at Home Coming 公演情報 at Home Coming」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    Team ドラフト4位 第2回公演『at Home Coming』

    居酒屋の横の急な階段を降り切って、右を見ると、すぐそこに舞台と客席が現れる上野小劇場は、場所自体もアットホームで、この舞台にぴったり。

    今回は、奈穂さんの初脚本、兵藤さんの脚色。

    奈穂さんから、「初めて脚本を書いた舞台を観に来て頂けたら」とご連絡を頂き、これは何を措いても駆けつけなければと観に行って参りました。

    「夢を持って」「思い続け、言い続ければ夢は叶う」というと、恐らくは、「そんなの嘘だよ」「叶わない夢だってある」、「叶わないから夢なんだよ」「そんなのきれい事」という言葉が返って来ることがほとんどだと思う。

    夢見荘に来た当初の松下芳和さんのノブもそんなタイプの青年。

    それが、其々に夢と傷を抱え、それでも尚、それだからこそ尚更、夢を叶えるために、上手く行かなくて折れそうになっても、挫けそうになって傷付いたとしても、夢を見ることを止めず、叶えようとする姿に触れ、夢を見ることを、夢を持つことへの一歩踏み出そうとするノブは、きっと多くの人たちの姿でもあるのではないだろうか。

    だから、観ているうちに、ノブの心中が自分の事のように思えてくるのだと思う

    橘奈穂さんのサクも、過去に抱えた傷がストッパーになって、次に踏み出せないでいたのが、ノブと関わって行くうちに自分の傷を正面から見つめ、次へと踏み出す勇気を持つ姿に肩入れして観てしまった。

    横山展晴さんのダクトの夢を持つきっかけが、私が作家になると決めたきっかけと重なる部分があり、思わず涙が溢れて、一番感情移入して観ていた。

    去年、思いがけず子供の頃からの夢を叶え、文章を書く仕事のきっかけを得て、一歩踏み出した私は思う。

    「夢は信じ続け、追い続け、言い続ければ叶う」と。

    しかし、それはただ漠然と思い、追い、言い続けれるのではなく、何があっても続け、行動しなければ叶うものではない。

    10歳の時に、傷ついた自分が物語や作家の綴った言葉で、励まされ、慰められ、力づけられたように、悲しい思いや苦しく辛い思いをしている人にそっと寄り添い、包めるような物語や言葉を紡ぐ作家になりたいと夢を持ち、40年書き続ける事だけは止めずにいて、去年初めて対価を貰って書く仕事をして、夢を叶える一甫を踏み出したからこそ、「夢は叶う」と言える。

    観ながらそんなことや色々な思いや感情が目まぐるしく交錯する、温かくて、傷ついた心と背中をそっと包んで押してくれるような笑いとしみじみと染み入り、他人同士が各々の夢を持ち寄って、夢見荘に集まった住人たちは、誰よりもあったかい家族だと感じる。

    ノブを始め、さまざまな傷と思いを抱えて、夢を追う夢見荘の住人たちを、時に核心をつき、時に抱きしめ、温かい目で見守り包み込む、ノブを始め、さまざまな傷と思いを抱えて、夢を追う夢見荘の住人たちを、時に核心をつき、時に抱きしめ、温かく包み込む、須佐光昭さんのマーコさんみたいな大家さんの家に住みたくなった舞台だった。


                   .       文:麻美 雪

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