野鴨 公演情報 野鴨」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    素晴らしい!
    ヘッダーガプラとほぼ同じメンバーだったのかもしれない。

    人形の家、ゆうれい、海夫人、棟梁ソルネス、ペールギュントを観劇して来た旅は、やっと野鴨にたどりついた。

    かたくなに真実を曝こうとする人物、それに真摯に向き合おうとする魂の激突。

    実際には、もっと要領よく人生をいきるひとたちも多いのでしょうし、そもそもの原因は大旦那さまの放縦。なんで、罪もない中学生が自殺に追い込まれるのか、考えさせられるところです。

    ネタバレBOX

    イプセンの『野鴨』をなつかしい上野ストアハウスで観劇した。

    イプセン作品は,いつも鋭い人間観察とか,人間社会の裏舞台の暴露みたいなものが多い。そのために,どちらかといえば,楽しくミュージカルを鑑賞した方が気持ち的には楽である。しかし,名作を名演で理解し,問題点を自分なりに整理するのは,生きるための力を得ることもあって貴重だ。

    直前にみた,『外道の絆』が,交通事故にあった家庭の,モラルに反した解決案にがっかりさせられたもの。しかし,これもまた立派な演劇だったと思う。

    豪商ヴェルレが,実際の自分の孫に,最後財産を分配することになるこの物語は,そのような配慮が届く前に,ヘドヴィクを追いつめしまう。

    まず,グレーゲルス・ヴェルレという主役は,終始一貫して,父親の偽善をあばく。さらに,運命に翻弄されるひとたちに,もっと真実を,もっと正義を,倫理を,と糾弾する。
    これに対し,ヤルマール・エクダルは,騙されて結婚し,他人の子どもを育てていたにはちがいないが,それまでかわいがっていた娘に厳しく接する。そのような仕打ちは,はたして許されるものなのだろうか。

    イプセン作品は,シェークスピア演劇のようなものとちがう。身近なスキャンダルをあつかう。そのこと自体が批判されるようだ。しかしながら,現在にも,多くの劇団で,手をほとんど加えず再演され続けるのは,その作品にいまも魅力がたくさん残っているからだろう。
    良い演劇だったと思う。

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