20世紀の伝言 公演情報 20世紀の伝言」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 満足度★★★

    37年ぶりの再演
    20世紀前衛音楽を代表的する作曲家、カールハインツ・シュトックハウゼンが雅楽の奏者と舞人の為に書いた作品で、初演が酷評に晒されて長らく再演されなかったのがある意味理解出来つつも、そこまで悪く言われる内容でもないと思いつつ楽しめました。

    床に大きく1997(初演の年号)と書かれていて、4人の舞人がそれぞれの数字の上で舞うのに合わせて舞台奥に設置されたカウンターの数字が増えて行き1997に達するという基本構造に、悪魔の誘惑と天使の煽揚を描いた寸劇が4回挿入される展開でした。
    進行役の能楽師が冒頭と最後で謡曲を引用したり、舞人の動きは舞楽のものをベースにしていて古典的な味わいがありつつ、音楽や全体の構成はアヴァンギャルドで、独特の儀式的雰囲気が漂っていました。
    寸劇では被り物の猿、コック、バイク、裸の女といったキッチュな要素が現れて空気を一変させていました。、全体を統一するシステムの中に敢えてそれを壊す異物を挿入する手法がいかにもこの作曲家らしくて興味深かったものの、この悪趣味なユーモアセンスが不評に繋がったのが想像出来ました。

    特に物語がある訳ではありませんが、悪魔の誘惑に負けずに時間を進む姿に人類の未来に対してのあっけらかんとした肯定が感じられ、現代音楽特有の小難しさが無いのが良かったです。

    楽器は雅楽の標準的な編成で、極端な特殊奏法は用いてない様でしたが、古典曲とは全く異なる響きがして新鮮でした。

    休憩後に一柳慧さんの新曲『時の佇い』が演奏されましたが、こちらはパフォーマンス的要素が無い、純粋な音楽作品でした。

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