満足度★★★★
木ノ下歌舞伎「義経千本桜ー渡海屋・大物浦ー」、二時間以上の全編に見応えあり(演目以外のストーリーダイジェストも)。舞台・衣装・照明、美術が全て美しく繊細かつ意味あり。二人のデウス・エクス・マキナの間でみっともなくあがく男の不様な格好よさ。そして、繰り返される物語で死ねない男も…
満足度★★★★★
鑑賞日2016/05/28 (土)
一つのシーン、セリフを様々な切り口で描き、語り、伝える。ある時は現代の若者の…しかも敢えてチャラい語り口で軽く分かりやすく、ある時は歌舞伎に忠実に即して威厳を漂わせる。多彩な楽しみを与えるだけでなく、多視点でより深い理解を誘う…現代人により大きな共感を生む、そんなマジックのような舞台でした。
演出では、衣の使い方なんて極めて印象的で、目に美しいだけでなく、その意味を考えるとあまりにも切ない、哀しい。
音響の使い方も痺れたな…安徳帝の詩が心に響く。選曲も大胆で、トークでの選曲意図の回答は割と安直なものでしたが、現代の人が同様な感情を想起できる曲が背景なのかな…と感じていて、「媒体を身近なものに差し替えることによる理解と共感の促進」が本作の演出全般に言えるなぁ。大満足。