耳障りなシンフォニー 公演情報 耳障りなシンフォニー」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    洒落た内容
    絵空箱という小さい空間を最大限に利用した演出が素晴らしい。そして舞台は、父親の生命維持装置を外す日に集まった5人兄弟姉妹の想い。始めはゆっくりと、しかし次第に激しい感情が胸中に渦巻き...。
    このBar併設の空間を象徴するかのようなラストシーンは実に洒落ていて、余韻を残す見事な演出であった。

    さて、生命維持装置を外すという倫理の是非を問うと、考えがまとまらず難しい。この公演では父の遺言ということを起点としたい。
    さて、自分の好みとしては...。

    ネタバレBOX

    舞台設営は、病院の家族控え室(待合室)のような場所をL字型ひな壇(2段)で、この店のBarも利用する。出入口は病院の出入口としている(チラシには、演出の都合上、途中入場は難しいとの注書あり)。中央にはテーブルと椅子、飲食物等、その後ろにピアノ。場面転換のための紗幕で喫煙所(屋上か)が見える。大きな空間演出は見事であった。

    5人兄弟姉妹の現況と思い出話が交錯し、胸のうちにあった蟠りの渦がジワジワ溢れ出し...兄弟姉妹だから理解しつつも遠慮していた感情が爆発する。その過程が実に上手く表現している。そして、次女の婿の微妙に距離のある立場も上手く描く。

    この兄弟姉妹の思い出話が母親の亡くなった時のキャンプしか出てこない。自分では、5人兄弟姉妹それぞれが父親との思い出もあると思っている。そのエピソード(時間的制約もあるだろう)を披瀝し、父との別れの悲しさとこれから力強く生きていく心情として観せてほしかった。父は20年以上一人で5人の子供たちを育ててきた苦労人である。
    そのラストシーンは感動を誘う。そして家族の調和(シンフォニー)のタクトは紛れもなく父であろう。子供たちの背後から包み込むようにピアノを奏でるのは父親なのだから...。その優しい眼差しは、一瞬の照明に照らされる。

    次回公演を楽しみにしております。

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