燃ゆる暗闇にて 公演情報 燃ゆる暗闇にて」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
1-1件 / 1件中
  • 満足度★★★★★

    いつも新しい、いつも刺激的、を体現。
    価値観の逆転というか、
    善悪の反転というか、
    革命の伝染というか、とにもかくにも面白い。
    タブーを打ち壊す、というか、ガラスの動物園を破壊しまくるような感覚。
    黒い衣裳に身を固めたイグナシオはさながらハムレット。
    周りが狂っているのか、自分が狂っているのか?
    おもろい。
    一般的な幸せ、というものが、何かに目を瞑って、
    何かを見ないようにして、何かの真実に触れないようにして維持している物だとしたら、
    そこに真実を持ち込むのは善か悪か。
    そういう点ではイプセン的でもあるなぁ、と思いました。
    平和な日常の中に侵入してくる破壊者。
    作中イグナシオも「戦争を起こしにきた」と言ってますが、
    その行動は善とも悪とも言い難い、
    「見る」という事への欲望と探求心。

    「見る」という事がタブー視されている盲学校を舞台に、
    登場人物の8割が盲目という中、
    語られるのは物理的な見える見えないではなく、
    真実を見通す力、のように思われました。
    その力を持つイグナシオが、人に与える影響。
    それは危険な扇動者か、それとも革命の英雄か。
    一度真実へと向かい始めた火は、決して鎮火する事はないのでしょう。

    盲学校を舞台にして、
    「目を開け、真実は何だ、しっかり見ろ」
    そう我々に問いかけるようなお芝居でありました。
    すごい戯曲。

    俳優陣も、安心の文学座クオリティ。
    革命者イグナシオ(越塚学)に、もう少し、身にまとう孤独感、みたいな物が、
    また、カルロス(神野崇)に、もう少し脆さ、みたいな物があったら、もっともっと何かが際立ったかしら。

    劇中のあのびっくりタイムは、戯曲の指示かしら…
    演出だとしたら、少し、演出家の「やってやろう魂」が強く出すぎてたような印象が無いでもない。
    面白かったし、好きですけど、
    「ならいっそ初めから数分この状態だったら超面白い」
    とか思ったりしました。
    もっさん、好き勝手言ってごめんなさい。
    とても刺激的で面白い舞台でした。こういうのもっと観たいです。
    もっと増えてほしい。
    あー、こんなヒリヒリした芝居したいなー。

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