トロイアの女たち 公演情報 トロイアの女たち」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    抜群のセンス(^-^)
    ギリシア劇は、西洋演劇の起点。だから、そのあたりの勉強が乏しいのは残念ではあった。

    今回、これほど格調の高いものに出会うとは思っていなかった。さらに、トロイの木馬の話くらい知っていれば、十分に楽しめる内容だったのが良かった。

    同じように企画が、またあったら拝見したいと思います。

    ネタバレBOX

    『トロイアの女』は,前415年にアテナイで,初演されたエウリピデスによる三部作の最後を飾る傑作である。ほかの作品は,トロイア戦争に原因となったアレクサンドロス・パリスの宿命的な誕生などを主題としたものと思われる。

    劇は,伝統的な手法に従い始まる。ポセイドンが,序言を述べる。ほとんどの場面に,へカベが出演している。ソホクレス『オイディプス』が複線的なのに比べて,単線的に進行するので非常にわかり易い。

    王女カサンドラの異様さが目につく。嫁の,アンドロマケと,唯一の希望,孫アステュアナクスが出て来るところで,今回の劇では最高頂点に達する。また,この場面を非常によく観察することで,劇全体の構成が一目瞭然となる。

    ヘレネは,10年にわたる憎しみを抱いた夫メネラオスと再会する。自らに非はない,すべてが,美の神アフロディーテに導かれた事件だと切々と言い訳する。怒りに震えていたはずのメネラウスは,結局また騙されてゆく。

    ギリシア悲劇というものは,非常に良く出来ている。西洋演劇というものは,聖書が昔話であることに象徴されるごとく,すべて論理的に整合している世界だ。また,そこで,起こりうる「運命」的なパターンは,実はほとんど分析され尽くせる性質のものと考えて,典型的な作品を量産した。

    だから,シェークスピア演劇にしても,イプセン作品にしても,もとをただせばそのいずれかのパターンにいきつくと思われる。そこで,大学などで,演劇の基礎を勉強するひとは,ギリシア悲劇など,遠くて難解で,空しいような故事などを熱心に勉強し,その周辺にある技術・演出をも学ぶ。

    トロイの木馬というエピソードは,比較的単純で,ヘレネという美貌の女性を,夫メネラウスの留守に,パリスが強奪し,トロイに連れかえるところから,話は開始される。やがて,国と国の戦争が,この些細な事件をネタに拡大されていき,トロイに贈られた休戦の証としてのプレゼント,木馬に隠れた兵士たちが,夜襲の手引きをはじめ国は滅んでしまうのだ。

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