ミュージカル『ブラック メリーポピンズ』 公演情報 ミュージカル『ブラック メリーポピンズ』」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    胸を抉る真実
    やはり、鈴木裕美さんの演出は圧巻でした。

    親御さんが、演劇の世界で生きようとした裕美さんの選択に反対された時、私の叔母が背中を押したのだそうですが、叔母よよくやってくれた!と裕美さんが演劇の世界に身を投じて下さったことを心から感謝してしまいました。

    予備知識が全くなかったので、ストーリーが進行して行くに連れて、驚愕の連続で、背筋が凍る思いがしました。

    キャストが、全員好演。

    まさか!と思うような内容の芝居ですが、下手なサスペンスドラマよりも、現実社会の出来事の方がセンセーショナルな昨今の現状を思うと、こういう研究は実は行われているのではと戦慄が走りました。

    初女性役デビューの音月さんが、大活躍される舞台で、彼女が演じる妹の悲劇が明かされてからは、涙を禁じえませんでした。

    観ていて、辛くなりますが、是非多くの方に体験して頂きたい、濃縮の舞台作品でした。

    ネタバレBOX

    焼死した心理学博士の残された子供達が、事件の真相を、大人になってから、探り出すことをきっかけに、隠された驚愕の真実が明白になる。

    小西さん、上山さん、良知さんが演じる男の子3人と、音月さん演じる女の子の4人兄弟は、孤児院から引き取られた養子で、実際は血縁関係のない兄弟です。

    研究に勤しむ父親は、育児係として、一路さん演じるメリーを雇って、子供達の養育を任せていました。

    4人の子供達は、メリーを実の母親のように慕って、兄弟仲も睦まじく成長していましたが、彼らは、思春期に差し掛かった頃、何故か水曜日だけ、自分たちの記憶が失われていることに気づき、ある水曜日に、いつもメリーに飲まされる薬を飲んだ振りをして、父親の研究の正体を探ろうとします。

    そこで、4人が知ってしまう驚愕の事実に、観客も息を呑んで、胸が苦しくなる経験を余儀なくされてしまいました。

    こういうシーンの裕美さんの演出は、圧巻としか言いようがありません。

    実にやるせないストーリーでしたが、最後に4人が選ぶこれからの生き方に、少しだけ希望が見えたのは救いでした。

    人道的に許すことのできない、人体実験。その犠牲になった4人の子供達の連帯感と、お互いを思いやる心に、胸を打たれました。

    大人と子供時代の演じ分けを一瞬にして体現された4人の演技力に感服。
    実は博士の共同研究者だった催眠術師のメリーが、子供達への愛情に目覚め、彼らの究極の選択に力を貸すラストの展開には、深く胸を揺すぶられました。

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