野鳩 公演情報 野鳩」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    野鳩★三度目にして最後。
    他劇団出演の佐々木幸子の所属として劇団名を認識し、一昨年初観劇、良い感じの脱力系はオチ無し、この劇団の目指す地点はどこだ・・?との興味。「外してくる」感じはナカゴーに近似だが、無意味度はこちらが高く、「それ系」?の原点を標した劇団なのであるか?・・などと想像。
     昨年の下北沢公演ではしまおまほ降板があり、味噌が付いたと感じた。そして今回の「解散」アピール公演の印象は、それなら、と見に来る客も居るだろうし(私もその一人)、色んな意味で「回収」しきろうというなら乗って上げましょうと、その覚悟の形を見に行った。
     近未来、ある中小企業の朝の朝礼の中にゾンビが一人居る、という驚愕の日常風景のオープニングから、「共存」の理想形がやがて絵に書いた餅、化けの皮をはがせば人というもの世知辛く、しかし最後は通るべき事実が通って物語はそれなりの大団円?に行き着く「まともな」芝居だった。
     ゾンビ話は「バイオハザード」を参照しており(・・ウイルスで感染し、一旦死んで蘇生する、欲求は食欲だけ、頭に打撃を加えれば死ぬ)、例外的に言語を覚えるゾンビが見出されため、人間生活の実験が始まる格好である。
     言語を覚えると共に感情を発達させ、仕事をまじめにやるので便利に使われていたが、社員による不正に気づいたりもする。そんなこんなで疎ましい存在となったゾンビ君は、ある「感染」事件の被疑者に仕立てられ、他の不正の罪もかぶせられようとする。彼が差別構造の下位の存在に位置づけられるのは、よくある構図だが、お涙頂戴にならない所に「らしさ」がある。彼は決して人間を攻撃せず、その事を周囲も確信している=ナメている。
     野鳩の主役佐伯女史との恋愛感情の芽生えも自然。マジ演技の二人以外は、キャラきわどい演技、キャラ破綻演技などそれぞれ持ち味を出していた。
     差別といえば、イキウメの「太陽」に、「我々と異なるが人間に近い存在」に対する差別が描かれていたが、およそ人間のトラブルが差別に源を発するゆえか、あからさまでない暗黙の合意でゾンビが(それまでの称賛の対象から)蔑視の対象となり不利な立場に落とし込まれて行く経過は、生々しく見入らせるものがあった。

  • 満足度★★★★

    解散公演
    面白い。85分。

    ネタバレBOX

    墓無(佐伯さち子)…歌手志望だったけど現在OL。妹のため、「肉」を横領する。妹のことは生口しか知らない。
    課長(堀口聡)…セクハラ。噛里がゾンビに噛まれた原因を手掴に擦り付ける。
    生口(矢野昌幸)…墓無の彼氏。噛里と浮気する。
    汁添え(佐々木幸子)…課長と付き合ってるが手掴にも色目をつかう。貞女に噛まれた。
    噛里(すがやかずみ)…生口と痴話ゲンカしてるときに野良ゾンビに噛まれた。
    垂涎寺(ワタナベミノリ)…警官。メモをとれとうるさい。
    死村(村井亮介)…警官。墓無の同級生。
    貞女(佐竹奈々)…墓無の妹。ゾンビに噛まれゾンビ化した。
    手掴(滑川喬樹)…言語や学習能力を得たゾンビ。墓無に想いを寄せる。
    墓瀬(濱津隆之)…手掴の研修者。

    墓無の会社に試験的にやってきたゾンビの手掴。(妹のことから)反発する墓無に手掴は好意を持つ。噛里の件もありつつ、墓無を想い貞女が汁添を噛んだことを自分がやったと手掴は御用になるが、フラストレーションの溜まった墓無はすべてを打ち明け、手掴に自分を噛んでとお願いする…。

    結構王道な純愛ストーリーでありながら、野鳩なノリでニヤニヤしてしまう一作。汁添をはじめ、いいキャラ揃いだった。ボケ具合もいい感じ。
    墓無と生口と手掴の三角関係のとことか、意外とキュンとしてしまった。手掴の純真さにヤラレタのかな。生口の微妙ないけ好かない感もよかった。

    ラスト、墓無が手掴に噛まれゾンビ化し、他の面々も次々ゾンビ化する(墓無は生口を食い殺すし)というカオス展開で終幕。僕は噛まないと宣言してた手掴が、愛する墓無を噛むという哀しげな終わりだけど、結果どうこうでないトコに愛情があるんだなと。

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