満足度★★★★★
色褪せない言葉
2012年の初演時(その時の感想→http://stage.corich.jp/watch_done_detail.php?watch_id=167446)は3.11からまだ日が浅く、冷静に観ることの出来ない部分がありましたが、それから2年経った今でも、その特異な言葉や表現にさらに説得力が増しているように感じられ、ドラマ性の無い抽象的・前衛的で不安感・緊張感がみなぎる作品であるにも関わらず、エモーショナルな訴え掛けが伝わってきて、心を打たれました。
初演時と何点か大きく異なる部分がありました。
防護服を思わせるレインコートを着た男性が冒頭と最後で現れることによって、この作品の重要なモチーフである「当事者性」に新たな位相が加わったように感じました。
東京芸術劇場では金属製の防火シャッターが客席とステージを区切っていたのに対して、今回は普通の黒い幕になっていたのが、会場設備の都合で仕方がないとは言え、残念に思いました。
ウェットスーツを着た男が激しく動き回るシーンで『海行かば』を歌うことが追加されていて、とりとめのない言葉の流れの中で突如現れる分かり易い言葉に強烈なインパクトがありました。
当日パンフレットに日本における演劇受容について述べた三浦基さんの文章が載せてあり、とても興味深い内容で読み応えがあって良かったです。