さようならば、いざ
田村孝裕さん作・演出。約2時間。シンプルな抽象美術と映像の組み合わせで場面転換、情報提供し、ワケありの親戚たちの本音と建て前が露呈する会話劇。
なぜ今このお芝居を上演したのかな…と、主要キャスト降板でボツになったチラシを見て考えることになった。真相には当事者にしかわからないし、当事者が真実を語るとは限らない。
満足度★★★★
むせかえる様な人間臭さ
問題の多い父親が亡くなった。
翌日には遺族や関係者が群がりそれぞれの思惑が錯綜する。
悲しみよりも優先される損得勘定の数々。
誰もが無慈悲な人間に見られたくはないが、人の良い事を言って貧乏くじは引きたくない。
リアルでそれゆえ滑稽に登場人物達の図々しくも面倒臭い姿が浮き彫りになっていく怪作。
存じ上げなかったが中村蒼という俳優さんをピックアップし今作の要となるポジションを託した演出効果は莫大。
満足度★★★★★
薮の中か?
病気を持っていたのに飲酒運転で人を死なせて刑務所に入っていた父が死んだ、という知らせを受けた姉弟と、叔母2人、そして、それそれのパートナー。誰が悪いのか、というのは本作のテーマではないが、それが徐々に明らかになりつつ、変化していくという展開が、田村らしい物語作りで、非常に面白く見せてもらった。本当のことが最後まで分からないと思わせておいてのラストシーンの衝撃が凄い。