ため息ものであった。
ロミオ役は看板女優の青柳いづみさん。少女のような声で嘆き叫びつづけるのは、ちょっと苦手に感じた。9月にマムジプのワークショップ公演を観たときも思ったが、全体的に俳優さんは、抑揚を抑えナイーブな感じで。ジュリエットの豊田エリーさんは若く瑞々しい限りでかわいかった。
終盤に、ロミオとジュリエットが出会うダンスシーン。少女たちが大森さんの美しいドレスで舞うのだけれど、そこまでの流れのままに、”哀”のしめやかな感情で空間が満ちたように思った。”喜楽”に満ち満ちたら美しさが、刹那の運命的な恋の美しさもいっそう増すのではないかと想像した。
満足度★★★
Romeo and Juliet
音楽のアルバムを聴いているようで、そのミュージック・ビデオを見ているようで…お芝居なのだけれど、音楽作品、映像作品のように鑑賞。