笑う朗読 公演情報 笑う朗読」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    プロデューサー始め全読み手の「笑って、気持ち良く観劇してもらいたい」という気持ちに溢れた朗読会
    自分は全く知らなかったんですが
    読み手ほぼ全員がかなり有名な声優陣なだけあって
    どうにも大人気だったらしいです(ヤフオクでチケットが高騰していたり)。

    朗読(劇)って普通のお芝居と比べて
    「視覚」の芝居は基本なくてよし、
    「聴覚」が完全優先される為、
    マイク音響さえ気を使えばかなりの大箱劇場で公演出来
    (=多くの観客を集客出来る)

    ※ 演者が有名人であればあるほど、
      観客からすれば豆粒大の人影が見えるだけでも大喜び

    それなりの評価を得る事も出来るんですよね。
    (昨日観てきたSUPER SOUND THEATREがある意味そうでした。
    1000人級の箱だったかな?まあアレは視覚的にもすごかったですが)

    それをわざわざサンモールスタジオという
    超小箱を選んでもらえたのが自分には嬉しかったですね、
    演者(読み手)の熱気/感情が
    直接伝播する超近距離舞台の劇場なので。


    そして朗読劇というと
    観る(聴く)側も少し堅苦しい雰囲気の中で、
    「文学」的なものを楽しむというよりも「嗜む」、
    といったイメージがあるのですが、

    本劇は開場時点から水島裕プロデューサーと手品師の方が
    (TVのバラエティ番組などで言う本当の「前説」として)、

    観客が出来るだけ朗読を気軽に楽しめるように、
    笑いたいだけ声をあげて笑えるようにと、
    場を温める為に軽妙なトークや手品で皆の気持ちをリラックスさせ、
    調度良いぐらいに笑いやすい空気感を作ってくれていました。

    劇前ですが見事なホスピタリティ精神でした。


    そして肝心の朗読(短編5本)の方は
    「笑いの朗読」とうたうだけあって、
    基本的に深さ/隠された裏の設定よりも
    物語のそこここに仕込まれた笑いのエッセンスを、
    それぞれの読み手陣がこれまた「笑い」への(?)
    情熱を持って演じてくれていたので、

    聴きながら、その表情/所作を眺めながら、
    しっかり笑いどころでは声をあげて笑わせていただきました。

    ネタバレは避けますが、
    非常に良い気分で始まり、更に良い気分で終われた、
    という感じでしょうか。

    こういう一風変わった朗読(劇)、
    これからも色々なメンバーと続けていって欲しいですね。

    ネタバレBOX

    【思った事】
    ・ 5編それぞれの感想は長くなるので置いておいて。


    ・ 全話通してそれぞれの読み手
      (声優さんから成田童夢さんってスポーツ系の人でしたっけ?まで)
      が、この笑いの短編5編について、
      「真剣」にかつ「笑わせたい」という固くはない
      やさしい気持ちを抱いた状態で演じてくれていたのか、
      かなり楽しい感情が伝播して来るのが分かりました。


    ・ 2話で妊婦/主婦を務めた寿美菜子さん、
      可愛いですよね。
      まあそれは置いておいて、
      今までお芝居、朗読劇(1人1役を演じる群読)を
      数本観せてもらっていたのですが、
      イマイチアニメで楽しませていただいているほどには
      「感情」が伝わってこない、という印象があったんですよね。
      (演技を観せる方(ほう)/ミスをしないようにという方(ほう)に
      意識が行き過ぎて気持ちがこもっていなかった?)

      ですが本劇では今までとは全く違う印象を受けました。

      まず「本当の朗読(1人で物語の全役を演じ分ける)」をやられた訳ですが、
      産気づく妊婦、医者、泥酔した亭主、看護婦などを
      上手さはともかく、それぞれの気持ちを見事に表して
      演じ分け(読み分け)していたかと思います。
      (聴いていて「コメディ」としての楽しさが感じられました。)

      更に生まれた赤ちゃんとのやりとりは、
      赤ちゃんの愛らしさが視えるようで、
      「笑い」よりも微笑ましい気分にもなりました。

      こういう演技/読みが出来るのなら、
      今後も活動を追っていきたい役者さんの1人だなあ、
      と思いました( ´ー`)
      ? 上から目線?


    ・ ほとんどの物語は「笑い」に始まり「笑い」に終わる、
      あまり深い裏設定などはつけないで
      「気軽に楽しめるように」と作られているのかな?
      と思っていたのですが、

      5話の(娘含め)町の皆から嫌われていたお父さんが死んだお話、
      「何故、父(大塚明夫さん)は皆から嫌われようとしたのか?」
      
      その理由が
      「母の死があまりにも悲しくて、自分が死ぬ時は周りを
      こんな気持ちにさせない、逆に喜ばれてしまうような死に方がしたい」
      だった事を知った時、娘(寿美菜子さん)同様
      ちょっと涙腺が緩みかけました。

      更に、
      最終話だった事もあり「いい話」で終わらせるのかな?
      と思っていたら、
      死んだ父「娘にすぐに会いたい!転生したい!」と願ったら

      ゴキブリに転生し家に帰ってきた娘に新聞紙で殴られる、

      というやはり「笑い」を優先したオチの付け方、
      一貫性があって良いですね。

      他の色々な団体その他が行う朗読劇とはまったくテイストの違う、
      どんなに気分が沈んでいた観客も
      「笑い」の気持ちを持って帰れるような、
      というプロデューサー/脚本家と演者陣の気持ちが伝わってくるようでした。


    基本考えさせられるような深い話ではない為、
    「人を選ぶ所はあるかな?(単純さを嫌う人もいるかな)」とは思いましたが、
    自分は満足させていただきました。

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