肝っ玉おっ母とその子供たち 公演情報 肝っ玉おっ母とその子供たち」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    やはり”風”の公演は素晴らしい!
    東京演劇集団風の好きなところは、中学校・高校へも巡回公演を行い、演劇を通して、社会に対する見方、考え方を投げかける...それもお仕着せでなく。
    2014年からは文化庁”文化芸術による子供の育成事業”に基づく巡回公演で、学生による参加型公演も開始している。

    前回公演ではシェイクスピア「ハムレット」の時も、劇団ラウンジに巡回公演先の学校名とその様子が写されたパネルがところ狭しと飾られていた。

    今回公演「肝っ玉おっ母とその子供たち」は、北欧であった三十年戦争が舞台である。パンフには、演出の浅野氏が「戦争という限りない悲惨さの発見と同時に、このような苦境にあってなお生き続け、笑い、泣く、人間の原初的な力強さを発見してほしい」という想いを込めていると、記している。

    その公演は本当に素晴らしかった。

    ネタバレBOX

    ブレヒトの「叙事的演劇」の代表作であり、各情景のはじめには幻灯、今回はストリーテラーによって幕開けする。

    北欧・三十年戦争時代のドイツおよびポーランドが舞台である。主人公は「肝っ玉」とあだ名される女性アンナ・フィアリングで、軍隊を相手に商売をする酒保である。彼女にはそれぞれ父親の違う3人の子供がいるが、長男、次男は相次いで軍に徴用される。会計係の次男シュワイツアーカース(スイスチーズ)はやがて戦死し、長男アイリフは百姓を殺して略奪をしたために処刑され、残された唖の娘カトリンもまた、軍の襲来を町に知らせようとして射殺される。
    「肝っ玉」は子供を次々と奪っていく戦争を呪いながらも、戦争を相手にした商売を最後までやめることはできない。

    どんなことがあろうと”生きる”。その力強さは、最後の場面で荷馬車を一人で引きながら、大きく足を前に踏み出すと、砲声が響き鼓舞するようだ。
    空気のようにあるのが当たり前と思っている”平和”。しかし、それを勝ち得るまでに流した先人の血と汗を無にしてはいけない。今を生きる我々が後世へ引き継ぐために...。

    今後も素晴らしい公演を楽しみにしております。


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