岸田國士戯曲 公演情報 岸田國士戯曲」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    なぁるほど!the 赤木わぁるど!
    行って良かった~~~。
     「オモシロサ」の平均点という点では星4つを選んでしまうけど、でも「古臭くて堅苦しい演劇なんだろう」なんて決めつけてたら・・・うふふふ。これは見た人間だけのお楽しみなんだよね~~~。詳しい感想はネタバレの方に書き加えておきます。
     ずっと以前に、ザキさんがおっしゃってた(「パレード旅団」の時、と記憶している)、「赤木さんが演出すると、全然別の物語になりますから・・・」という言葉が今回しみじみと甦りました。恐るべし、赤木マジック!・・・でもそろそろ、福井脚本も恋しいなぁ~~~。

    ネタバレBOX

    以下は観劇順。

    ①「かんしゃく玉」

     男と女、それぞれがブチ切れる度にかんしゃく玉を取り出して投げつける。大きな事件とかは無いのだが、それでも男と女の「かんしゃく」の種は尽きない。
     面白くないワケでは無いけど、大笑いしたり感動したりのドラマも無いので、正直ちょっとばかり退屈を覚えました。「癇癪玉」(遊んだ記憶が無いので解らん。ヘビ花火が好きなクラい子だったから。)というスラップスティック的アイテムを生かしてもっと笑いが取れるコミカルな演技をすれば笑いが取れるのに、とも思いました。後になって気がついたのですが、癇癪を起した側よりも、後ろでそれを見ている相方の表情を「見せたかった」のではないか、と。“なんかワカランが、突然不機嫌になった”だの、“何でこんな事で腹立てるんかな、このヒト”という具合に、気持ちが完璧に擦れ違ってるんです、男と女って。まぁ所詮は脳みその造りが違うんだから仕方無いっていうのは今やジョーシキなんですが、理窟を知らなくても百年近く前にそれを笑いのネタにしてた、っていうのは・・・やはり凄い事なのかな。

    ②「命を弄ぶ男ふたり」

     それぞれ失恋した男が二人、夜の踏切で列車に飛び込んで自殺しようとするのだが―――おそらく台本だけ読むと最も苦手な、たった二人の対話劇。だがそれが失恋エピソードに似つかわしく無い(失礼wwwでもどうもウソっぽく聞こえて聞こえて・・・)お二人が足を引っ張り・・・いや、競い合うもんだから、それだけでもう笑えてしまう。
     そして一番のお気に入りがここを通る「列車(たち)」。これがもし大きなホールだったらさして面白くなかったかも。でも「客席より舞台の方が広いんじゃね~か?」的な今回の設営。この、擬人化された列車(たち)の一両ずつの表情までもがはっきりと見えちゃうからオカシイのなんの。
     文句無しに楽しかったという点では、今回の一等賞。勝手にタイトルを「ザワメク夜に命を弄ぶ男二人」と変えたくなったきやまさんでした。

    ③「紙風船」

     “結婚一年後の日曜日をいかに過ごすか”で悩む夫と、休日を楽しみにしている妻の、妄想アレコレ。
     男と女の擦れ違い、というテーマでは「かんしゃく玉」と似ているのですが、こっちは基本、夫婦ふたりが各々の「やりたいコト」を延々話し合ってるだけ。最早喧嘩も癇癪も起こらない、交わらない「一年目の惰性」ってトコか。
     近所の子供がついて遊んでいる紙風船を男女間の付き合い方に重ねて、さり気無くつぶやく妻。それを知ってか知らずか、「犬でも飼うか」と欠伸をする夫。詮索しすぎかもしれないけど、この夫婦、本当は子供が欲しいんじゃないかな。台詞には出てこないけど。そう考えるとちょっぴり悲しくもある夫婦の姿でした。
     余談ですが、妄想エピソードの中で「命を弄ぶ男ふたり」とちょこっとだけリンクしてます。A組・B組の上演両方を観た人だけにしか解らない小ネタ。これは恐らくギアのオリジナル部分なのでしょうね。

    ④「パン屋文六の思案」

     順風満帆とはいかないが、そこそこありふれた平和な日常を描く前半から、“もしも明日地球が滅亡するとしたら、最後の一日をどうしたいか”という良く有るお題の後半ドタバタ劇へ。
     要は、“普段そう大切とも思えなかったものが、ホントはかけがえのない幸せなんだよ”、という事なのだが、こういうのって大概「噂はデマでした、ちゃんちゃん。」でオチがつくのに、今回ドタバタしたまま唐突に終わってしまうのだ。元々の脚本がそうなのか、尺の都合で赤木カットが入ったのかは不明。「え?これでお終い?」と口あんぐり開けてたらカーテンコールだもの。正に衝撃のラストじゃて(笑)。
     あ、この話も「かんしゃく玉」とちょこっとだけリンクしてます。それから、「17歳の泣き方をしなさい」という台詞はロドさんのアドリブなのかな?思わず笑ってしまいました。ゾエンヌ様、お許し下さい。

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