ルベール・カミュ vol.2 『戒厳令』 公演情報 ルベール・カミュ vol.2 『戒厳令』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-1件 / 1件中
  • 満足度★★★★

    アルベール・カミュ
    CoRich案内人さん、「ア」が抜けてますよ…。

    2年前の『誤解』『正義の人びと』の戯曲リーディングは未見。
    今回は一つの演目を通しで上演(リーディング)する、前半約60分、後半約90分(休憩10分あり)本公演並のがっつりリーディング。
    終演後、出演者5人と演出の中屋敷さん司会による約20分のポストトークあり、 Q&Aなし。
    登場時、読み手の手持ちシナリオが目に入った途端、ページ数のあまりの厚さにリーディングなのに、と見る前から怯んでしまった。リーディングにこの戯曲はハードル高いんじゃないかな、と思っていたが、終了後は意外と好印象に変わった。それにしても何故この戯曲を選んだろう、続きものだから?
    戯曲自体は戦後間もない時期に上演された作品だが、古くて新しい海外戯曲のような作品で面白かった。
    このまま舞台化した本公演が観たくなった。

    ネタバレBOX

    説明に描かれている通り、海辺の都市が舞台でそこにペストと名乗る男と女秘書が現れ、その世界の地位と権力がほしいと総督に迫る。絶対的な死力を持った残虐な敵、保身に走る権力者、このまま狂気の道に行けば「カリギュラ」になるが、そこは違ってペストに対立する青年。青年を想うヴィクトリア、青年の死によってペストの恐怖政治から逃れられた街の再スタート。混沌とした社会の話はいつの時代にも通じるような出来事なのな。

    劇作家で思想家で、っていうカミュの頭ん中はよくわからんが、社会情勢の中で起こる色恋沙汰も交えて見せ(この場合聞いててか?)いろいろと混みすぎのように最初は感じた。話の展開には緊迫感があり、リーディングゆえセリフを聞き逃すまいと多少疲弊も生じたが、舞台セットなどの装飾的なものを排除した分、生身の人間が発する喋る勢いと緊張感には圧倒された。
    メモ帳開いて線引いて護衛倒れる、の一連の行為に某人気コミックはこれから引用したんじゃなかろうか、と少し邪見。みんな静かだったんで思いっきり声に出せなかったが、女秘書の鉛筆削り?の仕草に吹きそうになった。ヴィクトリアの頭上で展開するペストとディエゴの怒涛の応酬の迫力、漁師が幕引きのセリフを言うとは思いもよらなかった。
    なんだかんだ言ってもあの終わり方は、カミュの人を信じる希望のようなものを感じた幕切れだった。

    木机3つに木製椅子が並ぶ素舞台、市民は白い服装、擬人化されたペストと女秘書は黒い服装。後ろにト書きを読む演出の中屋敷さん。口籠り気味な発語なのでやや聞きづらい箇所があった。同じように若手俳優さんの大事な箇所では早口になり(あれも演出なのかな?)、滑舌が不明瞭に聞こえたのは自分の座席や音響の違いによる聞こえ方の違いだったのかな。
    時折ハンカチで汗拭いてる貴重な姿を見ることができたペストを擬人化した谷田さんや、個人的に久々に舞台で見た富岡さんが良かった。

    ポストトークは岡野さん、小野さん、竹井さん、谷川さん、牧田さん
    中屋敷さんの「コーラス、コーラス」という言葉がしきりに聞かれたが、カミュが上演した時の説明文(チラシ裏面)には「これは伝統的な構成を持つ戯曲ではなく一つのスペクタルなのであり〜〜(略)〜〜、目撃や単なる対話や笑劇や合唱なども含めた演劇表現のあらゆる形式をまぜあわせることである」と書かれており、上演時のそれがリーディングでは岡野さんが発するセリフの部分だったようで淡々とセリフを発することになったのだが、それを踏まえての「コーラス」だった模様。最初何言ってんのかよくわからなかった。
    カミュはプライベートでは女好きだったのが美化してそのまま話書いているんじゃないか、ただし富岡さんの演った女の箇所はカミュの書く女にしては女ぽくなかったので、そこだけはあえて(演者を)富岡さんにした。
    他、初演を終えての感想を各自、一言二言あり。総じて、明日はもっと違うと思います。

このページのQRコードです。

拡大