空白の色はなにいろか? 公演情報 空白の色はなにいろか?」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.7
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  • 満足度★★★★★

    シーン0の内側に引きこまれ・・・
    開演時間とほぼ同時に入場。
    最初は観るともなしに眺めていた、板付き役者がひたすら林檎の皮をむく姿に、少しずつ、やがてどっぷりと惹きこまれる。

    そのまま開演時間を通り過ぎて現れる世界のありようにそのままはまり込んでしまいました。

    ネタバレBOX

    舞台は中央に2階建てのスペースがあって、開場時から女性が一心不乱にりんごをむいている。
    その姿にすっと取り込まれるような引力があって知らず知らずのうちに見入ってしまう。
    やがて、そこにすっとひとりの男が現れて、世界が動き始めます。

    ちょっとした二人の会話のパターンというかシークエンスがあって、最初は何気なくみているのだけれど、その繰り返しや、さらに話す側と受ける側の変化に世界の曖昧さと深さが同時に醸されていく。

    シーンの現れ方やどこか終わりの定まらない収束の仕方、二段舞台の上の世界と下の世界、その不器用でするっと入り込むようなつながり方。
    最初は、ひとつの刹那として眺めていた光景に、ルーズな連鎖が生まれ、単なる物語の展開では捉えきれないすっと軌道をはずれた印象が差し込まれたり、あるいはナチュラルな所作や会話へと戻ったり。
    その会話にしても、いくつもの距離や密度が組み合わされたり、舞台の中ででの座標が変化していて。
    やがては世界は観る側が舞台との受け渡しで追いかけていく歩みから解き放たれた、どこか抑制の効かない、日和見な、シーンの揺らぎや行き来となっていく。その確たる意図や意味をつかめぬままに、でも舞台に訪れるものに共振するなにかがあって、やがてはその組みあがりに取り込まれてしまう。。

    細かめに刻んだ風景の断片が、場ごとに異なる重さを持って現われ、形を変え、色を変え、霧散していくような感覚。上と下、時にはとてもも筋が通っていて具体的、でもそれとおんなじ質感と色合いにもかかわらず、歪んだり、ベクトルが変わってしまった世界が、秩序なく、まことしやかに舞台を満たすのだけれど、その、現われ消える間や、言葉が変容していくタイミングも絶妙なのですよ。
    なんだろ、観る側に心地よくその歩みを受け入れさせるリズムのようなものがあって。

    やがて、その世界の枠組みやフォーカスもどこか崩れはじめ、移ろいをとどめる枠組みは形を失って。
    その先では闇となり、現われる言葉に脳内のシナプスが繫がれていく音が聞こえるようにさえ思える・・・。
    ああ、これって脳内の風景そのものだと思う。

    そうして、再び林檎を剥く女性の姿を見て、そこまでに紡がれた一心不乱な姿の内側に広がる心描写の実存感に息を呑む。何気なく林檎を剥き終わるラストシーンには、一本の皮の終端のその世界に訪れたものがすっと消えていくような感覚が訪れ、捉われる。

    一個の林檎が剥き上がる時間に現われ消えた内なる風景には、役者たちの一瞬ずつをいくつもの加減で精緻に描ききる力にも支えられ、これまでに体験したことのない時間と空間のリアリティが生まれていて。
    これ、面白い。
    観終わって、一呼吸おいて、心の移ろいを刹那ごとに切り取る描写力とそれを組み上げる圧倒的な表現の創意と力量に、従前の作品とはまた異なる進化を感じ、感服したことでした。
  • 満足度★★★★★

    空白の色はなにいろか?(横浜版)
    京都版よりも空気とにおいの密度が濃くなりました。横浜版の方が好みです。考える間もなく身体が支配されてしまうので、それに抵抗する60分でした。疲れましたがとても好きです。

    ネタバレBOX

    京都版との大きな違いは、構造物の下部をてつおさんの部屋としたことと、問答のあたりが暗闇になったことでした。
  • 鳥公園2度目
    小品ながら濃縮された時間。不条理感たっぷりなのに散漫にならない、従って何か、表で繰り広げられる「現象」を背後から支える物語なり、理論なりが「有りそう」と感じさせる舞台・・が以前見た舞台を考え合わせて言える表現か。撹乱、脱線、といった要素が少なからず生じてくるが、知的に感じる。鋭利な切り口を、俳優らがしっかりその形象によって見せているのも、凄い事であるかも知れない。とも感じる。STスポットの箱に合わせて作られたとみえる装置、その使い方も面白し。

    ネタバレBOX

    お話じたいは、男女の、苦い味わいのある展開が、既に起こっており、また繰り返されそうである、という基本の大筋が示されるが、その図をトレースすると、中心人物の男の不思議な佇まい、人生への構えが次第に濃く浮かんで来る。そして彼を彼たらしめたもの(外的要因=環境、時代?)も、ほのかに見えてくるような来ないような・・。
    男の不思議な佇まいの原因が、何げなく語られる「味がしない」ことと結びついている事が徐々に見えてくる。「無味」の感覚はやがて周囲の物々が自分と関わりなく無味乾燥に、即物的に存在していて、その中にある自分も物体として意味なく存在する一つである、という感覚に向かう。このモデルは、繋がりや意味を予め否定された現代人の「状況への応答」の正確なあり方かも知れない・・などなど考えさせられる事も多い舞台だった。
  • 満足度★★★★


    上演時間60分。快でもないし不快でもない。何かの狭間を覗くような感覚。

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