「燈篭」「待つ」「葉桜と魔笛」「貨幣」 公演情報 「燈篭」「待つ」「葉桜と魔笛」「貨幣」」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 満足度★★★

    太宰の世界
    川崎はここから先が工場地帯になる産業道路の内陸側の脇に、このたび初めて演劇(等)のフェスを開催するという、この地域「らしい」建物を訪れた。簡素だが雰囲気は悪くない。ウッディな色合いで黒が少ない。演劇(舞踊も?)では黒はニュートラルである。飴屋法水は色も音も完全に消す事はできない、「出来る」という共同幻想を演劇人は持っていやしないか、といった見解をどこかで述べていたが、「ニュートラル」は事実としてでなく目指すもの、としてやはり一つのあり方だ。想像(及び創造)の下地である。
    おででこの実際の舞台は二度目だが、会場の選択がユニークで、「場所」を自分たち仕様に設えて舞台世界を構築するベクトルでなく、俳優がどの場所においても身一つでも世界を立ち上がらせる、という逆のベクトルがある(ように思う)。
    今回は三女優による一人芝居×3+三人芝居。太宰治の小品を、恐らく原作のまま語っている。つまり、翻案しておらず、役者は絶えず動き、演劇的な演劇となっていた。学生時以来、太宰を再発見した。

    ネタバレBOX

    待ち時間、フェス関係者らしい男性が「皆さん東京からですか」「はるばるこんな所へようこそ」と言った。会場提供者の謙遜だったかも知れないが、私に言わせればおででこの前回会場や、d倉庫のある日暮里界隈こそ僻地だ。
    とにかく東京一極集中という異常状態は、日本の演劇にとっての「原罪」ではないか?・・という状況の中、こたびの企画は皆の朗報以外の何ものでもない。
    (上演時間70分程度、につき星三つ)

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