満足度★★★★
私小説劇
昭和の文豪・檀一雄をモデルにした私小説劇と言ったところか。作家の創作精神に翻弄される家族やその周りの人々を描いた話。あくまで作家の内面を掘り下げることをメインにした芝居として受け止めた。そして創作活動における狂気・破滅的な精神構造をよく現していた。と言っても作家自らの内省というよりは、第三者の視点を通しているので、苦悩の在りようは断片的(例えば「書けない」という直接的な表現)にしか伝わらない。
逆に狂言回しが作家の苦悩を代弁もしくは倍加させ、芝居の精神的支柱になっていた節がある。
いずれにしても、役者の演技力が伴わなければ成り立たない公演だが、見事に演じきっていた。実に見応えのある公演であった。
今後の公演にも期待しております。
満足度★★★★
火宅でないと書けないんですかねー!
篠井五郎(檀一雄がモデル)の姿が妙に頭から離れません。
イメージ通りということでしょうか。
時代が奥さんの思いをとどまらせたのでしょうか、今なら慰謝料とられて離婚間違いなし(笑)。火宅の夫が書いた小説が今でも読めないのは本当に辛い時期だったのでしょう。
満足度★★★
作品でしか知らない作家の血肉ある行動
ってのが舞台上で展開されると、
より作品の背景とか作者の人となりがわかりますね(^^)
なかなかユニークな舞台セットも面白かった1時間50分程
文豪さんとか好きな方には特にお奨めっすね(^^)
満足度★★★★
分厚いキャラクターを
作ってきたなぁ!というのが主人公が登場した時の第一印象。様々な側面を持つ主人公の魅力を十分に掴み取った人物像だったと思います。それにかかわる人々も面白い。現代人とはなんという違いがあることだろう。こんな人物を生み出した時代背景がイマイチわからないのが残念といえば残念。昭和のことなのに、早くもその感性から自分が遠ざかっているのを感じる。ああ、それで、あの舞台のサラサラ流れる砂なんだなぁ、と気付いたのは一日経ってからだった。観劇中は面白い美術だなぁ、なんか意味があるんだろうなぁ、としか思わなかった自分のアホさが情けない。この失われていく愛おしいもの。不変なものなど何一つ無いという事実。観劇中にわかっていればなぁ、とつくづく思います。
満足度★★★★★
無頼でなければ面白くない
作家檀一雄をモデルにした“昭和無頼派評伝劇”とのことだが、まさにそれだった。
自分を切り売りするような作品しか書けない作家の苦しみ、
彼を取り巻く編集者や家族の思いと葛藤が鮮やかに描き出される。
時空を超えたかのような謎の男を狂言回しのようにも使った演出も面白い。
斜めに傾いた丸い居間、そこに敷き詰められた白い砂の感触が
観ている私の足裏にさらさらと伝わってくる不思議。
作家役、謎の狂言回し役、太宰治役の3人が強烈な印象を残す。
作品も人生も、“無頼でなければ面白くない”と思わせる説得力が素晴らしい。