フカフカがーる 公演情報 フカフカがーる」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2016/10/23 (日)

    不条理感の強い構成で作品イメージのピースをばら撒いて、単体ではほぼ解釈不能だがw、ひたすら丹念に下地を作り続けた前半。そこから、一転、メインモチーフである大事故を具体的に印象付けて、現実に紐づけて伏線を回収していった後半。結果、心に染みるラストが演出されたが、なんか天野さんに騙されている気がしてならないw
    (以降、続きはネタバレBOXへ)

    ネタバレBOX

    改めて感想を書き始めて、前半と後半がうまく整合しなくて苦悩。前半で何度も繰り返されて印象に残っているのは「夢に喰われる」というキーワード。夢に、仕事に、欲に翻弄され苦悩する登場人物の姿。夢追う辛さが前面に滲み出る。小劇場演劇に長く留まる天野さんならではの切実さ。
    そして「フカフカが~る」に誘う少女。連れて行ける人と行けない人がいる。「フカフカが~る」とは何なのか。
    後半では「少女の夢」と明示されたと思えた。「フカフカ がある」なんて語呂も出てきて、心地良さげなイメージ。安らぐ麻薬の様な暗示もあった。前半に相対して、この「夢」は救いの夢なのか…
    だが一方、「カフカ」のモチーフも現れたりして、「苦悩する夢世界」のイメージも漂う。事故と絡めて「フカフカが~る」は三途の川の渡し舟にも思えるし、兄の最後の言葉では理想への架け橋の様。事故に巻き込まれた隣人を留めおく夢。一方で「1人残る少女」自身の張り裂ける心を繋ぎとめる…たぶん1本道で整合するような話ではないのだ。甘さと辛さ、毒と薬の二律背反を内包する「夢」を語るに相応しい物語。観て、考えて、混乱するのが正しい見方かも。
    ふとTLに前半と後半を繋ぐ「おしゃれ相撲」は台本に載っていないと流れてきた。前半に引きずられる観客の頭を、本当に一旦キャンセルするためだけに仕掛けたのかもしれない。パンフに印象深い言葉があった。これも「ラストで観客に何かしらの感情を湧き起こさせる」ための手練手管か。
    今後も心地よく騙してください、天野さん。

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