満足度★★★★★
全体的にレベルが高い作品。戯曲の力がすごい!
劇作家、生田恵さんの新作書き下ろし、ということで非常に期待してみに行きました。震災後の海辺の町が舞台だろうと思います。生田さんの震災後の作品として、「はなして」「あと少し待って」からの・・・という文脈も気にしつつ拝見しました。
会場に入ると、中央に四角い舞台、手前と奥に客席がある二面舞台になっていました。この小屋でこの使い方をしている作品は私は初めてでした。舞台と客席が適度に近く、後ろの客席は高さを上げてあったので非常にどの席からも見やすい環境でした。
私は奥の席を選びました。四角い舞台の中央には、人一人がすっぽり収まるくらいの丸い穴が空いていて、なんだか前にも似たような舞台があったなぁと思ったらそれは「みかん」でした。それよりもアクティングエリアは広くとってあります。
オープニングは、前作「あと少し待って」のイメージを引き継いでいたように感じます。もしかしたら登場人物たちも、前作との関連が強かったのかもしれませんが、手元に資料もなく、記憶もおぼろげで定かではありません。暗く、静謐な空間に風が遠くで渦巻いているような音、東北の闇の深さ、そして冬の厳しさと美しさを感じました。
演出家の手腕なのか、出演者の集中力なのか、多分両方なのだと思いますが、私には非常にテンポが良く感じられ、よく精度を高めてあるだけでなく、その場の空気によって微調整をするような余裕を感じられる、優れた仕上がりだったと思います。スタッフワークとの呼吸も見事でした。本当にグッと作品の世界に引き込まれました。
終演後のアンケートにも書きましたが、今のタイミングで、彼らだからこそ出来上がった作品に仕上がっていると思います。ぜひ多くの方々に見て頂きたい、仙台、東北から発信する優れた作品だと思います。