女学生の集団自殺を巡る悲喜劇。方言での上演というのは、演劇にとって大きなポイントな気がする。
ステージをプラットフォームに見立てており、観客は線路の上にいることになる。そのため、電車到着(および通過)のアナウンスとガタンゴトンの音が鳴ると、列車と衝突する錯覚を覚える。あの擬似的な恐怖が、取り残された人々がどうしていくかという主題にリアルな意味を与えていた。
満足度★★★
重厚な会話と軽妙なツッコミ
電車に飛び込んだ3人のJCのお別れ会に向かう人達が駅のホームで会話を交わし、浮かび上がる事情や主題。登場人物は皆はっきりとした立ち位置を持っていて、話題が変われば良くも見えたり悪くも見えたり。重い言葉と軽妙なツッコミのバランスが良い。
自分が自分で考える限り主観的な見かたは消せないわけで。ただ、主観を他人の物語や現実ではないところに移してしまうことが唯一の救いの人もいる。登場人物のキャラをわかりやすくしたことで論理的な会話が噛み合っていたけど、そのぶん収束して一つになることが難しくなっていたように感じた
満足度★★★★★
良い。
静謐な舞台。と言っても台詞は絶えず交わされているが・・。
こまばアゴラのこの使用法は初めて見た。
新しく出来た駅のホームが、簡素にして見事に現出。
人のまばらさ、喪服、距離感、駅員の登場頻度・・シチュエーションが「らしく」適切である事の快さ。
そしてそこで話題となっている出来事の、不可解さ。
謎解きに躍起になるでもなく言及され、おぼろに「そのこと」は浮び上り、さりとて、だからどうという事でもなく、というより丸ごと抱えるには重く。
もっとも、形の上では、「そのこと」との関わりが人物らの共通項であり、必然「それ」は話題になるのだが・・、語られる文脈の、人物ごとの違いが明瞭で、しっかりした演技の裏打ち。軽妙と深刻の併存両立は、ひとえに俳優の力量と言えよう。
芝居上の圧巻は、主役に当たる教師の立場から発語を繰り出す女性の、さりげなく的を射た、溜飲の下がる論理構築とその言語化(作家を只者でないと思わせる)。・・・が、その言動さえも、川の如く流れる時間、時間とともに流れる会話の中に消え行くのかも知れない。
最後に願わずにおれなかったのは、、今より少しでも人というものが、正しく用いられた「言葉」、その美しさに損得を超えた敬意を払うことができたなら。あァ、そんな世の中になったらねェ・・・
てな事でありんした。(ほとんど感想文)
こういう類いのけっこう好き
シンプルな舞台構造にシンプルな照明と音響、良い意味で物語に役割を果たしていた。ワンシチュエーションで入ってきやすいお話だった。笑いの要素も物語から決して脱線しない戯曲力、この会話劇に続きがあるなと感じさせる役者さんたちのリアリティーの出し方上手だった。