満足度★★★★
微妙な気分
原作のファン、モーニング娘。のファン、自分も演劇をやっている(のでより興味がある)。と、三拍子揃ったこのミュージカル、即チケットを取りました。
実際に観て・・・
ちょっと複雑な気持ちで帰途につきました。
決して悪かったわけではない、むしろ良かった・・・しかし、なんというか・・・まだ中庸な感じが、むずがゆいのだと思います。
原作は、漫画として傑作で、そこに「物語を短縮する」「女性のみ(しかもほぼ若年者)で演じる」「演劇初心者にも目立つ出番を与えなければならない」「原作ファンを裏切らない」を加えるとなると、しっかり立脚するものがなくなるのではないか、と。
2年前でしょうか、やはりモーニング娘。主演で上演されたミュージカル「LILIUM」が素晴らしかったのは、彼女たちのために書かれた脚本だったからかもしれません。
原作ものだと、結局のところ、彼女たちの本領発揮である”歌とダンス”に芯を求めることになるのだと思います。そして歌ダンスのシーンは素晴らしかったです。アイドルの生歌でここまでできるのはハロプロならでは。
それと、何人かのメンバーが、舞台に立つに足る演技をしていたことにも触れておきます。佐藤優樹さん、工藤遥さん、石田亜佑美さん。佐藤さんは時々セリフが聞き取りにくくなるものの、滑舌より気持ちが大事とばかりの感情の発露が観客の心に触れたと思います。工藤さんはそもそも演じる才能を感じますが、見せ場が少なく損をしているように見えました。石田さんはものすごい伸び率、普通に役者を見る目で観ていました。
譜久村さんはとにかくきれい。彼女のソロシーンは大きな見せ場でした。
牧野さんが舞台経験が少ないながら、心のこもった演技をされていて、生まれ持った可愛らしさと相まってとても魅力的でした。
小田さんはとにかく歌がうまく、ちょっと舌足らずな役作りも良かったと思います。
宝塚出身の役者さん2人が脇を締めていたのは大きかったです。このお2人のおかげで成立していた面は無視できません。
「LILIUM」「ステーシーズ」「リボンの騎士」の成功例がある以上、やりようはあるのだと思います。来年も期待しています。