ディギング・あ・ホール 公演情報 ディギング・あ・ホール」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    好物な...
    物語のシチュエーションは奇抜(妙)であるが、そこに居(入)るのは普通の人々。もっとも説明文では、変人のような紹介...自称ツキのない男、身寄りのない偏屈ババア、 無責任な介護士と 俺様何様な男らが登場することになっているが、それは人が持っている性格を登場人物一人ひとりに役割として担わせるようなもの。
    自分では、冒頭シーンが意味深で、これから展開していくストーリーは、現在進行なのか、過去回想なのか判然としなくなった。
    しかし、穴の中という土・埃(ほこり)、不衛生という状況・環境にも関わらず、その光景には清々しさを感じた。その不思議空間に集まっている人たちの騒々しくも切なく哀しい物語。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    舞台セットは、穴を支える柱・板、コンクリート破片のようなものが乱雑に組み合わされている。
    上手は少し広い空間...掘る進行方向のようである。下手にベットが置かれている。
    この穴には、銀行強盗(地下金庫を目指)を企む男たちと、閉鎖された老人ホームに入居していた老女が、行き先がなく住みかにしている。この2グループの人たちと、その人たちに関わる人(老人ホームの介護職員など)との交流を通して、小市民の人生を浮き彫りにする。
        
    地下金庫(ゴール)まであと10メートル...もう少しで目的達成できるにも関わらず、もたつく男たち。人生もあと少し、小さな幸福を掴みかけているが手に出来ない。そのもどかしい気持を穴掘りに準(なぞら)えた比喩として描く。

    物語は、主人公・熊坂長次(ごとうたくやサン)の一人称語りのようだ。登場人物の紹介は、約束事のように冒頭シーン...全員が横たわっているが、亡くなっているような気にもさせる。終盤には爆発・崩落という設定であり、そのループするような展開を想起させる。

    芝居では、この穴を寝ぐらにしている偏屈婆さん...梅田タエ子(浅井唯香サン)のお茶目、愛らしく、それでいて切なく哀しい演技が心に響く。実年齢よりはるかに上の年代を演じているが、メイクで老け役にしている。外見の違和感を超越した滋味ある老女の言葉...自分の実娘との確執、それを例にしながら「家族を持つことは山を登るようなもので、簡単には登れない。」、何か事を成し遂げようとすることにも通じる。
    教訓のように聞こえる台詞だが、婆ちゃんが言うと...実に魅力的に聞こえる。
    役者陣の演技力は確かであり、バランスも良かった。その中で熊坂・梅田役の二人の会話、本当に素晴らしかった。

    次回公演を楽しみにしております。
    本公演、下北沢上演であったが、穴掘り地図は大垣公演用のもの?                             

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