満足度★★★
視覚と聴覚のリズム
高校で同級生だった2人よるダンスとパーカッションのデュオ公演で、リズムを軸にしたストイックな方法論ながらも息苦しさを感じない開放感がありました。
『ヴェロシティーズ』(ジョセフ・シュワントナー作曲)
細かい音形が一定のビートで続くマリンバ独奏曲に対してリズム的に厳密に対応した振付で、変拍子やシンコペーションが体の動きで表現されていて、直径1mにも満たないエリアの中でしか動かないもののスピード感とダイナミックさがありました。
『トゥ・ジ・アース』(フレデリック・ジェフスキ作曲)
植木鉢4つを叩きながら地球を讃える詩を語る曲ですが、詩の内容ではなく楽曲構成に沿った振付となっていて、大きく5つのブロックに分かれるのに合わせて同じシークエンスが5回繰り返されました。
会場全体を使って踊っていたのが『ヴェロシティーズ』と対比になっていて良かったです。
『リトモニア』(白井愛咲、牧野美沙)
いくつかのパートがスネアドラムのマーチ風テーマに挟まれたロンド的作品でした。1拍ずつ減っていく振付を2人でカノン風に踊ったり、ダンサーがアンティークシンバルを演奏したりとお互いの領域に踏み込んだ演出がユーモラスでした。
ひとつのパートでは1種類の楽器しか用いない様にしていましたが、多彩な音色を同時に出せるのが打楽器の魅力でもあるので、複数の楽器を体の各パーツに対応させる等、色々可能性があると思いました。
音と動きの関係は興味深かったものの、音楽的に単調に感じられたのが勿体なく思いました。
アンコールに『ゴルトベルク変奏曲』(J.S.バッハ)の演奏&踊りがあり、クラシックバレエ的な振付が軽やかで魅力的でした。
それぞれの曲で振付のテイストが異なり、ムーブメントのボキャブラリーの豊かさを感じました。
カールハインツ・シュトックハウゼンやブライアン・ファーニホウといった作曲家による、リズムが複雑な現代音楽でどの様なアプローチを取るのか観てみたく思いました。