春雨の降る夜に 公演情報 春雨の降る夜に」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-1件 / 1件中
  • 満足度★★★★

    人間と霊の複雑かつ楽しい関係
    9日夜、浅草三日月座で上演された四宮由佳プロデュース公演vol.3『春雨の降る夜に』を観てきた。この三日月座というのは実際にキャバレー?として使われている(た)ハコで、この日の舞台内容が閉鎖されたキャバレーの入った古いビルというでの出来事というのに合わせた会場選定であったようだ。出かけたのは、出演者の1人に知人の若林美保がいたからであったが、製作がユーキース・エンタテインメントでもあったから。過去の経験からいって、田中優樹が代表のこの会社が関わる舞台にハズレが無いという安心感というか信頼感があったからでもある。

    さて、物語の舞台は古いビルの中にある閉店して長い年月を経たキャバレーの店内。使っていないにもかかわらず、人の気配がしたり電気がついていたりというのに不安を感じた女オーナーの佐藤が、知り合いの刑事に真相の究明を相談したのが話の始まり。この古キャバレーには仲の良い2人の自縛霊が住み着いていたり、ホテル代を節約したいカップルが忍び込んで楽しんでいたりという実態があきらかになり、オーナーは除霊師を雇ってキャバレーの除霊に乗り出そうとしたことで事態が動き出す。除霊師の背後霊を通してキャバレーの自縛霊の1人がオーナーの親友であったこと、自縛霊の2人が実は親子であったことが明らかになると同時に、このビルの相続権を取り戻そうとオーナーに近づいた元オーナーの親類2人(オーナー経営の会社のスタッフと店への不法侵入者)に、現オーナーが夫に近づいたのは、自縛霊になっている親友を交通事故に合わせた犯人がその夫であり復讐のためであった事を告白する。

    現実の人編関係に霊魂の人間関係まで絡んだ面白い設定。しかも、霊の姿や話し声は現実の人間には聞こえにというのが、舞台内容を想像以上に膨らませる要因となっていて、その着眼点には恐い入りました。
    実際は90歳を超えながら若さと美貌を保っている現オーナー佐藤役を演じた若林美保は台詞も多い重要な役をこなしつつ、刑事とのコミカルな演技もみせてくれた。親友だった今は自縛霊のマユ役四宮由佳と実は彼女の子供だった同じく自縛霊のミユ役朝倉千賀は、セクシードレスがお似合いの正にキャバ嬢役にハマっていて良かったですね。刑事とその後輩の巡査との漫才のようなやりとりもなかなか見応えのあるあるものだった。残念だったのは、彼女に近づいた元オーナーの親類2人の役柄というか設定が中途半端であったことと、取り戻すための画策というものが殆どなかったので、身元が明らかになった時のインパクトが弱かったこと。あと30分ほど時間をかけてこの2人に何かをさせたら、全体のストーリーに起伏と締りが出来たのではないかと思う。

このページのQRコードです。

拡大