満足度★★★★★
一緒に生きた・・・・そんな舞台。
高度成長期から2011年までの家族の軌跡の中に、日本の軌跡を描いたこの作品は、見事に本質を突いていたと思います。
それをその時代をまさに体現してきたベテラン役者さんたちが、熱く演じきり、私は舞台に引きづり上げられるような、そんな感覚で観ていました。
満足度★★★★★
中津留氏の言語が「新劇」舞台で命を得る
「中津留らしさ」について、ここ最近否定的な意味のそれを語っていた気がするが、今作は出色であった。休憩を挟んで三時間にわたる、ある一家の叙事詩は細密画でありながら中津留氏らしい豪快な線も入る。最終局面などイプセンかハウプトマンかの戯曲か、と思わず唸った。今の中津留氏の文体に、劇団民藝が持つ演技態が合ったのやも知れぬ。
満足度★★★★
民藝の底力を見た
「社会派」として人気急上昇の中津留章仁が民藝に書き下ろした新作を、樫山文枝を軸とした役者陣が実に丁寧に演じる。パンフレットにあるのだが、長い時間を書きたかった、ということで70年代から2011年までの、序章・1場・2場で休憩込み2時間55分の長丁場で上演するが、飽きない。社会派と言われながら、最後には個人の感情に戻ってくるのが中津留作品の特徴だが、それがしっかりと出ている。尤も、自身の劇団トラッシュマスターズでは絶対に書かないような作品に思えて、民藝の底力を信じて書いた作品なのではないかと思う。